議長(林田洋君)
日程に入ります。日程第1、一般質問を行います。
まず、上村崇君に発言を許します。上村崇君。
〔上村崇君登壇〕(拍手)
上村崇君
民民主党府会議員団の上村崇でございます。私は会派を代表して、さきに通告しております府政の諸課題について、山田知事並びに関係理事者に分割で質問をさせていただきます。どうかよろしくお願い申し上げます。
初めに、補正予算についてであります。
私たち民主党は、生活者起点と社会的公平・公正をその理念として、今までからさまざまな選挙を戦わせていただきました。そして、さきの総選挙では、「国民の生活が第一」と訴え、国民の皆様の多くの信託をいただくことができました。これは、今、私たちを取り巻いている閉塞感、それは暮らしに直結する雇用や医療、子育てのみならず、この国の経済情勢がいかに国民生活に厳しさを強いているかを如実に示しているものであり、そのためには、まずは生活を安定させ、安心して暮らせるための施策を行うことが求められたものであると思います。
本府においても例外ではなく、経済・雇用をめぐる情勢は大変厳しいものがあり、その影響は府民の皆様お一人お一人が実感をされ、そのための対策は待ったなしの状況となっております。
府民の皆さんが安心して安全に暮らせるための施策を的確に行うことが求められている中で、「京都府の目的は、あくまで府民福祉の向上であり、今、京都府の経済・雇用の基礎的な力が落ち込んでいるときこそ、家計は苦しくとも栄養をとり体力を蓄える時期である」というお考えのもとで、本年度の当初予算を「京都温め予算」として編成され、その後の5月、6月の補正予算でも「京都を温める」ための施策を矢継ぎ早に行われてきたことは、まさに府民目線のもと、今、府民が何を一番必要としているかを考え、行動に移されたものであり、山田知事の行動力を高く評価するものであります。
また、今定例会においても、さらに京都を温めるために、とりわけ生活と雇用を温めることを第一に考えられ、お年寄りや障害のある方々、また子どもたちの子育てに係る支援や修学支援といった行政としてしっかりと支援をしていかなければならない方々に対して、施策を届けることに取り組まれようとしておられます。また、緊急雇用対策によって、府内の有効求人倍率が0.49という厳しい雇用情勢に対して立ち向かうという取り組みもなされようとされておられます。さらには、新型インフルエンザへの対応など、今まさに求められるものを今回の補正予算に盛り込まれたところであります。
山田知事におかれましては、どのような思いをもってこの補正予算を編成されたのか、まずお聞かせを願いたいと思います。
次に、府政運営とPDCAサイクルのあり方についてであります。
本府は現在、新京都府総合計画(新府総)に基づき施策の運営が図られています。この新府総も、10年間という長期に及ぶ計画になっているため、目標の立て方がよい意味では安全運転に立てられ、大きな社会変動の時代にあって、府政運営の指針となる総合的な計画としての役割を確実に果たしていけるかどうかという問題意識が起こってまいりました。これに対して、幅広い分野にわたっている新府総の後半の重点目標として中期ビジョンを策定し、施策の具体化と重点化を図ってこられました。そして、社会環境の変化の中で施策推進上の課題が生じている問題については、府民協働により進めていくため、アクションプランを作成し施策を進められています。また、年度当初に部局ごとに運営目標が作成され、そこには具体的な数値目標が設定されています。今年度は、229事項・759運営目標のうち、500に数値目標が設定され、中間段階と年度末に達成状況を公表するなどして、情報開示と職員への浸透に努めておられます。
こうした計画については、府民と職員と共有化しながら具体化していくPlan?Do?Check?ActionというPDCAサイクルを構築することによって、施策の陳腐化を防ぎ、個々の施策が適切に実施されるように努められています。大きな流れとしての中期ビジョンのPDCAサイクルは、それぞれの年度ごとに行われる施策を繰り返す中で、現在取り組まれている「明日の京都ビジョン」へとつながっていきます。そして、各年度の個々の施策については、アクションプランと各部局ごとの運営目標のチェックによって次の年度の予算へとつながっていくサイクルとなっています。ここで、アクションプランで言えば、次年度予算への反映に向けては、新年度が始まりアクションプランに基づく施策が進められ、それを6月ごろからチェックをし、最終的には11月ごろに新たな課題も含めて対応策を含んだ形の新プランが固まってくるというサイクルになっています。
それと比較して、各部局運営目標は、年頭の知事のあいさつにより、その年の取り組みに対する目標や決意を、職員にできる限りわかりやすく説明することから始まり、それが新年度当初に部局ごとにつくられる運営目標へとつながっていきます。この運営目標は、年度ごとによるものですから、9月末までの中間達成状況と、3月末までの年度末達成状況が公表されるサイクルとなっています。各部局運営目標には、アクションプランに基づき予算組みされた施策も組み込まれており、それぞれはリンクしていることになっていますが、そこに年度ごとに行う予算編成作業がかかわってくることで、非常に多くのPDCAサイクルが複雑に絡み合っているように見えてきます。
予算編成作業は、決算という大きな行政のチェックサイクルに、各部局運営目標のPDCAサイクルとアクションプランに基づく施策のPDCAサイクルがしっかりと組み込まれていくという形が必要であると考えます。その場合に、現在行っている取り組みは大変重要であり、また必要なことでありますが、複数のPDCAサイクルのチェックの部分をしっかりと一致させ、次の予算編成に組み込んでいくという流れを府民にもわかりやすく見える手だてを考えていかなければならないと考えますが、知事の御所見はいかがでしょうか。
また、このPDCAサイクルに基づくと、現在行っている本府の人事異動のあり方も、それに合わせた形を志向していかなければならないのではないかと思います。つまり、現在のように職員の皆さんおおむねすべてが4月に人事異動するという形が、PDCAサイクルが定着する現在の府政運営の中にあって、本当に適切な時期であるのかどうかということであります。そこには、現場で施策の進展に向けて日々取り組まれている職員の方々と、それをマネジメントする幹部職員との間で人事異動の時期については違いがあってもよいと考えます。つまりは、すべてはPDCAサイクルに合わせて、それに基づいた形での人事異動のあり方も模索するべきと思いますが、いかがでしょうか。
議長(林田洋君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
知事(山田啓二君)
上村議員の御質問にお答えいたします。
上村議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、一連の「京都温め予算」に対しまして高い評価をいただき、厚くお礼を申し上げたいと思います。
ことしの最大の課題は、雇用・経済状況が悪化している中で、府民の生活を守り、その回復のために全力を挙げるということに私は尽きると思っておりまして、当初予算、そして5月・6月補正予算をお願いし、今その執行に全力を挙げているところであります。
景気自身は、一部には底を打ったとか反転の兆しは見えるという話もありますけれども、一方では失業率の上昇が、これは世界じゅうで起こっておりまして、ある面では、もしかしたら二番底に陥るのではないかという危惧もあるところであります。こうしたことをしっかりと念頭に入れて、私はやはり、きめ細かく、緩めることなく、引き続き「京都温め予算」を展開して、何とか府民生活の維持を図りたいという思いで今回の予算も編成をさせていただきました。
このため、今まで大枠がありますので、その中でさらにきめ細かく課題を点検し、高校生等への修学支援、高齢者・障害者への支援、保育・子育てに関する支援、農林業対策等各方面にわたって、雇用を生み出すサイクルやその仕組みづくりも取り込みながら、今回、予算を計上したところであります。
特に、その中で気を使いましたのは、前回の雇用政策の反省に立って、やはり中長期的な観点からの人づくり施策というのをしっかりと組み込んでいきたいということでありまして、今回、伝統産業の分野と地域の公共活動の分野の人づくりを新たに講じることにいたしました。福祉人材の確保とともに、中小企業人材と伝統産業分野、地域公共活動の3本柱の「京都の未来を担う人づくり事業」を講じて、これによって未来を見据えた人づくりを中心とした雇用対策というのが、私はこれが京都の雇用対策の大きな特徴になっているのではないかというふうに感じております。
景気はこのところ、先ほど申しましたように若干の持ち直しの動きはありますが、雇用情勢について注意を払い、とにかく府民生活を守ることを第一に全力で頑張る覚悟でありまして、これからも厳しい状況のもとで、府民生活を支えるために努力を続けていきたいと思っております。
次に、府政運営とPDCAサイクルのあり方についてでありますけれども、御指摘のように、中期ビジョン、そしてアクションプラン、また部局別の運営目標等を通じまして、年度を通じてのPDCAサイクルを築き上げるツールはそろってきたというふうに思っております。ただ、そのツールをどうやって一番大事な予算編成の中に反映させていくのか、また反映させたのかということについて示していくことが、PDCAサイクルの確立に私もかぎとなるというふうに思っております。
このため、事業仕分けや事業評価による取り組みを今まで試行を重ねてまいりました。その試行の上に、今年度から、今までの経験も踏まえまして、個々の事業の必要性や実施主体等について検証する事業仕分けと事業評価と予算編成との一体化を、一つの調書で図っていきたいというふうに考えております。
具体的には、予算編成過程において、予算反映の結果を明らかにする事業仕分け・評価調書を作成することにしておりまして、これは事業担当課がつくるだけではなくて、企画部門と財政部門もその視点を入れていくという形になって、政策審査と予算審査が加わる総合的な調書にしていきたいというふうに思っています。そして、この主要事業に係る調書を、予算の要求時と、そして予算の発表後に公表することによりまして、議会はもとより、府民の皆さんにわかりやすいPDCAサイクルのチェックポイントをつくってまいりたいと考えております。
ことしは1年目になると思いますけども、余り詳しくしてしまいますと今までの陥っておりました趣味的な感じになってしまいますので、できるだけ簡潔なものをお示しし、その中で議会の御意見も伺いながら、これから改良を重ねていきたいというふうに考えております。
次に、職員の人事異動でありますけれども、御指摘の問題点からいきますと、確かにそういう形になっていくというのはわかりますけれども、ただ一方では、我が国の学校の卒業時期が3月31日に来るということ、それから、公会計の年度、これも4月1日から始まるということが法定されておりますので、こうしたことを考えますと、やはり4月を基本として人事異動を行っていかないと、なかなか全体がうまく回らないということも私は事実だと思っております。
したがいまして、こうしたものと議員御指摘のようにPDCAに着目した柔軟な対応をどこで調和させるかということが重要になってくると思いますので、私どもは、例えば部局長に対しまして、部内の一般職員に係る年度途中の人事異動権限を付与しておりますほか、管理職につきましては、異動の内示後、直ちに新旧職員で次年度の運営目標の調整に着手する等の取り組みを行っているところでありまして、こうした柔軟な取り組みを広げていく中で、今後のあり方を検討していきたいというふうに考えております。
議長(林田洋君)
上村崇君。
〔上村崇君登壇〕
上村崇君
御答弁いただきましてありがとうございました。
まず、補正予算についてであります。非常に御苦労いただいた中で、現在の京都府の状況を含め、また府民生活の安定に向けてお取り組みいただいたというふうに思っております。その中にあっては、さらに今後とも、どのような状況の中にあっても、きめ細かく府民ニーズを把握していく政策マーケティングということを徹底していただいた中で、府民の安心・安全を守っていただくための施策を今後とも展開をしていただく、またそういう基盤をつくっていただきますことをお願いを申し上げたいと思います。
また、府政運営とPDCAサイクルのあり方についてでありますが、知事の御答弁いただきました事業仕分け・評価調書というものを作成し、公表して、政策と予算の審査が加わっていく、それを一体的に府民に見える形にしていく。私も、今までからこの本会議等で質問をさせていただきました。予算編成過程をどう府民の皆さん方に見ていただくのか、そしてそれによって府民参加型の施策、そして府民参加型によってさらに京都府の進展が進んでいくというふうに私は思っております。そしてそう信じておりますので、そのためにまずは試行的に取り組まれる。その中で、改善すべきものが出てくるのであれば、速やかに進めていただきますことをお願いを申し上げたいと思います。
それでは、次の質問に入ります。
ボランティア活動にかかる経費のあり方についてであります。
ことしも全国各地においてさまざまな災害が起こりました。それぞれの被災地においては懸命の復興作業が続くとともに、これも全国各地より多くのボランティアが各地の被災地で熱心に活動され、その復興支援に汗を流しました。こうした災害ボランティアは、1997年の阪神・淡路大震災においてボランティア元年と言われて以降、その災害の形態を問わず活躍されています。
このような活躍を支えるために、災害時におけるボランティア活動に必要な施設や情報通信機器の整備、その他必要な物資の購入、移動手段の確保、ボランティア保険加入のための支援だけでなく、平常時においては、人材育成や災害ボランティア活動の普及啓発といった備えの活動にも活用できる基金が各地で設立されています。
福井県の災害ボランティア活動基金は、県民が県外被災地において行う災害ボランティア活動に対しても、福井県災害ボランティア活動基金を活用できるようにと条例が平成16年に改正され、県災害ボランティアセンター連絡会が中心となって、有志あるいは公募により編成したものや、県の要請広報を受けボランティアが自発的に編成し、その申請に基づき適当と認められるものについては、被災地への団体輸送に要する経費(バス借り上げ代)や、被災地での活動に必要な資機材(スコップ、一輪車、軍手等)、ボランティアの健康対策に必要な物資(マスク、飲料水等)といった被災地でのボランティアセンター立ち上げ支援やボランティア活動に要する経費を支出することが可能となっています。
また、新潟県においては、中越沖地震において被災者救援のために現地で活動するボランティアやNPOを資金的に支援することを目的として、新潟県中越沖地震ボランティア活動基金が新潟NPO協会を中心に開設されましたが、この際に開設された目的をお聞きしますと、「災害支援などにおいては、3日程度で300万円必要なときに行政が用意することができない」や「行政からの各種補助金では、災害発生時の各ボランティアセンターにおける初期投資に柔軟に使えない」などの意見もあり、民・民で基金をつくり、それをNPO協会が下支えするという役割を選択されました。このときの新潟県は、平成16年の新潟豪雨による水害と、同じく中越地震、その後の中越沖地震と立て続けに災害が起こっていましたが、この3つの災害を通じて全国から4,000万円の寄附が集まり、それを130件100団体に助成したということであります。
こうしたボランティア基金という手法に基づいての支援のあり方とともに、京都市では、市災害ボランティアセンターへの運営補助金のうち1割を上限として、災害時対応基金として翌年度の積み立てに回すことができる仕組みをつくられています。これにより年間20万円ほどの緊急時対応基金を積み立てることができ、それによって災害初動期のボランティア活動にかかる経費を賄っているということであります。
さて、本年においては、京都府災害ボランティアセンターが、夏に発生いたしました兵庫県佐用町の台風9号災害による兵庫県被災地支援のためにボランティアバスを派遣されました。これに先立って、佐用町には多くの災害ボランティア活動用の資機材が運ばれました。これは、5年前の台風23号のときに、まだ京都府には常設の災害ボランティアセンターがありませんでしたが、福井の災害ボランティアから、被災翌日には4トントラックいっぱいの災害ボランティア活動用資機材が運び込まれ、その後の復旧支援活動に大いに役立ったということであります。その後、この資機材は、福井側の厚意で、京都において以後の府内外での災害に備えて保管・管理することになり、いわゆる「善意のバトン」と呼ばれるようになりました。
今回、兵庫県での台風9号に伴い佐用町に運ばれたこれらの資機材は、京都府災害ボランティアセンターのコーディネートにより、被災直後から、舞鶴市や旧大江町の地元社協等が保管していた該当資機材を、多くの方々の協力により運ばれたものであります。
この物資配送の後に、京都府災害ボランティアセンターのコーディネートにより、京都府、京都市の両災害ボランティアセンターが協力をして、104名のボランティアを派遣をし、大きな成果を上げたということは、新聞等で報道もされているとおり多くの府民の皆さんに知られたところであります。
今回の場合の経費は、とりあえず京都府災害ボランティアセンターの初動期特別会計から負担されましたが、今回の経費により、その特別会計の予算50万円の半分近い額の経費がかかったということです。今年度の今後の災害に備え、特別会計への補てん等は今後検討されるとのことですが、仮に府内での災害などで、さらに大規模な初動の活動が必要となった場合、現在の初動期特別会計の額で十分なのか、大変不安なところであります。
こうしたことを考えると、災害初動期において、災害ボランティアを府内外問わず迅速に派遣するための課題というものが浮き彫りになったと思われます。つまりは、災害ボランティア基金のような形式による運営か、京都市が市災害ボランティアセンターとの間でつくったルールによる運営か、それぞれの地域特性があるかと思いますが、官民協働による常設型のボランティアセンターとしては全国初であった京都府の災害ボランティアセンターが、これからもしっかりと迅速に活動できる素地をつくっていかなければならないと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、京都地域創造基金と地域力再生事業のあり方についてであります。
京都地域創造基金は、2009年2月1日に、きょうとNPOセンター主催のフォーラム「みんなのチカラでつくろう!ソーシャルファンド『社会を変えるために、今必要なものとは』」で財団の構想が発表されて以来、同日から基本財産の寄附の受け付けが始まりました。3月26日、この基金の事業を行う母体となる「京都地域創造基金」が一般財団法人として設立され、8月5日までの間で、302名の方々の協力により基本財産を構成し、財団法人の設立に至りました。それと並行して進めていた公益財団法人の認定も8月7日に認定され、公益財団法人京都地域創造基金としてスタートが切られました。
私たちの住む地域社会は、地方分権改革や行財政改革が進められる中で、変化への対応が迫られています。しかし、その中で、豊かな公共サービスを供給するために肥大化して財政危機に直面した地方自治体と、行政の公共サービスに依存して連帯と自立の力を失った市民の双方が、既存の官主導の社会構造にとらわれているために、安心と安全が持続的に確保される真に豊かな地域社会への変革の道のりというものは、いまだに確立されていないのが実情であります。
そのような中で、本府としてもその問題意識の中から、人と人との信頼やきずなを強め、地域づくりを担う府民、NPO、行政、企業、大学など多様な主体が協働し、地域の課題解決や魅力アップを図る力、すなわち地域力を再生し、住民自治の新しいモデルをつくることを目指して、平成19年度から地域力再生プロジェクトが始まりました。過去2年間で、700件以上の活動を交付金により支援し、今年度は新しい公共の形成を目指し取り組みが進められています。
京都は、今までから全国でも有数のNPO認証団体数を誇り、また地域力再生プロジェクトと相まって、数多くのNPOが着実に地域社会に貢献し、成果を上げてきています。しかし、一方で、「協働」が「下請」ととらえられ、行政依存体質にNPO自身が陥るなど、NPOの自立的発展を妨げる結果となってしまい、現在進行している「協働」の動きが、結果としてNPOの弱体化をもたらす結果となる可能性を大いにはらんでいるのではないかと危惧するところであります。
「協働」が地域社会全体で正しく理解され、地域社会におけるあらゆる社会的資源が最適な連携によって結び合わされて、自立と連帯に基づく地域社会の再生を実現していくことが重要であります。しかし、そのために現在最も欠けているものは、新たな公共の担い手であるNPOを支える「お金の流れ」であります。私も、今までから、NPOの寄附金を集めやすいような税制優遇策といった税制面での支援や、寄附によって資金が循環するシステムの構築といった「入る」の課題など、本府の取り組みについてお伺いしてきました。
今回、このような民間による民間支援のための公益財団法人として京都地域創造基金が設立されるに当たり、今まで本府として取り組みを進めていたNPO関係のさまざまな施策について積み重ねてきたものを、どのように連携して進めていかれるおつもりなのか、お伺いいたします。
また、今までは地域力再生に係るプロジェクトに資金を拠出していたものが、この財団の設立により、ある意味、この3年間で積み重ねてきた本府におけるプロジェクト支援のノウハウや、いわゆる目ききのような経験を、この京都地域創造基金の設立により、3年目を迎えた地域力再生プロジェクトがどのように総括される中で基金との連携が進められるのか、お伺いをいたします。
次に、公共サービス基本法に基づく取り組みについてであります。
公共サービス基本法は、全会派賛成のもと衆議院を通過し、その後、5月13日の参議院本会議で可決・成立いたしました。この法律は、公共サービスが国民生活の基盤となるものから、公共サービスに関し、基本理念を定め、国や自治体の責務を明らかにし、公共サービスに関する施策の基本となる事項を定めることにより、公共サービスに関する施策を推進し、国民が安心して暮らすことのできる社会を実現することにあります。つまり公共サービスは、安全かつ良質に、それも確実に効率的に実施され、国民の需要に的確に対応することなどがその理念に掲げられているとおり、国民が健全な生活環境の中で日常生活や社会生活を円滑に営むことができるようにするための権利であることが尊重されています。
この法律自体は、理念法と言えるものですから、明確な目標に向かって解決策を行っていかなければならないといったものではありませんが、国民から信頼される公共サービスとは何なのか、またどこに向かうべきなのかを示した法律であると思います。そして、それを実現するためには、この理念に基づいて現場での取り組みが重要となってまいります。
この7月1日施行の公共サービス基本法の第8条には、公共サービスを委託した場合の役割分担と責任の明確化が書かれています。第10条では、公共サービスによる利益を享受する国民の立場に立つべきであることが書かれています。つまり、質の悪いものになってはいけない、途中で中断するようなものであってはいけないと言うべきものだと思います。そして、第11条には、「国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適切かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適切な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする」という努力義務が書かれております。
これらの条文と努力義務とを勘案すると、例えば国や地方自治体が民間委託した事業における事業者の中で、労働環境がどうなっているのかチェックを果たすべきだというふうにとらえることができます。そのことからすると、本府において指定管理者として運営していただいているサービスや、民間委託している事業などがあるかと思いますが、この法律の理念を生かすという意味でも取り組むべき課題であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
議長(林田洋君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
知事(山田啓二君)
災害時におけるボランティア活動にかかる経費のあり方についてでありますけれども、災害時におけるボランティアが、阪神・淡路大震災以降、台風23号とか新潟県の中越沖地震、そして今回の兵庫県の台風9号など、被災地の支援に対しまして本当に大きな力を発揮していることは私も十分に承知をしております。
このため、京都府におきましても、平成16年の台風23号の災害教訓を踏まえまして、平常時から行政とボランティア団体等が対等の立場で協働して、研修や訓練を通じて災害時に円滑なボランティア活動を進めるため、平成17年5月に、御指摘のように常設の京都府災害ボランティアセンターというものを全国に先駆けて立ち上げたところでありまして、運営費や研修経費の助成を今、行っているところであります。
こうした中、災害発生時におけます初動経費の確保等財政基盤の確立につきましては、今これが非常に大きな課題になっておりまして、これまでにセンターと京都府が協働して、寄附金の募集や賛助会員制度・協力団体の登録の要請など、財源の確保を図るべく検討してまいりました。今回の台風9号による兵庫県佐用町の災害に当たりましては、現地災害ボランティアセンターからの要請に基づきましてボランティアバスを運行し、104名のボランティアが参加されたところでありますけれども、これに要した経費につきましては、御指摘のように、現在のセンターの予算枠内で対応をしましたけれども、次に起きたときには心もとない状況でありまして、財政基盤の確立について急ぎたいと考えております。
このため、さまざまな災害発生時の対応を想定して、初動経費がどのくらい要るかも含めましてセンターと話し合いを進め、官民一体となって取り組むというこの基本を守りながらも、センターが災害時に迅速に対応できるよう、必要な支援を京都府としても積極的に行ってまいりたいと考えております。
次に、京都地域創造基金と地域力再生事業のあり方についてでありますけれども、公益活動の担い手であるNPOは、まだ日が浅い存在でありますので、なかなか金融機関も融資をまだしにくいという現実があります。そうした中で、資金調達が課題となっているということを踏まえて、今回、京都府と地元金融機関と主体となりますNPOの3者が連携・協力をして、NPOを支援する民間ファンド「京都地域創造基金」が設立をされました。京都府といたしましては、「府民の力応援基金」によって地域創造基金による小口融資が無利子となるように支援し、NPOの負担を軽減するなど、地域力再生を推進する社会環境を民間とともに整えることに力を注いでいるところであります。
私は、地域活性化の主体というのは、この成否というのは、やっぱり住民の主体的な活動によってくるのではないかというふうに考えておりまして、地域をよくするための活動をしていく住民の皆様を支えていくことこそ行政の大きな使命として、地域力再生プロジェクトを実施してまいりました。御指摘のように、1,000を超える公的活動の支援に取り組んでいるところでありますけれども、これによって、地域での人と人とのつながりの強化や、住民自身による公共サービスの提供や、新たな地域活性化策の展開など、経済効果も上がってきておりまして、民間の中からこうした動きを支えようというこの基金が出たことは、これも私は大きな成果ではないかなというふうに思っております。
市町村からも、「住民自身が地域づくりに積極的に取り組むことで地域の連帯が強まった」とか、「住民と行政が協力して実施する事業がふえた」という声も上がってきているところであります。
今後の地域力再生プロジェクトにつきましては、さらに検証を続けなければならないと思っておりますけれども、地域力再生活動といってもさまざまなタイプがありますので、こうしたさまざまなタイプが出てきたことを踏まえて、具体的な支援体制の整備が必要と考えております。つまり、子育てなど公共的サービスの提供に係るものについては、その公共性を勘案して市町村と連携しながら支援を継続していくことがあると思っております。また、社会的ビジネスを目指す活動につきましては、立ち上げ支援とともに、活動展開のための融資や、事業を発展させるための人的支援などを組み合わせていく必要があるかというふうに思っております。
こうしたタイプに応じた支援を行うことで、これからも活動を支えていきたいと思っておりますし、そうした活動を前提として京都府の施策も変えていかなければならないということで、今、私たちは、京都府と市町村と住民活動主体が施策のあり方を議論する場の構築を進めているところでもあります。
京都地域創造基金は、今後、助成や施設あっせん等、民間寄附での独自事業の実施の予定もしていくというふうに聞いておりますけれども、地域力再生プロジェクトと効果的に連携させて、あらゆる府民の皆様が地域の活動に参加していく中で、「地域の主人公は住民」という京都府づくりを進めてまいりたいと考えております。
公共サービス基本法に基づく取り組みについてでありますけれども、法律の成立を受けまして、すぐにその趣旨を各部局に対して徹底するよう指示をいたしました。
京都府としましても、今までからこの趣旨と同様の取り組みを行っておりまして、例えば指定管理者の選定に当たりましても、単なる管理経費の節減目的にならないように、利用者視点のよりよいサービス提供を目指したサービス内容や人員体制、雇用形態も含めた施設の運営計画を応募団体から提出いただきまして、それを外部委員も含めた選考委員会において、総合的な審査を経て選定するという形をとっておりますし、また、選定後につきましても、指定管理者から施設の運営状況にあわせて勤務時間や人員体制などについても報告を受け、適切な施設運営がなされているか確認を行っているところであります。
工事の請負契約や本庁舎の清掃業務等につきましても、これまでから、個別の契約におきまして、労働基準法や労働安全衛生法など労働関係法を含めた法令の遵守を求めてまいりましたけれども、今後、法の趣旨も踏まえ、受託事業等における良好な労働環境が確保され、安心で良質な公共サービスが提供されるよう、契約書における労働関係法令の遵守規定の明記について、会計規則の運用を見直していきたいと思っておりますし、さらに、実は問題というのは下請とか孫請で起こることも多いわけでありますので、下請業務の労働環境の確保のあり方につきましても、現在、関係業界も含めて検討を進めてまいりたいというふうに考えておりまして、さらに徹底を図っていきたいというふうに思っております。
また、積算に当たりましても、業務量とか期間、こういったものを十分点検し、公共サービスの適切かつ確実な実施に支障が生じないかどうかをチェックしながら、これからも行っていきたいと思っております。
今後とも、議員の御指摘を踏まえ、安全かつ良質な公共サービスが提供できるよう、より一層の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
議長(林田洋君)
上村崇君。
〔上村崇君登壇〕
上村崇君
御答弁いただきましてありがとうございました。
まず、ボランティアにかかる経費のあり方でありますが、積算というものが非常に難しいというのはそのとおりでございますが、大体他府県にボランティアで派遣をされると、3泊4日で1人10万円ほどかかるのではないかというふうに言われています。これを3人派遣をすると30万円。現在の特別会計の予算でいくと、半分近くが底をついてしまう。そのときに、じゃあ、同じ年度に違うところに派遣をするときに、もう底をついてしまって派遣をすることすらできないというような状況が生まれるというような現状を見据えて、現在の常設型の災害ボランティアセンターときちんと連携をしていただく中で、この初動期の活動経費というものが、柔軟に、そして迅速に使えるようなあり方というものを模索していただきたいというふうに思っております。
また、地域創造基金と地域力再生プロジェクトのあり方でありますが、今回の京都地域創造基金は、民間の中で自発的に発生をして、非常にすばらしい活動の一つの成果であろうというふうに思っています。その中にあっては、やはり地域力再生プロジェクトをどう総括をする中で、そして連携をすることによって地域力再生プロジェクトのものが移管をしていく、移っていくようなものというのも当然あろうと思いますし、行政として主体的に取り組まなければならない課題というものもあります。そこら辺の仕分けも含めて、きちんと連携をするということが重要になろうと思いますので、でき上がったばかりでありますが、でき上がったばかりであるからこそ、お互いが真摯な取り組みを進められること、そして、余りお互いが口の挟み合いをしないというような体制というものをつくっていくことが、住民主体の自治のあり方をつくり上げる大きな成果であろうというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
最後に、この公共サービス基本法ですが、まずは継続的に、持続的にサービスをしていく、行っていくということが重要でありまして、その中で安心で良質なサービスということであります。そのことについては知事も踏み込んで御答弁をいただきました。下請、孫請の中で労働環境がどのようになっているのか、そこをきちんと精査をしていただく中で、まずはこの公共サービスというものが良質で継続的に提供されるのか、その部分のチェックがなされることを要望させていただきたいと思います。
それでは、最後のスクールサポーターの取り組みについてお伺いいたします。
京都府における平成20年中の刑法犯少年の検挙人員は2,919人で、前年対比マイナス853人(22.6%)と大幅に減少したものの、人口比率(犯罪少年年齢層人口1,000人当たりの検挙人員)は17.6人と成人の6倍を超え、また、検挙人員の36.2%が再犯者であるなど、少年非行情勢は極めて厳しい状況にあると聞き及んでおります。そうした中、平成21年上半期の刑法犯少年の検挙人員は1,380人で、前年同期と比べ85人の増加となり、特に中学生の検挙人員が前年同期に比べ149人(28.8%)増加し、全体の48.3%を占めるなど、中学生を中心とした少年非行防止活動や、立ち直り支援を図ることが重要と考えております。
そこで、平成20年度より、少年の非行防止対策として、退職警察官によるスクールサポーターを新たに警察署等に配置し、学校と協働して、校内の生徒指導体制の強化等を図ることが進められています。平成20年度に10人、21年度の10人で、現在のところ20人のスクールサポーターが府内各地の警察署等に配置され、連携する小・中学校と協働して取り組まれています。これは、少年非行抑止ネットワーク事業の一環として運営されており、これを効果的に運用することによって、生徒指導等への支援強化や非行・犯罪被害防止教室の積極的な開催、地域安全情報のきめ細やかな提供などにより、少年非行防止対策を強力に推進し、児童生徒の健全育成を図るためのものであります。このネットワーク事業による大きな目標に向けて、それぞれの関係機関が、まずは着実に一つ一つの事業をしっかりと連携して取り組みを進めていかなければなりません。
現在、少年サポートセンターと8警察署に20名が配置されています。そのうち京都市内部は、伏見署と山科署に配置された4名と少年サポートセンターに配置された4名が担当していますが、人口規模からすれば京都市域については配置人員を拡大する必要があり、また、スクールサポーターが配置されていない警察署管内の教育委員会や学校からは新たな配置要望が出されていることなどから、今後、定員の拡大を図る必要があると考えます。
現在配置の20名の活動状況とその効果、さらに定員の拡大について、どのようにお考えなのでしょうか。お尋ねをさせていただきます。
さらに、この制度を効果的に運用するためには、スクールサポーターによる取り組みだけでは限界があり、学校、教育委員会のほか、京都府や各市町村と連携した取り組みを進めるべきだと考えます。そこで、学校及び教育委員会と警察との間において、どのような連携が図られているのかお伺いいたします。
議長(林田洋君)
田原教育長。
〔教育長田原博明君登壇〕
教育長(田原博明君)
上村議員の御質問にお答えいたします。
学校や教育委員会とスクールサポーターとの連携についてでありますが、少年非行を防止するためには、御指摘のとおり、学校が地域や警察、関係機関等と連携した取り組みを推進していくことは、大変重要であると考えております。
府内の各学校では、これまでから、生徒指導体制の充実を図り、校内での児童生徒の問題行動を防止する取り組みを行うほか、PTAや地域の民生委員、警察署などと連携した取り組みを進めてきたところであります。昨年度からは、警察署等に配置されたスクールサポーターと教員が連携して、課題のある児童生徒との個別面談・指導などを行っているところでありますが、さらに地域のボランティアの方々も加えて合同でパトロールを行うなど、学校や保護者、地域、福祉関係機関などが連携した取り組みが進んできております。このようなスクールサポーターの方々の専門的な知識や豊富な経験を生かした取り組みの結果、学校の内外において暴力行為が大幅に減少する事例も見られるなど、着実な成果もあらわれてきているところであります。
府教育委員会といたしましては、市町教育委員会と連携しながら、広域での連携を図るため、警察署を単位とした学校警察連絡会議をさらに充実させ、スクールサポーターを中心として、学校と警察、福祉関係機関等とのネットワーク化を一層充実するなど、今後とも児童生徒の問題行動の防止にしっかりと取り組んでまいります。
議長(林田洋君)
熊崎警察本部長。
〔警察本部長熊崎義純君登壇〕
警察本部長(熊崎義純君)
上村議員の御質問にお答えいたします。
スクールサポーターの活動状況につきましては、主に授業妨害や対教師暴力等の問題を多く抱える中学校において、教職員や教育委員会等と緊密に連携をして、少年の非行防止や立ち直り支援等の活動を推進しております。具体的には、非行問題の早期把握等を図るための学校訪問活動や、教職員等との合同パトロール、少年の問題行動に係る対応要領の指導・助言、非行防止教室、薬物乱用防止教室の開催などに取り組んでいるところであります。
これらの活動の効果としましては、オートバイ盗や万引きを繰り返す不良グループに対して、学校、教育委員会、警察等による対応チームを結成し、補習授業や校内美化活動などの立ち直り支援を実施して少年を更生させ、グループを解体した事例のほか、常習的に教室を抜け出していた約20名に及ぶ問題少年に対して、教職員との校内合同パトロールや登校時の声かけなどの取り組みを強化し、授業に復帰させた事例など、その活動に対して、保護者や学校関係者から感謝と大きな期待が寄せられているところであります。
また、定員の拡大につきましては、今後とも、財政当局の御理解を得ながら、さらに拡充に努めてまいりたいと考えております。
次に、警察と学校、教育委員会との連携についてでありますが、学校等における非行問題を解決するため、教育委員会、校長会との連絡協議会の開催や、生徒指導担当者等との情報交換、非行少年に対する対応チームの立ち上げ、警察、学校、地域ボランティア等による合同パトロールの実施など、緊密な連携を図っているところであります。
府警としましては、引き続き、学校、教育委員会を初め地域ボランティア等との連携をより一層強化しまして、地域が一体となった少年非行防止活動を推進してまいりたいと考えております。
議長(林田洋君)
上村崇君。
〔上村崇君登壇〕
上村崇君
御答弁ありがとうございました。
このスクールサポーターというものによって、多くの学校や地域における少年犯罪の事犯というものが減少したということが報告されましたが、ここで一つお願いを申し上げたいのは、スクールサポーターに警察官のOBの方々がなっていただいております。この方々は、あくまでも、学校であったり、地域との接着点であったり、結節点であります。要は、その方だけに荷がかかるというわけではなくて、あくまでも学校が地域と連携をするための一つの窓口、また、地域が学校と連携するための一つの窓口、そして警察が学校や地域と連携するための窓口としての存在であります。
その方のみに責任を覆いかぶせるような体制ではなくて、その方を中心に、地域として、この問題行動が起こっているような状況をどのように解決をしていこうかというための手段が、このスクールサポーターという制度であると思っておりますので、そのことも含めて、今後とも、緊密な連携とともに、十分な人材確保、そして学校と警察の情報共有、お互いがお互いをきちんと信頼をして情報を共有し合う、そのことをスクールサポーターを通じて地域としっかりと連携するということが、このスクールサポーターの真のねらいであるというふうに思っておりますので、そのことがさらに府内各地で広げられ、この効果が拡大することを祈念申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
