議長(林田洋君)
次に、北岡千はる君に発言を許します。北岡千はる君。
〔北岡千はる君登壇〕(拍手)
北岡千はる君
民主党府議会議員団の北岡千はるでございます。さきに通告しております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問いたします。
まず、京都府の生涯学習の推進についてお伺いいたします。
今日の社会情勢を見ますと、少子高齢化が急速に進む一方、地域におけるきずなが薄れていることなど、地域社会の脆弱化が指摘されております。また、他方では、社会の複雑化、高度化による知識型社会への移行や、産業、就業構造の急激な変化の中、一人一人が自己を確立し、社会をしっかりと支えていくためには、生涯にわたって学び続けることがますます重要になってきていると存じます。
特に、厳しい経済・雇用情勢の中で、若者や働き盛りと言われる世代の職業能力を高め、新しい知識や技術を習得するための学習機会を確保するだけでなく、長寿化が急速に進む中で、生涯にわたる生きがいづくりや社会貢献・ボランティア活動を展開していただく上でも、生涯にわたる学習社会を保障する条件整備が必要となっております。
最近の生涯学習活動を見ていますと、俳句や陶芸など、さまざまな趣味の教室を受講することにより、自己の教養を高めるなどの受け身型にとどまらず、仲間の皆さんとともに自分たちのやり方で企画する参加型や、学んだことを生かして講師となる指導型に進んでいく方々もふえております。
今後、多くの団塊の世代の方々が退職されようとしていますが、地域での活動時間が多くなられる皆さんが、防災や防犯といった社会活動や文化・スポーツ活動などに親しまれ、生きがいを持って日々を過ごされることは、元気な地域社会づくりにとっても大変意義のあることと考えます。
このため、京都府では早くから、大学、市町村、専門学校、各種学校、民間カルチャーなど府内の生涯学習を推進する機関が連携する「京都生涯学習推進ネットワーク」を設立され、インターネットを利用した各種講座の開催を行うなど、ソフト事業を中心とする生涯学習環境の整備に取り組まれ、成果を上げてこられたところです。
また、最近では、昨年度の源氏物語や今年度の古典の日記念のITを活用したeラーニング塾などには、定員を超える多くの応募があったと伺っております。
ただ、これまでの生涯学習といいますと、市町村の公民館などで講演会や趣味の教室などが開かれておりますが、より幅広い分野で、他地域の同好の方々とゆったりと充実した交流や研修ができる場が欲しいとの意見も伺っております。また、近年は数多くのNPO等の団体が積極的に社会活動を展開しており、そのような方々からも宿泊施設を持つ学習拠点を望む多くのを声を聞きます。また、学生や文化芸術団体の方々からも自然環境に恵まれた学習の場を望む声も聞くところです。このような声を踏まえ、さまざまな世代や活動をされている方も集うことのできる拠点施設が望まれてきているのではないかと考えます。
私は以前、生涯学習審議会から提言のありました中核的組織の整備について質問いたしましたが、今日の時代的要請に対応すべき拠点施設整備について、改めて知事の御所見をお伺いいたします。
また、人と人とのつながりが希薄になっている世情にあって、一方で、各種の社会活動にかかわりたいという新たなニーズも大きくなってきているところから、人と人とのきずなづくりや、地域を巻き込んでいく手法の提供、そしてそれらを指導できる人材養成と、それに対応する学習プログラムの研究・開発も必要となってきております。
京都府の生涯学習事業の今後の展開としては、このような視点からの支援も必要になってくるのではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。
京都府として、広域的な観点から、府民に身近で生涯学習事業を進めている市町村を支援することに加え、新しいニーズにこたえる政策も推進していただくよう期待いたしますが、本府の生涯学習のこれまでの成果を含め、知事の御所見をお伺いいたします。
議長(林田洋君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
知事(山田啓二君)
北岡議員の御質問にお答えいたします。
生涯学習の推進についてでありますけれども、生涯を通じて学び自分を進歩させるのは、これは人としての大きな喜びでありますけれども、長寿社会に入りましてセカンドライフが言われる現代におきましては、豊かな人生を送るためにも、私は大きな役割を果たしていくものと考えております。
この京都府は大学のまちと言われますだけに、生涯学習の環境は大変整っている地域が中心にございます。ですから、京都府としては、生涯学習審議会の御提言も踏まえ、府内においてこうした学習機会に恵まれない地域の方々を主に対象とするインターネットを活用し、大学教授による高度な内容も提供できる学習環境の整備に努めてきたところであり、京都eラーニング塾等は、これは府民にも大変好評をいただくとともに、その性格上、京都にとどまらず全国的にも高い評価を得ているところであります。
ただ、こうした環境を整えましたときに、逆に府民の皆さんからは、議員御指摘のように、同じ興味と意欲を持つ方が、時には顔を合わせ、十分な相互の交流によりお互いを深め合いきずなをつくることのできる拠点施設を望む声が寄せられるという状況が生まれているところであります。
この拠点施設につきましては、生涯学習審議会におきましても、その必要性が指摘されていたところであり、昨年9月に拠点整備のあり方について審議会内に生涯学習拠点の整備検討委員会が設置され、その機能や具備すべき設備等の具体的な検討が進められているところであります。
検討委員会では、拠点施設は大学等の学習施設と差別化するためにも、相互交流の成果を高める機能的な学習室や宿泊機能を備えるとともに、体験学習の展開が可能な施設が必要との認識が示されておりまして、既存施設で条件に最も適合する府立ゼミナールハウスを活用することが望ましいとされておりまして、今後その答申を踏まえ、私どもといたしましても積極的に検討を進めていきたいと考えております。
また、生涯学習の分野におきまして、例えば団塊の世代の方々が退職後地域のためにという動きは、地域力再生運動などを通じましても非常に大きな力を発揮しているところであります。今後さらに府民協働を主眼とする府政にあって、この分野は大切な分野でありますので、人と人とのきずなづくりや、地域を巻き込んでいく手法と、その指導人材の養成に対応できるプログラムの開発は今日的な課題であると考えているところであります。
京都府では、既に雇用対策の一環として、大学、NPOとも連携して公共人材の育成に当たることにしておりますけれども、こうしたプログラムや、さらに地域力再生ででき上がりつつあります地域づくりのネットワークとも連携して、新しいシステム、プログラムの開発に当たって積極的に対応してまいりたいと考えておりまして、こうした拠点づくりや学習プログラムの開発を通じまして、さらに生涯学習の充実に努めてまいりたいと考えているところであります。
議長(林田洋君)
北岡千はる君。
〔北岡千はる君登壇〕
北岡千はる君
御答弁ありがとうございました。生涯学習にかける思い、そしてまた新しいニーズにこたえる政策の推進について積極的なお取り組みをしていただくというその姿勢をお示しいただきましてありがとうございました。具体的な拠点施設として、府立ゼミナールハウスという御答弁をいただいたところですが、いろんな課題もあるかもしれませんが、魅力ある施設づくりになるような配慮、お取り組みをぜひともお願いを申し上げておきたいと思っております。
それでは、次の質問に入らせていただきます。
安心して産み、子どもを愛し慈しみ、楽しんで子育てのできる施策の推進について、とりわけ、妊娠中からの一貫した子育ての支援について、数点につきまして質問をいたします。
妊産婦の心と体をサポートし、1人で不安や心配を抱くことなく、パートナーや身近な家族はもちろんのこと、地域の人々や医師、保健師、助産師などの協力を得ながら、みんなで子育てをしていける環境と支援体制の構築が不可欠です。
また、育児のテキストどおりでなくてはならないと考えてしまわないことや頑張り過ぎない育児をすることが負担感を軽減し、生き生きとした育児の秘訣とされておりますが、これらのことにはパートナー等のサポートが必要です。
そして、妊産婦の孤立感をなくし、妊産期のさまざまな課題と実態、その背景等を検証する中で、必要な支援と施策の充実を図らなければなりません。
まず1つには、妻の妊娠から産後期における夫の心理変化の傾向にポイントがあります。夫は妊娠の判明時のうれしいという心理状態の後、無力感や孤独感の大きくなる時期があり、出産時にはまた、うれしい気持ちへ心理が変化していきますが、出産後しばらくは憂うつな心理状態になる傾向にあるという点であります。
産後直後の女性の中には、ホルモンの変化の影響により、感情が不安定な状態になるマタニティブルー、いわゆるうつ状態になりやすいと言われておりますが、その状態の妻をサポートすることが望まれる夫にそのうつ状態が移りやすいため、男性へのケアも必要であります。
2つ目のポイントは、初産を迎える母親の年齢が高齢化している点です。母親の高齢化は、その親の年齢も高くなることから、産後の支援が得られにくく、また親の介護の問題等と重なることなど負担感が大きくなる現状が見られ、35歳以上の初産の母親では若い母親に比べ、産後、精神的な病にかかる確率が高いというデータもあります。
人口動態統計によると、京都府内においては、平成19年では、30歳から34歳の母親から生まれた子どもの数は、前年度比245人の減少で、35歳から39歳の母親は264人の増加、また40歳から44歳の母親から生まれた子どもの数は53人の増加となっており、高齢出産の傾向がうかがえます。よって、身体的なサポートとともに、精神的及びおのおのの家族状況に即した支援が必要と考えられます。
3つ目のポイントは、児童虐待の実態に見られる現状であります。平成21年7月の社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会報告によりますと、平成19年1月1日から15カ月間に発生または明らかになった児童虐待等による死亡事例115例142人を対象にした集計結果の分析では、心中を除くと死亡した子どもの年齢では、ゼロ歳児が5割弱で、特に1カ月未満に集中しています。そして、主たる虐待者である実母の妊娠期、周産期では「若年妊娠」「望まない妊娠」「母子健康手帳未発行」「妊婦健診未受診」「乳幼児健康診査未受診」に該当するケースの割合が高いとされており、ただ、これ以外にもさまざまな要因が虐待を招いており、産後の小さな不安の積み重ねが要支援家庭となる危険性があると考えられます。よって、母子の支援だけにとどまることなく、寄り添い見守り続けるケアと、ともに子育てをするパートナー等のケアが求められます。
以上、妊産期支援を目的とした活動をされている団体の皆さんの問題意識や関係者の方々からの声もお聞きする中で、諸課題について申し述べましたが、京都府における妊産期の支援に対する基本的考えと、近年の妊産婦の現状と必要なサポートのあり方について、どのようにお考えかお聞かせください。
さて、国においては平成19年4月に「生後4カ月までの全戸訪問事業」、いわゆる「こんにちは赤ちゃん事業」を創設し、平成21年4月から、同事業は「乳児家庭全戸訪問事業」として児童福祉法に位置づけられ、市町村に実施の努力義務が課せられることとなりました。あわせて、事業の円滑な実施を図るため、国は3月に「乳児家庭全戸訪問ガイドライン」を策定し、その運用に当たって「市町村においては、本ガイドラインを基本として事業を実施するとともに、地域の実情に応じて本ガイドラインの内容を超えて一層の取り組みが行われることが期待されるものである」としています。
東京都においては、都内区市町村における「こんにちは赤ちゃん事業」の実施状況を調査し、その結果を踏まえながら、各地域の実情に即した新生児訪問と「こんにちは赤ちゃん事業」のあり方について、「東京都版ガイドライン」としてまとめられております。また、京都市においては、妊産期の支援に対する数々の施策を実施、充実に努められています。
妊婦に対する主な施策では、母子健康手帳発行時の面接において、ハイリスク妊婦に対し、心身の健康状態の確認及び保健指導の実施、また、産後うつ病予防の普及啓発や禁煙指導が実施され、加えて、京都市独自テキスト「赤ちゃんといっしょ」の配付や妊婦とその家族対象の各種サポート事業、さらに妊婦の健康検査や妊婦歯科相談等の事業が行われております。出産後の支援では、京都市独自事業とともに新生児等訪問指導事業「こんにちは赤ちゃん事業」において、生後4カ月までの乳幼児のいる全家庭を訪問し、育児に関する不安や悩みを聞き、相談に応じるほか、子育て支援に関する情報提供や母子の心身の状況や養育環境等の把握及び助言を行っています。市内各保健所及び支所が実施機関であり、その訪問は、平成21年10月31日現在で87.3%と9割近い実績であり、未訪問者への対応にもさまざまな取り組みによる全数の状況把握に努められていると伺っております。特に、EPSD(エジンバラ産後うつ病質問票)を使用した母親の自己記入による調査に基づき、結果、要支援の方には保健師による継続支援対象者としての対応をされていることは大変重要な取り組みの一つであります。
そこで、知事にお伺いいたします。
「こんにちは赤ちゃん事業」は、市町村の実施事業であることはよく承知しておりますが、京都府として、府内の実施状況を把握し、必要な情報提供を初め事業発展に向けて効果的な市町村間の連携・協力を促すような取り組みと「京都府版ガイドライン」の作成についてのお考えについてお聞かせください。
さらに、妊産期の支援について、看護職の立場から、京都府のさまざまな支援を受けて起業された方が経済産業省のソーシャルビジネス55選の一つとして選定されたと聞き及んでおります。その選定された意義と子育てにおける男女共同参画の推進の視点から、妊産期における支援の充実について、どのような取り組みが必要とお考えか、知事の御所見をお伺いし、以上で私の質問を終わります。
御清聴まことにありがとうございました。
議長(林田洋君)
浅田健康福祉部長。
〔健康福祉部長浅田良純君登壇〕
健康福祉部長(浅田良純君)
妊産期の支援についてでありますが、近年、少子化や核家族化の進行により、地域のきずなや人と人とのつながりが希薄化し、出産や育児の知識・経験が伝わりにくくなったことから、これらの情報がほとんどない家庭もふえている中で、妊産婦に対する精神的、経済的な負担感の軽減はもとより、妊産期を取り巻くパートナーや家族などへの、家庭の状況に応じたきめ細かな支援が必要となっているものと考えております。
このため、母子保健法に基づき市町村が実施する妊産婦教室においても、妊産婦のみを対象とするのではなく、両親教室として積極的に父親の参加を求める市町村もふえてきており、内容も、沐浴、おむつがえなどの育児方法の習得や精神科医による妊婦の心理状態の講座などを実施するなど、父親に対するケアに取り組むところも見られるところであります。
京都府といたしましては、こうした先進的、効果的な取り組みを積極的に他の市町村に情報提供するとともに、京都府こども未来基金の地域子育て創生事業を活用し、妊産期の支援に対する取り組みが一層充実されるよう支援してまいりたいと考えております。
また、新年度予算でお願いしている「子育てに優しい京都府づくり推進事業」の携帯電話による子育て情報発信事業において、父親や家族にも役立つ情報を盛り込むなど、妊産婦やその家族への支援の充実に努めてまいります。
「こんにちは赤ちゃん事業」につきましては、保護者に寄り添い、育児の不安や悩みをお聞きしたり、親子の心身の様子や養育環境の把握を行い、関係機関の連携による支援につないでいく重要な事業であると考えております。現在、府内では20市町村において実施されておりますが、今後、未実施市町村に対する働きかけを強めるとともに、各市町村の情報交換や里帰り出産などで必要となる市町村間の連携などが適切に行われるよう研修会や連絡会議を開催するなど府独自のガイドライン作成の必要性も含めて、実施主体である市町村の御意見を伺いながら積極的な支援に努めてまいりたいと考えております。
また、議員御紹介のソーシャルビジネス55選に選定された事業は、妊産婦とパートナーのサポートを看護職が妊娠中から産前産後まで一貫して行うことが評価されたものであり、子育てにおける男女共同参画を進める上でも、妊産期をパートナーとともに乗り切ることの大切さを踏まえた取り組みとして非常に効果的であると考えております。
今後とも、このような民間の柔軟な発想による先進的な取り組みが行政施策と相まって一層積極的に展開されるよう、女性チャレンジ支援事業などにより必要な支援に努めてまいりたいと考えております。
