
議長(林田洋君)
次に、中小路健吾君に発言を許します。中小路健吾君。
〔中小路健吾君登壇〕(拍手)
中小路健吾君
民主党京都府議会議員団の中小路健吾でございます。私は会派を代表いたしまして、さきに通告しております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問をいたします。
初めに、京都府における中長期的な財政運営の見通しについてお伺いします。
今定例会に提案されています11月補正予算案についてでありますが、年末・年度末を迎えるに当たり厳しい状況が予想される中小企業に対する制度融資枠の拡大、失業者や低所得者への生活福祉資金貸付制度の原資追加などの生活支援、いまだ明るい兆しすら見えない雇用情勢に対応するための高校新卒未就職者への緊急支援、生活・就労年末緊急ワンストップ相談窓口の設置、さらには新型インフルエンザ対策など総額約225億円の規模となっています。
本府では、本年度当初予算において、「京都温め予算」と銘打ち、「雇用・経済」を温める、「生活」を温める、「未来」を温めるという基本的な姿勢が示され、その後、6月補正では総額約745億円、9月補正では総額約96億円の補正を行ってまいりましたが、今回の補正予算案も基本的にはその延長線上にあるものであり、知事の「厳しい時代だからこそ公共がより一層の役割を果たすべきだ」という理念に基づくものではないかと存じます。
こうした知事の府政運営に対して、我々民主党議員団として高く評価するものであります。
現在、こうした一連の予算に基づいて事業の執行に日々御尽力をいただいているところかと存じますが、全体としての事業の進捗状況やその成果について、どのように総括されておられるでしょうか。日々刻々と変化する経済・雇用情勢や事業を執行していく中で新たに浮かび上がる課題など、来年度予算の編成作業を迎えるに当たり、編成の指針となる考え方について知事の御所見をお伺いします。
さて、こうした厳しい経済・雇用情勢などに対応するための積極的な予算編成は、当然のことながら大幅な歳出の増加につながることは言うまでもありません。このことは、今回の11月補正を行ったとすれば一般会計予算額が約9,552億円となり、昨年度12月補正後の約8,399億円という数字と比較をしてみても明らかであります。一方で、先ほど知事の御答弁にもございましたように、本年度の府税収入は大変厳しい状況にあるとのことですが、来年度についてもさらなる減収が懸念されるところであります。
そこで、まず、中長期的な財政運営という観点から、公債費プログラムについてお伺いします。
本年度現時点での府債発行額は、予算ベースで既に1,600億円を超えています。この中には、臨時財政対策債も含まれておりますし、年度末の決算時において来年度への繰り越し等が発生する可能性もあるわけですが、平成20年度決算ベースの1,150億円からは大幅に増加をする見通しです。
こうした状況のもと、公債費プログラムで計画されているように、平成24年をピークに臨時財政対策債や災害復興関連の起債を除く府債残高は減少に転じるということは可能とお考えかどうか、改めて知事の御所見をお伺いします。
また、仮に平成24年をピークに府債残高が減少に転じることが可能だとしても、その額についてはどのように見込まれておられるでしょうか。
あわせて、公債費プログラムの運用から5年が経過した現在、今後の公債費プログラムのあり方や課題についても御所見をお伺いします。
さて、今後の本府の財政運営について、中長期的に、より大きな視点から考えるとき、極めて重要な要素となるのが国と地方をめぐる財政構造改革の方向性です。
現在、国での政権交代を受け、さまざまな面で変化の兆しが見え始めています。我々民主党は、さきの総選挙のマニフェストにおいて「地域主権社会の確立」をうたい、地方における自主財源の増加を目指した地方交付税制度の改革や「ひもつき補助金」の廃止と「一括交付金」の創設を国民に対して約束をいたしました。
現在、そうした改革のための議論がまさに端緒についたところであり、国で進められている事業仕分けもまたそうした議論の一過程にほかならないと存じます。事業仕分けについては、来年度予算の編成との兼ね合いもあり、廃止や減額といった削減額などその結論だけが余りにもクローズアップされてしまっている感が否めませんが、あくまで、行政が税を使って行うことの妥当性や合理性、縦割り予算による重複の排除、事業の執行の仕方など個別事業ごとの論点を明確にするものであり、同時に、分権改革の観点からは、「だれが」その事業を主体的に担っていくべきなのかを議論していくためのツールでしかありません。その意味において、事業の裏づけとなる財源の議論と表裏一体でなすべきものであり、分権改革を求める地方自治体の立場から言えば、税源移譲や交付税改革、新たな一括交付金制度など国と地方の財政構造をどのように変えていくのか、そういう議論とセットして行われてこそ、真の地域主権社会の確立がなされるものだと言えますし、そうした議論の過程において、我々地方の側からもより具体的に制度設計に携わっていく必要があろうかと存じます。
そこで、これからまさに進んでいくであろう国と地方をめぐる財政構造改革に向けて、知事はどのような姿を目指しながら国との議論に臨んでいこうとされておられるか、率直な思いをお尋ねいたします。
議長(林田洋君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
知事(山田啓二君)
中小路議員の御質問にお答えいたします。中小路議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして府政運営につきまして高い評価を賜り、厚くお礼申し上げます。
今年度は、雇用・経済問題等で冷え込んでいる京都を温めるために思い切った当初予算を編成し、各補正予算につきましても、一貫して京都を温める施策を進めてきたところであります。こうした中で、雇用につきましては、有効求人倍率が全国平均を上回っておりますものの依然大変厳しい状況が続いておりまして、ドバイショックなどによりまして景気の二番底が懸念される中、なお一層の取り組みを進めるために今回も11月補正予算をお願いしているところでありまして、こうした事態を考えますと、これはやはりかなり長期戦を覚悟しなければならないというふうに思っております。
また、ことし講じました多くの温め予算の中には特に人づくりを中心としたものもございますので、そうした面から、こうした成果が出てくるのも、やはり長い目で見ていかなければならないというふうに考えておりまして、私は今は着実に「京都温め予算」を実行していかなければならないと思っているところであります。
それだけに、逆に、地域力再生ですとか府民公募型公共事業など、府民の皆さんとの連携のもと、京都府の基盤、きずなを一層を強くする事業が職員の皆さんの頑張りのもと一定の成果を上げてきているという点は、私は大変心強く思っているところであります。
来年度は、いわゆる骨格的な予算となりますけれども、府民の雇用・生活対策など年度当初から待ったなしの取り組みが必要な緊急課題につきましては、その対応は欠かせないと考えており、こうした観点から今議会にも債務負担行為をお願いしているところでありまして、今後、また議会のぜひとも御議決のほどをよろしくお願い申し上げたいと思っております。
次に、公債費プログラムについてでありますけれども、今年度は地方財源の不足を補てんするために、都道府県におきましては、これは全体として地方交付税が増額されたということになっているんですけれども、増額分のほとんどは市町村に振り向けられまして、都道府県のほうは臨時財政対策債の増額で措置をされました。私は、この制度というのは、まさに先送りの制度でありまして、国と地方の両方が何となく責任感を持たないまま地方の債務がふえていく、何とかしなければならない制度だというふうに思っておりますけれども、とにかく人件費を含めまして基本的な費用を賄わなければならないものでありますので、こういった中にやっぱり府債残高がふえているという事実があります。
公債費プログラムにおきましては、こうした国の財政上の都合によるものを除いた府債残高を見ておりまして、ことしも投資的経費を中心に大変伸ばしましたけれども、今の段階では、これが一時的なものにとどまれば、まだ平成25年度からの減少見込みというものは困難ではないというふうに考えているところであります。
そうした中で、恐らくピーク時の残高につきましては、今申し上げました臨時財政対策債等を除きますと、1兆2,000億円をちょっと超える程度になるのではないかなというふうに思っておりまして、それからはこれから毎年減っていく形になってまいります。しかしながら、減らすことの目標というよりは、これは安定的な公共事業と公債費の関係を築いていくためのものでありますから、今後の経済情勢を見据えながら、公債費の適切な管理を行っていきたいというふうに考えているところであります。
次に、国と地方の財政構造改革についてでありますけれども、議員御指摘のとおり、事業仕分けというのは、本来、事業の論点を明らかにすることによって事業の本質的な改革につなげていこうということを目的とするものであります。ただ、国の事業仕分けの場合には、膨れ上がりました概算要求を抑えるために、歳出の削減にマスコミも含めて話題が集中してしまった感があります。
しかしながら、問題点は、ここで指摘されたさまざまなことについて、これからどういうプロセスをたどって一番いい方向に持っていくべきなのか。例えば、まちづくり関連事業や下水道事業などが地方移管というふうに結論づけられておりますけれども、もともと下水道事業を実行しているのは下水道事業団を除きますと都道府県とか市町村でありますので、この移管というものが一体何を意味しているのか、そしてそのときにどういう形で財源措置を持っていくのか。今回、公共事業も大幅な削減になっておりますけれども、例えば維持管理などいつまでも国が直轄事業でやっているのか。これはやっぱり、国、都道府県、市町村との間できちっとした役割を財源も一緒に移管することによって初めて効果的な公共事業の執行ができることによって、この目的が達せられるということを考えますと、議員御指摘のとおり、これからオープンな国と地方の協議というものがなければ、こうした事業仕分けの前向きな結論は得られないと考えております。
それだけに、私どもは、真の地域主権社会を目指すために国と地方の協議の場というものを設けようということを、今、国に対して申し入れておりまして、そのための交渉がこれから始まってまいりますけれども、私も知事会では責任者になっておりますので、これからも、本当に形式的な協議ではなくて、自主的な前向きの協議を国と地方がお互いの課題を指摘し合いながらできるようなものになるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
議長(林田洋君)
中小路健吾君。
〔中小路健吾君登壇〕
中小路健吾君
御答弁ありがとうございました。
まず、また来年度の予算編成も本当に厳しい状況が予想されると思います。そういう中において、今年度の当初予算で示された温め予算、この中には、雇用・経済を温める、それから生活を温める、同時にやっぱり未来を温めるというところがあったというふうに思います。その意味では、当然今の厳しい状況の中で、行政としてあるいは政治としてしっかりとてこ入れしなければならないところはあると同時に、未来に対してどういう展望を描いていくのか、そういうことを含めた予算編成をぜひとも来年度お願いをしたいなというふうに思っております。
それから、国と地方の財政構造改革の取り組みでございますけれども、今、多くの制度が変化をしようとしておりますし、さきの総選挙で国民は変化を選んだと思います。そういう意味では、その変化に対して拒絶反応を示すのではなくて、やはり前向きに、今からどういう絵をかいていくのかという、ある意味非常に大きなチャンスが我々の目の前にあるんだというふうに思っております。
そういう中において、我々民主党京都府議会議員団といたしましても、しっかりと地方からの立場を党本部に対してもメッセージを発していくということをお約束申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
次に、北山文化環境ゾーンの今後のあり方についてお伺いをいたします。
御案内のように、北山地域は、植物園や総合資料館、府立大学などの府立施設や京都市のコンサートホールなどが集積すると同時に、賀茂川など豊かな自然環境もあり、多くの府民に憩いの場を提供している地域です。
現在、本府においては、こうした立地条件や既存施設を活用し、北山地域を文化・環境・学術の交流・発信拠点として整備をしていくためのまちづくり構想が検討されており、本年4月には「北山文化環境ゾーン整備推進委員会」が設置されました。先般10月には、推進委員会の検討報告がなされ、老朽化していた総合資料館の建てかえや府立大附属図書館との連携、「国際京都学センター」の設置などの方向性が示されたとお聞きをしております。
そこで、まず、推進委員会での検討結果、整備の方向性、今後の検討予定がどのようになっているのかお伺いいたします。
さて、このように北山文化環境ゾーンにおけるハード面での整備等については、鋭意御検討いただき、その方向性も見えつつあるかと存じますが、今回は北山文化環境ゾーンにおけるソフト面での対策について数点お伺いをしたいと思います。
北山地域の中核施設の一つは言うまでもなく府立植物園です。府立植物園は、大正13年以来の大変長い歴史を有し、多くの府民に親しまれてきました。また、同時に、1万2,000種、12万本の植物を保有し、その技術力についても国内外から高い評価を得ています。利用者数についても、一時は年間60万人台で推移しておりましたが、平成18年に70万人を超えて以降、平成19年には75万3,000人、平成20年には76万8,000人と回復基調にあります。これらは、「花の回廊」などの展示会や桜のライトアップといった創意工夫と努力が成果を上げつつあるからではないかと思われます。そして、同時に、こうした植物園の魅力を向上させる取り組みを支えているのは、これまで培ってきた植物園の高い技術力ではないかとも思われます。
そうした観点に立ったとき、こうした植物園が有する技術力を今後どのように継承していくのかという点が大きな課題になるのではないでしょうか。
現在、府立植物園の職員数は35名です。事務職が7名。農業・林業等の技術職が10名。園芸等の協約職が18名という内訳になっており、すべての職員の方の平均年齢は52.6歳となっています。これは、オール府庁の平均年齢が43.2歳という数字と比較しても極めて高いと言えるのではないでしょうか。また、職種別で見ても、技術職の方の平均年齢が49.6歳、協約職の方の平均年齢が54.2歳となっており、最も若い職員の方も35歳という構成になっています。こうした職員の年齢構成を考えたとき、これまで蓄積されてきた技術や知識の継承ということが果たして可能なのかどうか懸念を覚えてしまいます。
こうした傾向は、もう一方の北山文化環境ゾーンの中核施設である総合資料館においても見られます。総合資料館については、本年、社会環境の変化や多様化する府民ニーズにこたえるため、京都に関する資料の収集・保全、公文書館機能の充実、研究・学習・教育支援などネットワークの強化などを柱とした「総合資料館基本構想」が策定されたところであり、北山文化環境ゾーンの構想においても、その中心的な施設となることが期待されています。現在、総合資料館の職員数は、事務職21名、司書職等13名、保安の協約職4名の計38名で、平均年齢は51.4歳となっており、ここでも平均年齢の高さはオール府庁と比較をしても高くなっています。
このような現状を考えると、今後の北山文化環境ゾーンの中核施設でもある両施設における職員の人材育成というのが急務ではないでしょうか。とりわけ、これら両施設のこれまでの研究成果や経験・知識の集積、技術力の継承という観点から、技術職や司書職など専門性の高い職種の若い人材を育成することは極めて重要だと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
あわせて、こうした人材育成などの観点も踏まえた、府立大学との連携についてもお伺いいたします。
先般10月に、京都府議会北米調査団の一員として、アメリカのピッツバーグとサンフランシスコ、カナダのバンクーバーの3都市で調査を行いました。合計7カ所での調査を行いましたが、それぞれの都市において共通して感じたことは、まちづくりや行政運営、地域の公的課題の解決などにおいて、地元の大学の存在感が極めて高いという点です。
調査に訪れたピッツバーグ大学の医療センターは、医療機関の中核であると同時に、4万5,000人を超える方が働く地域最大の雇用先でもあります。また、都市再開発公社では、ピッツバーグが鉄鋼のまちから最先端産業が集積するまちへと変貌できた背景を語るとき、地元のピッツバーグ大学やカーネギーメロン大学などに集積された「知」と「人材」をなくしては語れないということもお伺いいたしました。また、ブリティッシュコロンビア州立大学の研究機関であるマルコム・ナップ・リサーチフォレストでは、そこでの研究の蓄積が国や州の森林保全や林業などの産業政策に大きな影響を与えています。サンフランシスコで訪れたスタンフォード大学では、まさに大学で集積された「知」の活用によって地域の産業を支えていますし、その一つの象徴的な例がシリコンバレーであるということは余りにも有名な話です。
このように、地域に活力を与える原動力として大学が果たす役割は極めて大きいものであり、地域に大学があるということは、そこに集積された知識や育成される人材の活用の仕方次第で大変大きなアドバンテージにもなり得ます。こうした観点から、北山文化環境ゾーンの今後を考えた場合、府立大学の果たすべき役割も大きいものがあり、先ほど述べた府立植物園や総合資料館などの人材育成という課題を重ね合わせると、府立大学と両施設の連携は不可欠なものと言えます。
そこで、今後、北山文化環境ゾーンにおいて、施設面での連携を進めると同時に、府立大学と植物園や総合資料館との人事交流を活発化させていくべきかと存じますがいかがでしょうか。知事の御所見をお伺いします。
次に、児童虐待防止対策についてお伺いします。
平成18年10月に長岡京市内で発生した大変悲しい虐待事件から3年が経過をいたしました。その後、さまざまな対策がなされてはいるものの、いまだなお子どもが犠牲となる悲しい事件を報道等で目にしてしまうのが現状です。本府における児童虐待相談の受理件数についても、平成17年度293件、平成18年度381件、平成19年度485件と急激に増加しておりましたが、平成20年度には370件、前年度比76.3%と減少に転じています。これは、宇治、京都、福知山の3つの児相に共通の傾向でもありますが、まだまだ多くの虐待に関する相談が寄せられているとも言えます。
さて、本府における対策ですが、平成18年の事件を受け、48時間ルールによる安否確認、見守り対応のルール化、虐待相談ITシステムの導入による情報の共有化、保健所への虐待対応専任職員の配置など組織強化といった対策がなされているところです。また、関係機関の連携については、すべての市町村に要保護児童対策協議会が設置されるなど、地域における連携も進められています。さらに、これらの対策や取り組みについては、平成19年度以降、児童相談所業務外部評価委員会が設置をされ、さまざまなケースを事例に取り上げながら、外部からの評価がなされているところでもあります。
そこで、まず、こうした外部からの評価も含め、児童虐待対策に関する現状と課題について、どのようにとらえておられるのでしょうか。
近年、本府に寄せられる虐待の相談内容についても、身体的虐待以上にネグレクトが増加しているともお聞きをしておりますが、こうした発見が非常に困難な事例の増加など、対応すべき事例も変化しつつあるのではないかとも存じます。こうした傾向も踏まえた上で、本府の御所見をお伺いします。
次に、こうした児童虐待問題を考えるとき、本質的な問題の解決という観点からは、虐待そのものを未然に防止すること、あるいは虐待がエスカレートするのを早期の段階で食いとめることにあることは言うまでもありませんが、極めて難しい課題であることも事実です。以前の質問の御答弁では、子育てに対する不安の解消や地域で子育てを支え合うための相談体制の整備、子育て支援団体とのネットワーク構築を図っていく旨の御答弁がありましたが、その後の取り組み状況についてお聞かせください。
また、来年度には家庭支援総合センターが開設を予定されていますが、児童虐待対策やその未然防止対策においても多くの機能が求められていると存じます。そこで、現在、児童虐待対策という観点から、家庭支援総合センターが果たすべき役割、具体的な機能等についてどのように考えておられるのか、本府の御所見をお伺いします。
児童虐待の問題は、家庭という極めて閉ざされたプライベートな空間で起こる問題だけに、地域や行政などの外部から対応するのが非常に難しい課題です。また、それぞれのケースにおいて、虐待が起こった背景や要因も決して一律ではなく、ケースごとに難しい判断が迫られます。先ほどの、外部委員会の評価報告書の事例やさまざまな現場で活動されている方々からお伺いする話からも、そうした状況の中で現場で事例に当たられている関係者の皆さんが、「保護者との距離感をどうとるか」「どこまで踏み込んでよいものか」など、日々、御苦労と苦悩を抱えながら対応されていることがよくわかります。
確かに、この問題は、家庭生活に対して公共がどのように、どこまでかかわっていくのかという極めて難しいものかもしれません。しかし、全く罪もない子どもたちが虐待の被害に遭っているという悲しい現実、あるいはその可能性が私たちの目の前にあるという事実を受けとめるとするならば、社会全体として虐待に対して深くかかわっていくという強い意志なくして、この問題の解決はあり得ないのではないかと考えます。
本府においては、京都府子育て支援条例の第12条において児童虐待の防止等の推進を規定はしておりますが、今申し上げたような観点からも、さらに踏み込んだ児童虐待の防止及び児童虐待ゼロを目指していくための条例制定を考えるべき時期に来ているのではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
議長(林田洋君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
知事(山田啓二君)
北山文化環境ゾーンについてでありますが、この地域は京都を代表する豊かな文化・学術・環境に恵まれた地域であるものの、そこに立地をしております府立大学、植物園、総合資料館、コンサートホールといった施設が一体的に機能しているかというと、必ずしもそうは言えず、まちとしての一体感を高めることによって、こうした各施設のポテンシャルを生かすことが課題になっているのではないかなというふうに思っております。
この点を踏まえまして、北山文化環境ゾーン整備推進委員会からは、新総合資料館は府立大学との合同施設に、また、国際京都学センターを設置、府立医科大学・京都工芸繊維大学・府立大学の連携拠点にふさわしい施設整備、そして日本一おもしろく心安らぐ府立植物園の整備とか、開放感あふれた歩いて回りたくなるまちづくりといったような御意見をいただいているところであります。
現在、整備委員会を設置し、新総合資料館については基本計画の策定中でありまして、この中で機能やそれに応じた建物の詳細を定めていく。また、3大学の連携拠点については、教養教育合同棟の具体化をしていく。植物園につきましては、ボタニカルウインドウ・テラスなど魅力ある施設の整備の具体化を進めていく。そして、まちづくりにつきましては、こうした施設の配置と動線などの検討を進めているところであります。
植物園、総合資料館における人材育成についてでありますけれども、団塊の世代にあります専門技術・学術職員の大量退職が見込まれております中、植物園の世界的レベルの栽培技術や総合資料館の古文書等の保存・伝承技術を将来にわたって継承していくためには、若手職員のしっかりとした育成とともに、豊かな理論・知識・技術を持ったすぐれた人材を必要に応じ確保することが不可欠であります。
このため、本年は植物園と総合資料館に高度な経験・技術を有します即戦力の人材を各1名採用・配置いたしましたけれども、今後とも、職員の年齢構成等を踏まえ、専門的な資格等を有する職員の採用を計画的に進め、必要な技術レベルの安定的な確保に新規採用とともに努めていきたいと考えております。
そして、そうしたことを考える上で非常に重要なのは、やっぱり人材交流ではないかなというふうに思っておりまして、本年3月に、府立大学・総合資料館・植物園の3機関が協定を結び、人的・知的資源の相互交流を行うことにしておりましたけれども、特に府立大学と総合資料館におきましては、今回の新施設の一体的な整備を契機に必要な人的な連携と交流をさらに進めてまいりたいと思いますし、府立大学と植物園におきましても、教育面や学術・研究面での人的交流を図るといったような形で一層連携を深めていき、将来的には、ある面では植物園で学びながら、それが府立大学で学ぶこととの共通の基盤を持てるとか、資料館での研究自身が府立大学との研究に通じていく、そうした両方の効果が相乗的になるような連携を深めていきたいと考えているところであります。
次に、児童虐待防止対策についてでありますけれども、長岡京市で発生しました悲惨な事件に対しまして、検証委員会の提言を踏まえ、京都府としては、業務の総点検を行い、迅速な対応や組織的な情報共有、市町村における要保護児童地域対策協議会の設置促進など、虐待防止に向けて全力で取り組んできたところであります。その結果、児童相談所等府の機関による48時間以内の安否確認と情報共有の徹底、それから、協議会の全市町村での設置といったような一定の成果を上げて、外部評価委員会からもその点については評価を受けているところであります。
しかしながら、議員御指摘のとおり、今や身体的な虐待よりもネグレクトのほうが件数としては多いという時代になってまいりましたし、こうした中、なかなか外部から非常に探知しにくい困難な、また複雑化するケースが多くなってきております。相談件数は、御指摘のように平成20年度は一時的に減少しましたけれども、今年度に入ってからまた2割程度増加が見られます。こうした安心できない状況でありまして、検証委員会からも、市町村における安全確認の仕組みづくりですとか、関係機関相互のさらなる情報共有、そして専門性・スキルのアップといったものが指摘をされているところであります。
このため、乳児のいる家庭への全戸訪問の推進や、育児不安や負担感を軽減するため、NPOとのプラットホームを踏まえまして、地域の人脈・資源を活用した継続的な子育て支援のネットワークづくりなど体制の整備を進めているところであります。
また、複雑・困難な事例に対しましては、家庭支援総合センター、来年度開設予定でありますけれども、ここに福祉司や心理士等の集中配置を行いますとともに、医師・弁護士等による専門家チームの新たな設置、重点的に心のケアの必要な子どもの一時保護など、非常に専門的な立場からの横断的かつ多角的な相談・支援できる体制の充実を図ろうというふうに考えておりまして、児童相談所をバックアップしてしっかりと体制を整えていきたいというふうに思っております。
条例につきましては、条例という性格上、義務づけや禁止措置などの条例事項の問題がありますので、こうした点を今後検討しながら進めていきたいというふうに思っておりますけれども、まずは京都府子育て支援条例、これに基づいた措置というものを徹底していくことが一番喫緊の課題ではないかと考えております。
議長(林田洋君)
中小路健吾君。
〔中小路健吾君登壇〕
中小路健吾君
御答弁ありがとうございました。
幾つかまだこれからの課題もあろうかと思いますが、若干時間がなくなりましたので、今後とも、また取り組みさせていただきたいと思います。
最後に、府営水道についてお伺いします。
現在、本府においては、広域的な水運用による新規投資の抑制や水運用の効率化によるコスト削減と、大規模地震等の非常時におけるバックアップ体制の確立を目指し、宇治、木津、乙訓の3浄水場を接続するための事業が進められており、計画では来年度からの統合水運用が予定をされております。
そこでまず、現在の工事の進捗状況及び運用開始のめどについて、どのように考えておられるのかお伺いいたします。
また、こうした3浄水場接続事業を受け、今後の府営水道の供給料金のあり方については、本年3月の第39回京都府営水道事業経営懇談会で議題として提起されており、現在、整備コストの試算や料金への反映、3浄水場ごとに異なる料金体系のあり方について、小委員会での検討がなされているところかと存じます。
そこで、現在の検討状況及び今後のスケジュールについてお聞かせください。
さて、これら3浄水場系の中でも乙訓地域の水道事業経営については、これまでから非常に厳しい環境の中にあることは御承知のことかと存じます。そうした状況の中、平成20年には乙訓系の基本料金単価について5円の引き下げを行っていただきました。このときには、同時に、京都府と乙訓地域の中でも大山崎町を除く長岡京市、向日市の2市が「上下水道事業経営健全化検討会」の中で議論を重ね、長岡京市と向日市それぞれが有する2カ所の浄水場を1カ所に集約し、上水道供給のコストを軽減させること、京都府においては利子負担の軽減策等の支援を行っていくというスキームが合意をされ、この間、事業の展開が図られてきたところであります。
このように、水道供給を担う京都府と受水市町のそれぞれが、安心・安全な水道供給の確保とそのためのコスト削減努力を行っていくという姿勢は、乙訓地域のみならずすべての地域の水道事業経営に必要なものではないかと考えます。
そこで、今後の乙訓地域におけるさらなる水道供給コスト削減を、府営水道を供給する京都府とそれぞれの末端給水を担う2市1町がどのように図っていくべきだとお考えなのか。知事の御所見をお伺いします。
最後に、今後の中期的な府営水道のあり方について知事の御所見をお伺いします。
その一つの論点は、3浄水場接続事業後の府営水道に係る投資のあり方です。
府民に対する安心・安全かつ安定的な水の供給を考えた場合、今回の3浄水場接続事業後の設備投資については、新たな設備というよりも老朽化に対応するための更新事業が中心になっていくことが予想されます。同時に、耐震事業等についても順次進めていかなければなりません。一方で、昨今の経済状況の悪化や人口構造、ライフスタイルの変化など、水需要全体を取り巻く環境もまた大きく変わってきていることも事実です。
そこで、施設整備など府営水道への今後の投資のあり方について、現時点での課題等、知事の御認識をお聞かせください。
当然、こうした投資を行っていく際には、府営水道全体での供給コスト削減の努力が同時になされなければなりません。3浄水場が接続しようしている現在、既存施設を活用・有効利用しつつ、府営水道全体としての広域的な観点から、どうあるべきかということを議論していくことが重要になろうかと存じます。知事の御所見をお伺いいたします。
時間になりましたので、以上で質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。
議長(林田洋君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
知事(山田啓二君)
府営水道についてでありますが、3浄水場の接続事業の進捗につきましては、既に久御山町に配備します配水池やポンプ施設につきましてはほぼ完成し、水の運用センター、運転管理や管理制御を統一的に集約するものでありますけれども、これも今年度内に完成する見込みであります。その後は、個々の機器の調整や総合的な運用調整をしっかりと行った上で、来年度中の本格的な運用開始を考えているところであります。
この3浄水場の接続事業を契機に、安心・安全な水をできるだけ安い料金で府民の皆様に供給していくために、私どもさらなるコスト削減に取り組むことが大切と考えておりまして、このような観点から、府営水道の基本料金の引き下げとともに、向日市・長岡京市における浄水場の集約化等の取り組みに府も積極的な支援を行い、トータルとしてのコスト軽減されるよう取り組んでまいりました。
御指摘のとおり、水道事業はこれまでの整備の時代から維持管理の時代へと移行しつつあります。今後は、供給開始から四十数年が経過をしております宇治浄水場のような老朽化が進む施設の更新に対応していくべき時期を迎えております。したがいまして、私どもは、3浄水場の接続と、こうした更新というものをしっかりと見据えながら、安心・安全のためのこれからの府営水道のあり方を考えていかなければならないと考えておりまして、現在、府営水道事業経営懇談会におきましても、こうした観点から御審議をいただいているところであります。私どもは、この議論がまとまった段階で提言をいただけるものと考えております。
私としましては、こうした水道懇の意見も踏まえまして、この建設年度の違う3つの水系の今後の連携やあり方について議論を進めますとともに、こうした3浄水場の連携といった新しい展開を受けて、さらなる総合的なコスト削減について、京都府の府営水道に対する負担のあり方についても見直しを行いますとともに、府と受水市町双方の一層の経営効率化に向け、積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。
