議長(近藤永太郎君)
次に、平井斉己君に発言を許します。平井斉己君。
〔平井斉己君登壇〕(拍手)
平井斉己君
一般質問2日目、2番目の発言、また私は次男ということで、非常に縁起のいい順番を当てていただきました皆様に感謝申し上げます。民主党府会議員団の平井斉己でございます。
私は、さきの選挙におきまして初当選させていただきました。かつて私は京都府職員でございました。昭和61年の入庁以来、平成18年の退職まで約20年間、一公務員として府政の推進に微力ながら努めてまいりました。この間、先輩職員の皆様、同期、後輩の方々に多くのことを学ばせていただきました。思い返しますと、私が退職する際の辞令交付者は山田知事でありました。したがって、今回図らずもこの場で質問させていただくことには感慨深いものがあります。今後は府会議員として、京都府政の発展と山田府政の前進に取り組む所存でございます。
では、質問に入らせていただきます。
まず、京都府における観光行政、とりわけ諸外国からの観光客招致について質問させていただきます。
このたびの震災で、東日本のみならず日本全域の観光産業が大きく冷え込んでおります。とりわけ、諸外国からの訪日観光が激減している現状につきましては、知事も御承知のことと存じます。
そもそも、我が国に諸外国からどれほどの方がお見えになっているかと申しますと、政府観光局が発表している世界の国際観光動向2009年統計によれば、日本への外国からの訪問者は678万9,658人でございます。これは世界33位でございます。ちなみに、外国からの訪問者が最も多い国はフランスで7,420万人、2番目がアメリカで5,488万人となっております。アジアで最も多い中国が5,088万人で、全体の4番目に当たります。お隣の国の韓国でも782万人と、日本より上位の28位に位置しております。我が国は治安も比較的いいし、経済も安定しているので、さぞや多くの方々が外国からお見えになっていると思いきや、実はそれほど多くないのです。フランスの11分の1しかないわけです。この2009年の統計における訪日者数679万人のうち、観光目的での訪問は476万人、約70%ほどです。つまり、そもそも我が国は、観光という点では他の国々に比べて、必ずしも進んでいるとは言いがたいと思います。そこへもってきて、今回の東日本大震災及び原発災害です。2011年に入ってからの訪日者数は、1月、2月は前年比で、それぞれ11.5%増、2.2%増とまずまず堅調でしたが、御承知のとおり3月は前年比50.3%減、4月に至っては前年比62.5%減とすさまじい減り方をしております。
では、そんな中で、京都府にどれぐらいの外国からの観光客がお見えになっているのでしょう。本府観光課が平成21年、つまり2009年の観光客府内入込数を発表しております。観光客府内入込数は7,408万人。リーマンショックや新型インフルエンザの影響で、14年ぶりに前年度より減少しました。外国人の方についても宿泊者数が79.8万人と、同じく前年度より減少しています。この数字をどう評価するかということですが、ちなみに、この2009年の日本全体の外国人観光客数は、さきの政府観光局の資料によれば約679万人ですから、日本にお見えになった外国からの観光客679万人のうち約80万人、約12%の方が京都にお泊まりになっておられると単純計算すればそういうことになります。この数字は、私個人の印象としては思いのほか少ないと言わざるを得ません。つまり、日本及びその中での京都という場所は、外国人観光客から見れば決してメジャーな地域ではないのです。その上、このたびの震災及び原発災害です。
京都府にとって、観光産業は極めて重要な産業であります。それだけに、以上述べてきたような憂慮すべき現状にかんがみて、私は、京都の持つ歴史や伝統を改めて見詰め直し、豊富な観光資源を最大限に生かし、観光振興にこれまで以上に力を入れる必要があると考えます。とりわけ、外国からの観光客をいかにふやすかということに、もっともっと意を注ぐべきであろうと考えます。国内観光客が他府県に比べて多いということで満足してはならないと思います。と申しますのも、外国からの観光客をふやすということは、とりもなおさず世界へ向けて日本の復興をアピールすることにつながるからです。外国からの観光客をより多く招致するということは、このたびの震災で直接的な被害を免れ、しかも豊富な観光資源を持つ我が京都府の使命であると、私はそう考えます。
そのためにはまず、日本への観光客の中で近年大きなシェアを占めている中国を初めとするアジア地域からの観光客招致を主要課題に位置づけるべきでしょう。
現在、アジアから日本を訪れる観光客の主な経路としましては、関空から大阪・京都を経て東海地方で宿泊をし、関東へ流れて成田から帰国する、いわゆるゴールデンルートがあります。残念ながら京都は、宿泊を伴わない通過地点でしかありません。京都には、世界歴史遺産の名所や観光スポットが多くある京都市・宇治市は言うまでもなく、南部の山城地域、中部の丹波地域、北部の丹後地域、どこをとってもたくさんの名所があります。ただ、京都市内とその周辺以外は、これまで海外へ向けたアピールが不足していたのではないかと思います。言いかえれば、京都市内から山城地方を経て奈良へと抜ける平安京・平城京を結ぶ南部ルートであるとか、丹波から丹後を抜けて名勝天橋立や舞鶴の近代化遺産を巡回する北部ルート、さらには、南部ルートから紀州方面、北部ルートから山陰・豊岡あるいは北陸方面へとか、京都だけではなく複数の府県をもまたいだ広域観光ルートの確立とその国際的なアピールが、今、大いに求められていると思います。とりわけ北部は、地域経済が大変厳しい状況にあり、観光振興との連動で北部地域へのアクセス強化も喫緊の課題であると考えます。
京都府では、平成23年度当初予算における丹後広域誘客事業や5月臨時議会での補正予算における京都観光緊急回復対策事業など、観光事業の活性化を進めようとしておられます。また一方、舞鶴や宮津では観光を起爆剤に北部地域振興の推進を目指す取り組みもあると聞き及んでおります。
そこで、知事にお伺いいたします。京都府が元気になるために、また、観光を通して日本そのものを元気にしていくために、京都市内から府南部や府北部へつなぐ縦断的な観光行政の具体化、さらには広域連合の特性を生かした広域観光行政の展開について、知事の御所見をお聞かせください。
次に、東日本大震災支援についての質問をさせていただきます。
3月11日の震災発生以来、京都府を初め全国各地から自治体職員、自衛隊員、ボランティアの方々が被災地支援の活動に赴いておられます。
震災復興の最前線では、自治体職員が各機関と支援組織の皆様との間を調整する重要な任務を担っています。ところが今回の震災では、被災地で、地域住民の方々はもとより、自治体職員の多くの方々も被災され、命を落とされております。それだけに、他府県から応援に駆けつける自治体職員は、本来の地元自治体職員の職務を時には代行する存在として、大変重要な役割を担っておられると思います。言いかえれば、他府県自治体から派遣されている職員の方々の中には、なれない土地、しかも甚大な被害に遭遇して地域社会が機能不全に陥っている土地へ出向いていって大変重要な任務を担っておられる方も少なくないわけです。これは敬服すべきことですが、同時に懸念されることもあります。だれもが過酷な職務に耐え切れるだけの強靭な心身を持っているとは限らないのです。
京都府内の各自治体から1万4,000人、うち京都府からは4,500人の職員が被災地支援に駆けつけておられます。被災地支援及び復興支援の任務は多岐にわたり、不眠不休の長時間にわたる業務もあり、過重労働になりがちです。うつや心的外傷後ストレス障害など懸念されることもたくさんあります。お隣の大阪府から派遣されたある職員の方は、岩手県で行政支援活動を行っている最中に体調不良を訴えられて病院に搬送され、そのまま意識が戻らず、5月20日に亡くなったそうであります。そんな残念な出来事もお聞きしております。
そこで、質問させていただきます。復興支援に参加する職員の勤務が過重労働にならないような措置、支援業務後に職場復帰した際に何らかの後遺症などが出た場合の対応について、どのような取り組みがなされているのかお聞かせください。
最後に、今般の初等・中等教育の問題について質問させていただきます。
戦後の我が国の教育というのは、当初の詰め込み型の学力向上至上主義から転じて、すべての児童生徒の生きる力の育成や個性を生かす教育が唱えられ、この理念に基づく教育が公立学校では長らく課せられていました。当時の文部科学省が導入した公立学校の週5日制やゆとり教育は、その方策の一環であったわけです。しかしながら、ゆとり教育は、経済協力開発機構(OECD)による国際的な学習到達度調査の結果にも見られるように、学力の低下を生じさせるなど課題が指摘されてきました。
そこで、子どもたちそれぞれの個性を尊重しつつ、能力に合った授業の実現を求める声があちこちで上がりました。現在、子ども一人一人の学力の伸長を重視する取り組みが、学校・保護者・地域が一体となって各地域で進められております。これは、私個人の見解としては、決して間違った方向ではないと感じております。
実は、私の生まれ育った地域というのが、子どもたちの個性と違いを認め合うことの大切さを議論する中で、全国で初めて中学校に個人選択制習熟度別分割授業を取り入れた地域です。このような取り組みは、今や京都府内のみならず全国の中学校にまで普及・発展しております。「自分の子どもの力に合った教育を進めてほしい」という保護者の声が、地域社会を巻き込んだ議論を生み出し、学校を変え、今この流れが全国に広がっているのです。喜ばしいことだと思っております。同時に、このような中においても取り残される子どもがいないかということが、私にとっては常に気にかかる問題であります。
本府教育委員会が、こうした流れを後押しするような諸施策を推進しておられることも存じ上げております。しかし、そろそろ、推進するだけではなく個別の学力を伸ばすことが教育力の向上にどのように影響しているのかを、京都府としても検証する時期に来ているのではないでしょうか。学力偏重に陥らず、生徒それぞれの能力の伸長を図り、個性を尊重することは原則的にはすばらしいことです。しかしながら、高等教育の領域を含む社会全般が必ずしも学力偏重・学歴主義から全面的には脱却していない我が国の現状では、小・中学校での個性尊重が社会に出てから通用しないおそれもなくはありません。むろん、そのことを踏まえて、「振り返り集中学習」や「まなびアドバイザー」の取り組みが実施されていることも承知しておりますが、果たしてこうした取り組みが十分機能しているのか。いずれにしても検証が必要な時期であろうと思います。
文部科学省の全国学力・学習状況調査では、京都府内の児童生徒については、小学生は全国平均を上回っているが、中学生では平均を下回っていると聞き及んでおります。そうした調査結果を聞く限りにおいては、本府教育委員会が導入している子どものための京都式少人数教育の取り組みは、小学校には成果をもたらしましたが中学校の課題解決に向けた一層の充実が必要との印象を持ちます。
そこで、質問させていただきます。平成21年度に中学1年生を対象とした振り返り集中学習が実施されて、ことしで3年目になります。これを現時点でどのように評価されているのでしょうか。
また、教育力・学力の二極化を補うための一つとしての「まなびアドバイザー」制度も導入以来4年を経過しております。この制度に携わる退職教員や社会福祉士の活動実態をどのように評価しているのか。また、この制度の成果と課題についてどのようにお考えになられているのか、教育長の御意見をお伺いいたします。
以上で、私からの質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。
議長(近藤永太郎君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
知事(山田啓二君)
平井議員の御質問にお答えいたします。
外国人観光客の招致についてでありますけれども、東日本大震災の発生によりまして、各国政府がまず日本への渡航制限をかけました。この影響は大変大きなものがありまして、例えば京都駅前の総合観光案内所「京なび」におきましては、4月の外国人の観光客は対前年比の約75%減、そして京都市内主要ホテルの稼働率も前年度比から見ると20%ぐらい落ち込むというように、本当に外国人の方の姿が京都から消えたという状態になりました。厳しい状況が続いております。
このため、京都府といたしましては、国に対し、まず渡航制限の解除や安心・安全情報の正しい発信などに全力を挙げるよう働きかけを行ってきたところでありまして、渡航制限につきましては、現在ではほぼすべての国で緩和されるところまで来ております。まさに、ようやく反転攻勢に出られる時期が、今、来つつあるというふうに思っております。
このような中、6月2日、中国の国家観光局長を初め訪日団の皆さんが関西を訪問されました。私は関西広域連合の観光担当委員としてプレゼンを行ったわけでありますけれども、同時に、関西広域連合と上海市、江蘇省、浙江省の3つの、大変豊かな地域でありますけれども、この地域の観光連合体との交流合意書の調印にも臨んだところでありまして、中国からの観光については具体的な動きがようやく出てまいりました。
これをさらにとらえて、関西広域連合としましては、返礼の意味も込めて7月に北京・上海でトッププロモーションを実施し、関西は元気であることをアピールいたしますとともに、今、富裕層の動きがかなり出てきております香港にも私は足を伸ばして京都観光のトップセールスを行い、アジアからの観光客誘致、宣伝に全力を挙げてまいりたいと考えております。
この場合、外国人観光客の招致に当たりましては、京都市内だけ見ますとこれは点でありますので、やはり魅力ある広域の観光ルートの設定が不可欠であります。この点から申しますと、御指摘がありましたように私どもは、今まで広域ルートのアクセスにつきましては、京都縦貫道ですとか、舞鶴港の整備でありますとか、さらに蒲入バイパスの整備による丹後半島一周の道路の開通とか、こうしたハード面の整備を進めております。
しかし、ハードと同時にやはりソフトがないと観光というものは動きません。そうしたソフトの面におきましては、「京都 味と匠の巡礼」に基づく観光ルートとしまして、例えば山城のお茶の道でありますとか、鯖街道でありますとか、水運の道とか、丹後の海を結んだ物語、海の栄華をもとにしたようなソフトを用意していくことによって、それとアクセスの向上を結びつけた形で観光客の誘致に努めてまいりたいと思います。
そしてその上で、もっと広い範囲で関西広域連合におきまして、今「関西観光・文化振興計画」をつくっておりますので、今までにないオール関西としての提案をすることによって、例えば関西のマイス(MICE)、ミーティングとかインセンティブとかコンベンションとかイベント、エンターテイメントですけども、こうした総合力を発揮することによって関西全体の観光のパワーアップにつなげていきたいと考えております。
その他の質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。
議長(近藤永太郎君)
森下職員長。
〔職員長森下徹君登壇〕
職員長(森下徹君)
東日本大震災に係る支援につきましては、関西広域連合としてのカウンターパート方式による枠組みを構築し、福島県を中心に職員を派遣し、避難所の運営支援や被災者のケアなどの活動に従事していただいているところであり、今後も十分な支援を継続していくためには、職員の健康管理とその後のケアが重要と考えております。
現地では、議員御指摘のとおり、ふだんの業務と異なる厳しい環境のもとで業務に従事しており、状況に応じた健康管理が求められていることから、派遣前には残業の制限や疾病の有無などを確認し、派遣に支障がないか判断するとともに、現地で体調不良が認められる場合は直ちに申し出るよう徹底を図っており、派遣中におきましても、日々の健康状態や線量計による累積放射線量を確認・管理するなど、健康障害を防止するための措置を講じているところであります。
また、派遣から戻った際には、各所属において健康状態の確認を行い、健康不安が認められる場合には速やかに健康管理医による保健指導を行うとともに、京都府臨床心理士会の支援・協力による心のケア体制などを整えているところであります。
これまで、軽度の外傷が1件のみで大事に至ったケースはありませんが、今後、本格的な復興に向けて土木技術者などの長期的な派遣も多くなってくることから、このような職員の健康管理等につきましても、派遣先の県と地方自治法に基づく派遣協定を締結し、連携の上、常に健康状態を把握するなど、職員の健康管理に万全を期してまいりたいと考えております。
議長(近藤永太郎君)
田原教育長。
〔教育長田原博明君登壇〕
教育長(田原博明君)
平井議員の御質問にお答えいたします。
中学校1年生の振り返り集中学習「ふりスタ」についてでありますが、昨年秋に実施いたしました学力診断テストの結果を見ますと、国語、数学、英語の各教科とも前年度に比べまして学力課題のある生徒が減少しており、1年生の早い時期から取り組まれてきた「ふりスタ」の成果が着実にあらわれているものと考えております。
また、アンケートでも、生徒からは「ふだんの授業でわからなかったことがわかるようになった」という意見や、教員からも「参加した生徒の学習意欲が高まった」といった意見が多く寄せられておりまして、さらに保護者の皆さんからも大変好評をいただいているところであります。
こうした中学校の早い段階で小学校からのつまずきを回復していくことが、学習習慣の定着や学力充実につながるものと考えておりまして、今後とも、生徒一人一人の実態に応じたきめ細かい指導ができるよう充実させてまいりたいと考えております。
次に、「まなびアドバイザー」についてでありますが、経験豊かな退職教員や社会福祉士が教員とは違った立場から、基本的生活習慣や学習習慣が定着していない児童生徒や保護者への相談・指導、社会福祉関係者との連携に当たっているところであります。それぞれの児童生徒の状況に応じた学習支援や家庭支援によりまして、子どもの行動が改善し、教室で落ちついて学習に向かえるようになった事例や、保護者と医療機関等をつなぎ福祉サービスを活用できるようにしたことで家庭の状況が安定し、子どもの不登校が改善された事例などが見られるところであります。
今後は、まなびアドバイザーの役割を教職員がしっかりと認識し、学校が組織として地域社会や関係機関と連携を深めていくことが必要であると考えております。
府教育委員会といたしましては、御指摘のとおり、現在実施しておりますさまざまな施策をよく検証しながら、中学校における京都式少人数教育の一層の充実を図るとともに、一人一人の状況に応じた学習習慣の確立や基礎・基本の定着に向けた取り組みを効果的に進めてまいります。
