議長(家元丈夫君)
次に、熊谷哲君に発言を許します。熊谷哲君。
〔熊谷哲君登壇〕(拍手)
熊谷哲君
民主党の熊谷哲です。
私は通告に基づき、知事、教育長初め関係理事者に質問いたします。若干風邪ぎみでお聞き苦しいところがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
まず質問の第一は、森林の保全・整備についてです。
代表質問でも取り上げられていたように、今日ほど、森林の持つ「公益的機能」が見直され、その再生の必要性が叫ばれているときはないでしょう。地球に生命をはぐくむ大いなる恵みの一つであり、私たちの生活にとっても貴重な財産である森林を守り、子々孫々へと受け継いでいくためには、持続可能なあらゆる手だてを講じていくことが急務となっています。
さて、森林の保全・整備に当たり、その事業の効果と持続可能性を担保し、かつ説明責任を果たしていくためには、森林の持つ公益的機能がどの程度の公益的価値を有しているのか、客観的な評価が必要となってくるものと思います。林野庁は、2001年11月に日本学術会議からの答申によって改めた評価手法に基づき、森林・林業白書でその価値を示していますが、その定量的評価を合算してみますと、全国の森林全体約25万平方キロメートルで、約70兆円の価値を創出し、約3,250万トンの二酸化炭素を吸収していると推定されています。
〔議長退席、副議長着席〕
京都府においても、同様の手法によって府内の森林が有している公益的機能の価値推計がなされていることと思いますが、それはいかほどとなっていますか。また、その公益的機能を発揮せしめるために、人の手が必要となるのはどの程度の面積で、どのくらいの価値に上ると推計されていますか。御所見をお伺いいたします。
ここで明らかになる公益的価値を、どのような手段で守り維持していくかはもとより、そのための原資を「だれが、どのような形で」負担していくかということが、最も基本的で、かつ重要な問題の一つであることは言うまでもありません。昨年2月に設置された「森林・環境対策検討委員会」が5回の会議を経て取りまとめられ、先日公表された報告書を私も拝見いたしました。その中で、費用確保のあり方の一つとして「森林・環境保全のための税」を挙げながらも、一方では、導入に当たっては府民の十分な理解が必要なこと、社会経済情勢への配慮や幅広い府民意見の聴取など、慎重な対応が求められていることは、これまでの知事の御答弁や姿勢と重なり合うものと受けとめています。
私は、この新しい税の検討を有益であると考えています。ただ、一方で、広く府民の理解を得るという意味においては、府民に税負担を求める前に、議論を重ね、クリアしなくてはいけない課題も少なくはないと考えます。幾つか論点を挙げてお伺いいたします。
例えば、一つは、所有者の責任をどこまでとし、どのような形でその責任を果たしていただくのか。現状は、林業経営の厳しさのみがクローズアップされ、余り明確にはされていないように思います。二つは、森林吸収による温室効果ガスの排出量取引を導入することによって、必要な保全費用をある程度賄えるのではないかという点。期待感は高いものの、本格的な取引メカニズムの構築は緒についたばかりです。三つは、税の使途は森林保全に限定されるのかどうか。森林の果たす公益的機能は、河川や海洋、里地の生活、生態系の保全などとも密接に関連しています。四つは、最も基本的なことですが、現状の府民の税負担の中で、予算立ての見直しなどによって必要な保全・整備は行えないのか。また、行うとするならばどこまでが可能なのかという観点。この点は、客観的で説得力のある説明が必要だと思います。こうした点は、現状においてどのようにお考えでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。
京都府では、緑の公共事業、あるいは我が国初のモデルフォレスト運動、さらには、来年度予算に示されている「緑のKYOディール」推進事業と、森林の保全・整備に先進的な取り組みを進められていますが、民間との協働・協業の新たな可能性を示す取り組みとして「森の町内会」の運動を紹介したいと思います。
「森の町内会」は2005年に産声を上げました。これは、オフィス古紙のリサイクル活動で実績を重ねた「オフィス町内会」が新たに森林を守る取り組みへと踏み出した、その運動を指しています。手入れを必要としている森と、環境貢献を志向する企業を結びつけるビジネスモデルを構築し、間伐の実施から間伐材の利用までをつなぐ新たな間伐促進に取り組み、ことしで5年目を迎えています。
第1回目の間伐が行われた2005年12月を例にとると、岩手県岩泉町で1.8ヘクタールのアカマツ林の間伐を実施し、切り出された間伐材は青森県八戸市の製紙工場で原料の一部となり、その後、「森の町内会」に参画する間伐サポーター企業約60社の印刷用紙としてさまざまに用いられました。通常、1.8ヘクタールの間伐費用は180万円ほどかかる一方で、間伐材の売却益が約55万円、補助金が54万円で、残りの約70万円が赤字となるような構図でした。この赤字部分を「森の町内会」が補てんする形となっていますが、それは単純な寄附とは異なっています。その赤字補てんの原資は、間伐サポーター企業が間伐材を使用した用紙代として通常の購入コストに10%上乗せ負担することで賄われており、それは製紙会社が間伐材を通常の倍の1立方メートル当たり約1万5,000円で購入することで地元に還元される仕組みとなっているのです。「森の町内会」は、このモデルを基礎に森を育てる確かな力を発揮し、着実に運動のすそ野を拡大しています。
このようなビジネスモデルを打ち出す工夫をしながら、間伐材や木質バイオマスなど森林資源の利活用促進を組み合わせて、林業の自立経営を導くとともに、森林の保全・整備に必要な費用確保の新たな一策とならないものかと考えています。こうした森林整備あるいは資源利用のビジネスモデル構築について、御所見をお伺いいたします。
質問の第二は、エコポイントモデル事業についてです。
府民の方々が、省エネ実践などによって電気やガスの使用量を抑えてCO2の排出量を削減した場合や、太陽光発電等の新エネルギーを導入された場合に交付されるエコポイント。ユーザーは協力店等での買い物で活用でき、企業はそのポイントを買い取ることによって自社のCO2削減量にカウントできる。中核となる「京都CO2削減バンク」の開設とあわせて、全国初のエコモデルと鳴り物入りでスタートしました。私も、家庭版のCO2排出量取引モデルになり得るものとして、その着想の斬新さと将来性に大いに期待し、あり方についてさまざまに御意見を申し上げてきました。
ところが、10月からのスタートを前にした9月時点の申し込み状況は、3,000世帯の目標に対し、約1割強の400件程度。うち、新エネルギー分は25件と、極めて低迷しました。申し込み手続が煩雑であった、あるいはスタートがおくれて知名度不足であったとの声もありましたが、その後も参加世帯は伸び悩み、現在でも約1,100世帯にとどまっています。
この参加世帯の伸び悩みをどのように分析し、来年度以降の事業実施をいかにして改善していかれるのでしょうか。御所見をお伺いいたします。
私は、参加家庭が伸び悩んでいることの背景には、府民の目、とりわけCOP3以来さまざまに努力を重ねてこられた方々から見たときに、今のメカニズムに大きな疑問が透けて見えているからではないかと思っています。
例えば、一つに、省エネ部門では基準年からの使用量削減が基本となっていますが、それ以前から節減努力をしている家庭にとっては、ポイント取得の見込みが極めて薄くなります。大量にエネルギーを消費していた家庭が少しの努力で得られるポイントが、継続的に節減している絶対消費量の少ない世帯のポイントを上回ってしまう、努力とメリットの不均衡を生んでしまう可能性を大きくはらんでいるのです。
二つに、試行的に始まる省エネ家電購入へのポイント付与は一定の効果はあるでしょうが、大型化・高機能化、物によっては複数設置など生活環境が大きく変化している中で、京都議定書の観点でいえば、過去に実際に保有していた製品に対する省エネ性能の比較でなければCO2削減には結びつかず、本来の意味も失ってしまいます。
三つに、太陽光発電について、将来的な環境価値を先取りした形でのポイント付与は大きな前進であると評価していますが、購入時に適用される性格上、設置補助の意味合いは否定できません。設備・設置費用の将来的な価格逓減の期待値も高い現状において、購入・設置のインセンティブとして十分と府民の皆さんに受けとめられるかどうか、見解は分かれるのではないでしょうか。
今指摘したような問題について、どのようにとらえていらっしゃいますか。また、今後、具体的に改善していく見通しはありますでしょうか。御所見をお伺いいたします。
まず、ここまでお伺いいたします。
副議長(北岡千はる君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
知事(山田啓二君)
熊谷議員の御質問にお答えいたします。
森林環境の問題でありますけれども、府内の34万ヘクタールの森林は、災害の防止や水源の涵養、地球温暖化の防止など、非常に大きな公益的な役割を果たしております。これを日本学術会議が林野庁に示した推計でいきますと、大体1兆円、9,730億円ぐらいの京都府においては効用があるとされております。ただ、私は正直言いまして、その推計の中身を見ますとかなり数字的にばらつきがありまして、例えば土砂の災害防止機能は4,700億円ぐらいかかりますけど、地球環境保全のための空気をきれいにする機能は210億円。ちょっと差があり過ぎるのではないかなというふうに思っておりまして、これはなかなかこの金額でやっていけるようなものではないなというのが、正直言って数字を見た実感であります。
また、整備の現状というのも、公益的機能をどういうふうに見ていくかで、かなり変わってくると思います。例えば、災害対応も含めて徹底的に整備しようと思ったら、34万ヘクタール全部についてきちっとやっていかなければならない。でも、極端に言えば、普通に山を維持していくのであれば、人工林をできるだけ混合林に変えて、放置竹林をしっかりと管理するぐらいでもいいのかもしれない。ですから、それぞれの公益性とかそれぞれの事情に応じて整備を、我々の持っている能力と照らし合わせて考えていかなければならないという点がありますので、ここはなかなかすぐに数字的に出せるというものではない。従って、所有者や市町村、さらに林業関係者と連携をしながら、当面やらなければならないことをしっかりやっていくということが、私は今の時点では大切ではないかなというふうに思っておりまして、今回のように「緑のKYOディール」推進事業として「緑を守る森林整備10億円事業」、環境問題に力を入れていきたい。そして、それによって経済・雇用対策にもしていきたい。さらに、「京の木の香りの整備事業」などの予算をお願いしているところであります。
また、森林吸収による温室効果ガスの排出権取引についてでありますが、これは取引価格に比べましてコストが非常にかさむというそもそもの問題がありますけれども、その中におきまして、モデルフォレストなどの中でカーボンオフセットによる森林整備の取り組みは着実に始まっておりますので、私は、こうした点を重んじていく必要があるというふうに思っております。
税につきましては、何度もここで答弁させていただいておりますが、森林・環境対策検討委員会の報告に基づきましてしっかりと検討していきたいと思いますけれども、御指摘のようにこの場合には、やはりどういう目的に、どの程度の負担を求めるかということが一番説明責任としては大きいと思っております。ですから、片方では、行政経営改革プランの中で我々は無駄をなくして、これだけ将来にわたって財政健全化をなしていかなければならない、そのためにこういう努力をしていくのだ、その上で、環境問題については非常に長い目で我々は投資をしていかなければならないので、府民の皆さんに、その中でこれだけの負担をしていかなければならないということをきちっと説明していく必要があると思っております。そうした観点につきまして、これから府議会の御意見も聞きながら、また幅広い意見の聴取も重ねながら、具体的な検討を深めていくべきではないかということを申し上げているところであります。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁をさせていただきます。
副議長(北岡千はる君)
山内文化環境部長。
〔文化環境部長山内修一君登壇〕
文化環境部長(山内修一君)
大京都エコポイントモデル事業についてでありますが、京都府のCO2排出量は、産業部門では90年度比マイナス30.4%と削減が進んでいる一方で、家庭部門におきましては15.2%と大きく増加していることから、この対策として、本年度からモデル事業として取り組んでいるところであります。
この事業においては、議員御指摘のように、従前から積極的にCO2削減に取り組んでこられた家庭に対しては、その努力とメリットに不均衡を生ずる面もありますけれども、他方では、これまで省エネ行動に関心の低かった家庭へと取り組みを広げ、幅広い活動とすることも必要ではないかと考えているところであります。
事業につきましては、昨年の10月という年度の後半に開始するところとなったところでありますけれども、参加家庭が伸び悩んでいる背景としては、制度周知が不十分であったことや、申し込み時にガスや電気の供給会社に委任状を提出する必要があったり、事前にIDパスワードを取得する必要があるなど、手続上の問題などがあると考えているところであります。今後とも、環境省にID登録システムの改善を要請いたしますとともに、府民の方々へ積極的な広報活動を展開するなど、一層の参加世帯の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
家庭におけるCO2排出量削減に大きな効果のある太陽光発電の導入につきましては、国の来年度予算で予定をされております標準的な規模で24万円となる補助制度や税制上の優遇措置に加えまして、京都府としても、来年度は設置者へのエコポイント付与を5倍に拡充し、なるべく早期での購入を支援したいと考えているものであります。
また、家庭での省エネ家電の購入に当たりましては、温暖化防止活動推進センターや省エネマイスターの皆さんの協力も得て、性能の比較に配慮した省エネ相談なども実施をしているところでありまして、より効果の上がる省エネ家電の購入についてアドバイスを行っているところであります。
いずれにいたしましても、緒についたこの京都エコポイントモデル事業の一層の周知を図りますとともに、申し込み手続の簡素化に努めることなどによりまして参加家庭の拡大を図り、省エネ意識と行動のさらなる促進が図られるよう、今後の事業展開の中でさまざまな課題をしっかりと検証し、よりよい制度となるよう努めてまいりたいと考えております。
副議長(北岡千はる君)
黄瀬農林水産部長。
〔農林水産部長黄瀬謙治君登壇〕
農林水産部長(黄瀬謙治君)
森林の保全・整備についてでありますが、議員御紹介の、民間企業がサポーターとなって財源を確保し、間伐の実施から間伐材利用を行うビジネスモデルにつきましては、森林整備を進める上でも一つの有効な取り組みであると考えております。こうした取り組みを初め、森林の整備、木材の安定供給・利用に至る流れの中で、持続可能な林業経営を構築し、その収益を健全な森林の育成につなげるという、大きな循環をつくることが大変重要であると考えております。
京都府内におきましても、日吉町森林組合のように、間伐等の施業の集約化により生産コストの削減に努め、収益を森林所有者に還元するビジネスモデルとして全国的にも注目されている取り組みや、京都府独自のウッドマイレージCO2認証制度を推進する中で、工務店が府内産認証木材を使用した住宅を府民に提供したり、あるいはまた、合板会社が森林組合と協定を結び、府内産100%の合板を製造し府内の住宅建築に供給するなど、森林の整備と木材の安定供給を支える、いわば京都方式とも言える木材利用の循環の取り組みが展開されてきております。
こうした一連の取り組みをさらに大きな流れとして安定させていくには、府内産木材の利用拡大が重要と考え、新たに植物園等の府民が利用する施設や商店街等のまちづくりにおける木材利用の促進、学校における木製の机やいすの導入などを支援する「京の木の香り整備事業」を創設し、これに必要な予算を今議会にお願いしているところであります。
今後とも、木質資源の有効利用の取り組みを通じ、企業や地域が創意工夫しながらビジネスモデルを展開でき、適切な森林整備につながるよう努めてまいりたいと考えております。
副議長(北岡千はる君)
熊谷哲さん。
〔熊谷哲君登壇〕
熊谷哲君
御答弁ありがとうございました。
まず、森林の保全のための税についてですが、今、知事から御答弁いただいたとおり、これから検討会での議論も踏まえて、また幅広く検討されていくことだと思います。その中で、質問の中でも申し上げましたが、これが果たして森林整備だけに係るものなのか。例えば、今の温暖化防止、CO2排出量の削減ということで言えば、幅広く環境という観点からとらえたものになるのかどうか、あるいは、里地、里山の整備、幅広くそうした地域に暮らす方の生活を守るためにも使えるのかどうか。そういった観点からの検討も必要だというふうに思いますので、その点はぜひ御検討の中にお加えくださいますようにお願い申し上げます。
それから、エコポイントについては、モデル事業期間3年間で来年度が2年目になりますから、いろいろ見直しを進めていくといってもそれほど猶予がある事業ではないと考えています。ですから、できるだけ速やかに見直すところは見直さなくてはいけないですし、参加する家庭の初期の負担、それは事務的な負担も含めて軽くしなくてはいけない。参加を促して実際に取り組みに着手してもらうところが本来的な意味であって、そこまでのハードルをできるだけ低くして、できるだけ多くの家庭に多くの形で参加をしてもらうようなところを検討していっていただきたいと思います。
それから、太陽光のこともありました。例えばドイツの事例にもあるように、なるべく早くに設置した人にはできるだけ大きなメリットを与えて、年数が進むにつれて、例えば補助費用あるいは導入のインセンティブ費用は切り下げていくというようなことも考えていかないと、初期投資としてそれなりに費用がかかる以上は、そこもハードルが高いと思います。そういった観点からも、継続的に一定の額を毎年出していくのではなくて、この3年間にできるだけ集中してやっていくとか、そういうようなところの取り組みが必要ではないか。そういった中でエコポイントを十分に活用できないかということは、速やかに御検討いただきたいと思います。
次に、教育に関連して2点お伺いします。
まず、「まなびアドバイザー」についてお伺いいたします。
京都府では、モデル事業として、2004年度から学校と関係機関が連携したサポートチームを編成し、2007年度からは「まなびアドバイザー」を府独自の施策として全国に先んじて配置し、今年度は国が予算措置を講じるところまで至りました。
私は、児童生徒の健やかな成長や学びを支援するととにも、社会福祉的な観点から児童生徒の置かれた環境の改善を働きかけていくスクールソーシャルワークの有効性について、これまでに何度となく取り上げてまいりましたが、府教育委員会の御努力によって拡充が図られ、成果を結びつつあることを、着実な前進と評価しています。
さて、9月議会での私の質問に対して、田原教育長は、今後の課題として、「一つには、現在、小学校低学年を中心に行っているこのような取り組みを、小学校入学前から中学校卒業までを視野に入れた取り組みとする必要があること。二つには、福祉関係機関等との連携をさらに強めていくこと」とし、スクールソーシャルワークの趣旨を生かすことができる人材の確保や支援チームの設置など、体制の整備と継続的な取り組みの必要性を具体的に挙げておられました。来年度予算においては、中学校への配置10名と拡充を図るとともに、これまでの退職教職員等に加えて社会福祉等の専門家にも委嘱していくとの方針を示されましたが、さらなるステップアップが図られるものと期待しています。
そこで、その具体的なねらいと活動内容、支援体制について、教育長の御所見をお伺いいたします。
また、予算面を見ますと、府の単費事業から、今年度は国の10分の10に、そして来年度は府3分の2、国3分の1と変移の激しいところですが、今後の事業見通しについて、決意も含めてあわせてお伺いいたします。
ところで、子どもや親、教員への面接やカウンセリング、社会的な資源やサービスを活用するためのコーディネート、子どもの人権擁護や学習支援、子どもや家族・学校・地域の間に立っての調整や連携促進など、それぞれの可能性を十分発揮できるようサポートしていくためには、保健所や児童相談所、福祉事務所、医療機関、民生・児童委員、少年サポートセンター、ジョブカフェや労働局など、さまざまな機関との連携・サポートが不可欠です。現場では、個々の子どもたちが抱えている事案の複雑さや困難さに直面しながら、一方では、そうした連携づくりに大変御苦労なされているとお聞きしております。
有機的な連携体制を構築していくには、教育サイドの尽力もさることながら、知事部局の積極的な参画と支援が必要だと考えています。まだまだ課題の多いところと思いますが、今後、具体的にどのような対策を講じていかれるのか、御所見をお伺いいたします。
質問の最後に、ゲームリテラシーとゲームの教育的活用についてお伺いいたします。
家庭用コンピューターゲームは、日本のコンテンツ産業とICT産業を牽引する産業として確固たる地位を築き上げてきました。今日、大学では、ゲームを重要なコンテンツとしてとらえ研究を進める学科がふえ、ゲーム産業は魅力ある職業へと変貌を遂げています。将来を展望したとき、私たちは、子どもたちがどのように「ゲーム」と向き合っていくべきか、また、どのような人材を育成していくべきか、真剣に考えるときを迎えていると思います。
しかしながら、いざ「ゲーム」というと、「目が悪くなる、運動不足になる、学力が落ちる」というように、相も変わらず教育とは対立する「諸悪の根源」として見られている節があります。いっときはやった「ゲーム脳」などという偏見は、医学的な根拠も薄弱なその最たる例で、世界の中でもとりわけ日本の特異さが際立っている悲しい現状にあります。
こうした拒絶反応ばかりに寄りかかるのではなく、ゲームを新たな時代の発展途上にある新たな表現メディアと位置づけ、「情報リテラシー教育」の中に「ゲームリテラシー」を組み込んでいくことが、過度な依存状態に陥らせないことはもとより、私は、教育的にも文化的にも、そして産業的にも、とても重要であると考えています。
諸外国では、ゲームリテラシーにとどまらず、ゲームを活用した教育プログラムの開発・活用が積極的に進められています。例えば、2007年9月に東京大学で開催されたデジタルゲーム国際学術会議、ディグラ(DiGRA)2007では、小学校低学年からゲームを活用してアルゴリズム制作の習得を図る実践的な授業の事例が、海外から数多く報告されていました。また、昨年12月には、ゲームの教育利用に着目した日韓シンポジウムが同じく東京大学で開催され、オンラインゲームやシリアスゲームの新たな可能性が、多角的かつ科学的に検証・評価されています。
一方、国内に目を転じると、八幡市では、英語授業にニンテンドーDSとそのソフトを活用し、英単語を習得するプロジェクトが成果を見せ始めています。また、分野は異なりますが、滋賀大学では携帯電話を学習手段のツールとして活用するプログラムが開発されています。私も、母校・慶応義塾で一部の講義で導入されていることから数回その現場を見させていただきましたが、教育的活用の可能性の大きさを強く感じました。
京都には、世界に冠たるゲームメーカーがあります。また、多くのソフト開発会社が集積しています。また、ゲーム教育や研究プロジェクトに取り組む大学が幾つも存在しています。そして、文化的・教育的資産の豊富さは言うに及びません。こうした京都のメリットを最大限に生かして、ゲームを活用した教育プログラムの開発を志向する連携ネットワークを構築し、教育現場での実践・活用を図っていくことが、子どもたちと京都府の未来に新たな価値や知恵をもたらすものと確信しています。
こうした「ゲームリテラシー教育」や「ゲームを活用した教育プログラムの開発・活用」について、どのようにお考えでしょうか。教育長の御所見をお伺いいたします。
以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。
副議長(北岡千はる君)
和田健康福祉部長。
〔健康福祉部長和田健君登壇〕
健康福祉部長(和田健君)
まなびアドバイザーを初めとする教育現場との連携についてでありますが、これまでから児童相談所においては、家庭での放任や過保護、虐待などを背景として、不登校や問題行動など学習や生活習慣に問題を有する児童について、教育機関とも連携し、必要な相談・援助を行っているところであります。
一方、子どもを取り巻く環境は複雑・多様であり、個々の相談機関での対応に加え、地域に密着した関係機関との連携のもとに取り組みを進めることが重要であります。このため、児童相談所はもちろんのこと、保健所、保育所、民生・児童委員、医療機関、警察など、幅広い関係機関等で構成される「要保護児童対策地域協議会」の設置を市町村に働きかけてきたところ、昨年11月に府内全市町村に設置されたところであります。この協議会におきましては、教育委員会や学校などにも参画いただき、子どもや家庭にさまざまな問題を抱えるケースについて、情報を共有し、各関係者の役割分担のもと、子ども一人一人に応じた多面的な支援を行うことといたしております。
今後とも、まなびアドバイザー設置の趣旨を踏まえ、学校など教育関係機関との連携を一層密にして、児童福祉の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
副議長(北岡千はる君)
田原教育長。
〔教育長田原博明君登壇〕
教育長(田原博明君)
熊谷議員の御質問にお答えいたします。
まなびアドバイザーの中学校への配置等についてでありますが、思春期を迎える中学生の学力課題や問題行動等の背景には、生徒の心の問題とともに、家庭や友人関係など生徒を取り巻く環境の問題が複雑に絡み合っているケースが多いと考えております。こうした課題に対応するためには、学校・家庭・地域社会と福祉関係機関などで支援チームを編成するなど、ネットワークを構築することが重要であり、そのかなめとしての役割を果たすことができる社会福祉士などの人材を、中学校のまなびアドバイザーとして配置したいと考えております。
〔副議長退席、議長着席〕
このアドバイザーには、具体的な役割として、第一に、学校や福祉関係機関などと情報共有を行うこと、第二に、生徒のさまざまな問題について、その背景や原因を分析し、支援策を検討すること、第三に、その支援策に基づき、学校や福祉関係機関などがそれぞれの機能を発揮し、組織的・継続的な支援が行えるようコーディネートすること、と考えておりまして、今後は市町村教育委員会や福祉関係部門などとしっかり連携して、それぞれの地域の状況等に応じて最も効果的な活用が進められるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
なお、アドバイザーを中心とした家庭等への支援は長期的な取り組みとすることが必要であり、今後、より効果的な方法を検討しながら、継続して取り組んでまいりたいと考えております。
次に、ゲームリテラシー教育についてでありますが、ゲームは子どもたちがともすればのめり込みやすいという特性を持つ一方、ゲーム産業がますます進化を遂げるこれからの新しい時代の中で、子どもたちに例えば利用する時間を自制する力など、その適切なつき合い方を身につけさせるという視点から、ゲームに関するメディアリテラシー教育の充実は必要であると考えております。同時に、ゲームのバーチャルな世界から子どもたちをほんものの世界に導き、生身の人間同士のコミュニケーション能力を育成することも重要であると考えております。
一方で、ゲームには教育等に活用することによる有用性も指摘されており、議員御紹介のように、国の研究開発指定を受けた八幡市の中学校では、ゲームを活用した学習プログラムを通して、子どもの学習意欲を高めたり、基礎・基本の定着に効果が見られるなどの成果が上がっていると聞いております。
今後は、学校や家庭においてどのようにメディアリテラシーを育成していくか、また、学習プログラムの開発など教育活動にどのように活用していくのかということについて、さまざまな事例や国の動き、また専門家、スタッフの意見も収集しながら、新しい課題として研究してまいりたいと考えております。
