議長(家元丈夫君)
日程に入ります。日程第1、一般質問を行います。
通告により順次発言を許します。
まず、大野征次君に発言を許します。大野征次君。
〔大野征次君登壇〕(拍手)
大野征次君
私は、民主党議員団の大野征次でございます。府民の暮らしと幸せを守り、京都府のさらなる発展を願い、当面する諸課題について、会派を代表して質問に入ります。
質問に入る前に一言申し上げます。
先般、31年ぶりに継続審査となった平成19年度決算関連議案を認定いたしました。問題が発生してからこの間、山田知事を先頭に、府民の信頼回復に向けた決意と具体的な取り組み方策をお示しいただくとともに、我が会派といたしましても徹底した審議を重ねてまいったものであります。今後一切、このような事態が二度と繰り返されることのないよう、職員一丸となって信頼回復に努められることを強く求めるものであります。
それでは質問に入ります。
思い起こしますと、山田知事が就任されました平成14年は、いわゆるITバブル崩壊後の景気低迷の中、非常に厳しい時代でありました。この平成14年4月16日の初登庁式で知事は、「府民の思い」を羅針盤に新しい京都を切り開くと、新たな決意を示されました。
〔議長退席、副議長着席〕
知事就任の最初の予算としての仕事が「緊急雇用・不況対策」であり、総額50億円、「環境」「健康・福祉」「教育」「観光」「起業」の5つの分野を中心に雇用対策に取り組まれたのが、山田府政の第一歩でありました。厳しい環境下での船出でありましたが、将来の京都府を見据えた施策づくりを進めるため現在のアクションプラン方式をスタートさせ、常に多様化する地域の課題や願いをしっかりと受けとめ、懸命に府政運営に取り組まれ、公約の実現を図ってこられました。
それから7年たった今日、原油・原材料の高騰に始まり、毒入りギョウザ、汚染米、食品表示偽装など食の安全を脅かし、加えて医療・介護難民問題や高齢化が進む中で、地域の崩壊現象が見られるという状況下であります。それに追い打ちをかけるように、1929年の世界大恐慌をほうふつさせる、いや、それ以上とも言われる、だれもが経験したことのない危機に見舞われており、去る1月22日には、実質経済成長率についても「戦後最悪の落ち込みが2年続く」との予測を日銀がまとめられました。大変な状況下で、我が京都府の税収も530億円減少する未曾有の事態となっております。2期目の仕上げ予算となる平成21年度予算編成は、知事は大変御苦労されたことと思います。
今定例会に提出されました平成21年度の一般会計予算は、8,482億円と、昨年を258億円上回る規模であり、税収が大きく減る中での予算を維持するだけでなく積極的に拡大させることができたのは、これまで知事を先頭に、職員の不断の努力による行財政・経営改革によって財政の健全性を維持し続けてこられた結果であると思うところであります。暗い世相の中、京都府が頑張る、こんなときこそ京都府が府民を支えるとの姿勢が明確に示された「京都温め予算」だと高く評価するところであります。
今回の予算の柱は、「未来に向かうことができる京都づくり」であり、「絆づくりを進め、地域を支え合う取り組みの推進」であります。
そこで、お伺いいたします。まず、2期目の締めくくりとして、3カ年を振り返りどのように総括されているのかお聞かせください。また、新京都府総合計画の総仕上げに向けて、今回提案されている予算案について、どのような思いで編成されたのか、知事のお考えをお聞かせください。
また、税収が大きく減少する中で、国からの地方法人特別譲与税や地方交付税などの増額により一定の財源の確保ができているものの、引き続き臨時的な措置として府債管理基金を取り崩し、また、府債について大幅に発行をふやすことによって財源確保に努められているところでありますが、地方財政を取り巻く厳しい環境は、いましばらく好転の兆しが見えない状況に置かれていると考えます。
予算は、あすの京都づくりのための材料であり、素材であり、それを実行に移す力があってこそ初めて、府民を支え、あすの京都づくりになるのであります。そのため京都府では、人材を初め、資金や施設など限られた財産の中で、府民サービスを最大化する取り組みに努めていくとのことでありますが、今後の行財政運営についての考え方と実行する力となる人材の強化や府庁の組織体制整備、いわば「府庁力の強化」に向けた具体的な取り組みについて、知事のお考えをお聞かせください。
加えて、こうした難局にあってこそ、打開に向けて府民総体制であらゆる課題に取り組まねばなりません。先月就任されたアメリカのオバマ大統領は、その就任演説で、「今、私たちに求められているのは、新たな責任の時代です。米国人一人一人が、自分自身、国、そして世界に対して義務を負っていると認識することです。そして、全力を尽くして困難な仕事に取り組むことほど心を満たし、米国人らしさを示すものはないと確信して、この義務を嫌々ではなく、喜んで引き受けることです」「これが市民であることの代償であり、約束です」と述べておられます。
演説の一部ではありますが、これを聞いて知事は、府民に対して何を求め、どのようなメッセージを送られるのか、お気持ちをお聞かせください。
次に、労働問題についてお伺いいたします。
昨年10月ごろから、「非正規雇用」「雇いどめ」「派遣切り」の活字が飛び交い、雇用環境の急激な変化が報道されております。昨年2月の総務省の労働力調査で、2007年の非正規雇用者は1,732万人でありましたが、昨年12月の厚生労働省の調査結果では、実に1,779万人に増加、また、厚生労働省の労働者派遣事業に関する平成19年度報告では、派遣労働者が381万人と過去最高を更新したとしております。アメリカ発の金融危機が日本経済を根元から揺さぶり、ソニーやトヨタといった日本を代表する大企業での派遣切り、リストラのあらしが吹き荒れ、急激な雇用情勢の悪化は深刻の度を深めております。雇用の規制緩和によって、派遣労働者の「雇いどめ」「派遣切り」は、大企業の雇用の沈め石、調整弁に使われている実態を裏づけた格好と言えるでしょう。
京都府におきましては、いち早く実態を把握するとともに、山田知事を本部長として「京都府緊急経済・雇用対策本部」を立ち上げて、その対応に取り組んでこられましたことに対しまして、高く評価するところであります。
一方、企業側では、新光総合研究所のまとめでは、2002年2月から始まり戦後最長とされる景気拡大局面で企業は好業績に沸いた。2008年3月期の東京証券取引所一部上場企業(金融を除く)の経常利益の総額は、前期比4.7%増と、5年連続で過去最高を更新したとしております。しかし、人件費に回らず企業内部にため込まれてきたと言われております。今回、企業が標榜してきた「企業の社会的責任」「企業理念」はどこへ行ったのか、年末年始にかけ、収入もなく、住んでいた寮などを追い出された人たちは「年越し派遣村」、日比谷公園のテント村や霞が関の厚生労働省講堂で過ごした。数百人の人々の厳しい過ごし方を見て、経営者は心が痛まなかったのか。やはり、人間ではなく「モノ」として見ていたのでしょうか。大企業経営者は、この間、派遣会社の責任として処理し、何の痛みも感じなかったのでしょう。それゆえに何の対応もほとんど見えてこなかったのが現実です。その上、減益の見通しにもかかわらず増配予想を変えていない企業すら見え隠れするという状況に、怒りさえ覚えた次第であります。
そこで、お伺いいたします。最近よく、企業の社会的責任と言われておりますが、社会的責任とは、前面に出されている慈善や福祉活動ということだけではなく、まず「社会に有用な商品やサービスを市場に提供し、需要にこたえる」ことであり、「雇用の創出と雇用の維持」を果たし、従業員や地域社会と向き合った雇用計画が求められていると考えます。
知事は、企業の社会的責任について、どのようにお思いでしょうか。
今日の経済危機における企業の考え方は資本主義、競争原理だと言われればそれまでですが、しかし企業側には、法的に問題がないからといって、また、業績が苦しいからと雇用をすぐに打ち切るのではなく、「人間を大切にする」「悲しみや苦しみを分かち合う」という企業理念の精神こそが、今求められていると思うのであります。知事のお考えをお聞かせください。
次に、京都ジョブパークにおいて、年末年始、「派遣切り」「雇いどめ」などの非正規労働者の対策に、知事並びに関係者におかれましては懸命にお取り組みをいただきましたことに、まず心から敬意を表します。
そこで、お伺いいたします。年末年始にかけて、京都ジョブパークでの取り組み状況についてと、京都府内で3月までに失業したり失職が決まっている非正規労働者数が1,925人と調査報告されておりますことについて、今日までその対応・対策についてどのように取り組まれてきたのか。また、今後の取り組みについてもお聞かせください。
加えて、労働者派遣法改正で、2007年3月に製造業への派遣の雇用期間が1年から3年に延長されました、これに基づく派遣労働者の大多数が一斉に雇用期限を迎えるという、いわゆる「2009年問題」を迎えると考えます。また、京都府の全雇用者に占めるパートやアルバイトなど非正規雇用者の割合が40%、沖縄県に続いて全国ワースト2位と、深刻な調査結果であります。今回の「政治災害」ともいう非常事態に対して、知事は1月6日、延べ約2,500人の臨時職員の募集計画を発表されました。そして、平成21年度予算編成には、重点項目「10の京都政策」の中で、特に「京都を支える5万人雇用・ひとづくり」など、府民生活の安全・安心に心を込められた予算編成に対して、会派といたしまして高く評価するものであります。
そこで、お伺いいたします。最も有力な方法の一つであります職業訓練でありますが、就職困難者の能力を高めつつ高い確率で就職実現に結びつける方法として、極めて有力と考えます。きめ細かな人材育成へのキャリア教育や職業訓練などの拡充が大切であると考えますが、具体的なお取り組みについて、知事のお考えをお聞かせください。
また、職業訓練など就業を支援する取り組みとともに、再度就職されるまでの間の生活を保障する観点からセーフティネットを構築することは、行政が果たすべき重要な役割であると考えております。とりわけ、不幸にして保護者の方が失業されたときに、その子どもが修学をあきらめざるを得ないということは、あってはならないと存じます。子どもたちの修学を援助する取り組みについての知事のお考えをお聞かせください。
次に農業問題について、初めに自給率についてお伺いいたします。
「日本が飢え死にする」「食糧安全保障の危機」のテーマの論文が発表されている中で、簡単に私なりにまとめました。
欧米各国にとって食料の確保は、軍事、エネルギーと並んで国家存立の重要な柱の一つであるとしております。ブッシュ前米大統領も、食料自給は国家安全保障の問題との強い認識を示されています。例えば、2001年7月の米農業団体会員への演説では、「食料自給できない国を想像できるか、それは国際的圧力と危険にさらされている国だ」と言い切っています。この意識は、まさに100%を大きく上回る自給率を維持していることを物語っています。先進主要国の食料自給率を見てみますと、2003年の試算値(カロリーベース)にて、オーストラリア237%、カナダ145%、米国128%、ドイツ84%、英国70%と高い数値であり、日本は2007年度で40%と異常に低い状況であります。欧米諸国は、いずれも戦後徐々に引き上げる努力を重ねて、近年比較的低いと言われているスイスでも約50%としています。
近年、穀物価格の高騰、諸外国における輸出規制など世界の食料事情が大きく変化し、食料自給の逼迫の度合いが強まっています。日本の国民が考えるほど調和のとれたものでも、人道的なものでもありません。加えて、地球温暖化の進行も含め、世界の食料需給が不安定化する懸念材料は少なくありません。将来にわたって十分な食料輸入が確保できる保障などありません。経済力があれば食料は「いつでも買える」という楽観的な想定をしている国がほかにあるだろうかと危惧を覚えます。我が国は大量の食料輸入に依存しています。もし食料輸入がストップするようなことが起きれば、重大な問題になることは言うまでもありません。国内の食料供給力を高め、食料自給率の向上を目指していくことが喫緊の課題であると考えます。
そこで、お伺いいたします。食料問題は国の政策問題だと言ってしまえばそれまでですが、地方自治体として、京都府としてなすべきことはないのでしょうか、知事のお考えをお聞かせください。
次に、耕作放棄地の有効利用についてお伺いいたします。全国の耕作放棄地は、2005年農林業センサスによると約39万ヘクタールに広がっています。京都府におきましても、耕地面積の約8%、2,615ヘクタールに達しています。農業は、生産機能のほかに、水源の涵養、自然環境の保全、文化の伝承、さらに福祉・保健・教育においても積極的な活用がなされております。平成13年12月議会においても質問いたしましたが、耕作放棄地の保全、解消、都市緑地対策、コミュニティ政策としてつなげるためにも、「市民農園」を政策的に位置づけられて推進されますよう提案をしたいと存じます。
「市民農園」は、申すまでもなく、(1)都市空間的農地(耕す空間を残す)、(2)都市農業の安定、(3)都市と農村の相互理解、(4)新しいコミュニティの形成、(5)食農教育の場として、(6)都市環境の保全、(7)市民参加の緑地管理・環境の保全等でありますが、私は、特に団塊の世代の方々や高齢社会における健康対策と、人と人との「絆」が深まり地域力再生に大きな役割を果たすことと考えております。
そこで、お伺いいたします。市町村と連携を図ることはもちろんでありますが、特定地域、モデル地区を指定して、実験的施策として京都府が先導的役割を果たされるよう求めるものでありますが、知事のお考えをお聞かせください。
次に、昨年末、減反について12月28日のテレビ番組で石破農相は、主食用米の生産調整について、「減反政策はこれでいいのか、という問題意識は持っている」と述べられるなど、食料・農業・農村の基本理念である食料の安定供給の確保問題について、政策の再構築の必要性を訴えられたと推察いたします。
そこで、京都府の「新京都府農林水産振興構想」ふるさとビジョンについては2010年(平成22年)を目標とされております。将来にわたって京都府農政のあり方について、知事はどのようにされようとお考えなのか、お聞かせください。
次に、循環型社会についてお伺いいたします。
2005年、毎日新聞の招きで来日されましたワンガリ・マータイさんは、当時東京本社の観堂義憲編集局長からインタビューを受けました。その中で、日本の伝統的な考え方に「もったいない」という概念があると説明を受けました。日本では、なるべく資源を無駄にしないように、資源に思いやりを持つように、感謝の気持ちを持つようにという意味なんですよと。そのことから、ワンガリ・マータイさんの「もったいない」には4つのR、すなわち、1、リデュース(ごみの減量)、2、リユース(再使用)、3、リサイクル(再利用)に、4つ目のR、リスペクト(尊敬)を加えて、「もったいない」という言葉を世界じゅうに広められました。申すまでもございませんが、「限りある資源を次の世代に残すために、それぞれができる限りの努力を」と実践されたアフリカでの植林活動が評価され、2004年にノーベル平和賞を受賞されました。そのマータイさんは、ケニア全土に「グリーンベルト運動」として植林を展開されています。マータイさんによって「持続的循環型社会」の構築に向けたキーワードとなりつつあると考えます。マータイさんが言われる「もったいない」こそ、まさに日本人本来の精神ではないでしょうか。日本の繁栄によって、大量生産・大量消費時代を迎えて消費が美徳とされてきた時代が、この「もったいない」精神を薄れさせていったのではないでしょうか。
2007年版の循環型社会白書では、今日、廃棄物の問題は日本だけでなく世界共通の問題として、3R、廃棄物処理技術の変遷とともにその進展を展望する中で私たちの理解が深まってきました。みずからが排出したものがどのようにリユース、リサイクルされるのか、そして廃棄物としてどう適正処理されるのか、そのプロセスを理解することが重要であるとしています。今日まで、国民一人一人に対して、ともすれば宣伝的といいましょうか、項目列挙と努力目標的状況であったと思います。
そこで、お伺いいたします。各自治体において分別回収されておりますが、府内全体でどのくらいの廃棄物が排出されているのか。また、古紙回収を各自治体で取り組まれておりますが、私の町内では、リサイクル4品目(古新聞・古雑誌・段ボール・古布)が、一昨年の1カ年で、私の自治会だけでも235トン回収されております。京都府全体での取り組み状況と全体量について、加えて、これらの回収成果がどのくらいリユース、リサイクルされているのか、お聞かせください。
また、3R施策の確立と地域における資源循環型社会づくりのための「推進計画」「実施計画」の策定状況とその取り組みについて、また特筆できるものがあればお聞かせください。
府民一人一人が、世界じゅうの人たちが「もったいない」という意識のもとに実践されることが省エネ行動に通じ、環境保全、「持続可能な循環型社会」を実現する大きな原動力となると考えます。
そこで、お伺いいたします。今日まで環境家計簿の取り組みがなされてきました。その参加家庭数と目標値との状況についてお聞かせください。
この活動は宣伝的アドバルーンにはなり得ませんが、地道ながらも地に足をつけた活動こそが大切であると考えます。そこで、京都府関係職員が約3万人弱おいでになります。率先して「もったいない」運動に取り組むならば、府民との協働と意識の高揚に結びつくと考えます。山田知事が先頭に立ってお呼びかけをしていただき、旗振り役を願うものであります。私個人の希望といたしまして、府議会にもお呼びかけをしていただき、府民挙げての取り組みとなるよう提案するものでありますが、知事のお考えをお聞かせください。
最後に、本日2月16日は記念すべき「京都議定書発効の日」であります。去る2月8日に私の政務報告会におきまして、改めて環境問題について考えようと、「私のチャレンジ宣言」と銘打って、私たちは目標1日1キログラムCO2削減の宣言をいたしてまいりました。また、去る1月28日、京都議定書に係る「KYOTO地球環境の殿堂(仮称)」の設立構想が発表されましたが、その内容についてと、今後の取り組みについてお聞かせください。
以上で私の質問を終わりますが、与えられました時間が参りましたので再質問はかないません。的確に実りある御答弁を求めまして、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。
副議長副議長(北岡千はる君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
知事(山田啓二君)
大野議員の御質問にお答えいたします。
大野議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、平成21年度当初予算案に対しまして高い評価をいただきまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。
3年を振り返ってとのことでございますけれども、私は、まず何よりも府民福祉の向上のために、乳幼児の医療の拡充や少人数教育の拡充、そして障害者福祉や医師確保対策など、教育・福祉・医療分野の行政水準の向上を図りますとともに、京都の骨格をなします舞鶴港、京都縦貫自動車道のように、林田・荒巻両知事が心血を注いでこられました事業の完成、いよいよ完成が近づいてまいりましたけれども、それに努力をしてまいりました。同時に、中小企業対策や企業誘致など京都の活力という面についても、基礎固めということで全力を挙げてまいりました。
ただ、その中で、常に府民満足や府民の幸福とは何かということを自問自答すればしますほど、今の社会というものが、豊かさの陰の中で人と人とのつながりが薄れ孤立化してきているのではないか、そして東京一極集中が進む中で地方の活力が低下してきているのではないかという危機感を持たざるを得ませんでした。このため、私は、何よりまず府民の安心・安全を確保する上で、人の結びつきを強め、人と人との「絆」を大切にする地域社会を築いていきたい。そしてその上で、京都の持っている文化力や環境との共生、ものづくり、こうした京都の歴史が育て上げた京都の強みを高め、京都を発信していきたいというふうに思って府政を進めてまいりました。京都式少人数教育や地域力再生事業、京都ジョブパーク事業、モデルフォレスト事業など、この3年間の中で、人づくり、人と人との交流、それを支える基盤づくりという点に特に意を込めて取り組みを進めてまいりましたけれども、地域力再生事業では既に700を超える事業と協働できるなど、さまざまな「絆」が生まれ育ってきていることを大変心強く感じているところであります。
平成21年度当初予算は、これまで培ってまいりましたこうした「絆」「人づくり」「文化と環境の京都づくり」などの成果を生かして、京都の持つ力、地域力を背景とした文化や環境の力をさらに高め、大きく展開をしていきたいというふうに考えております。
ただ、一方で、経済危機が急速に進んでおりまして、中小企業を直撃しておりますし、雇用問題の深刻化、そして府民生活にも重大な影響を及ぼしておりますので、こうした冷えた時代について行政の出番というものも積極的に考えていく必要があると考えました。このため、今回の予算は、規模も投資的な経費も積極的な伸びを確保しました予算になっております。他府県の予算も発表されてきておりますけれども、法人2税の割合が高い京都府は、大幅減収の中で、予算規模や投資的経費の伸びという要素から見ますと、間違いなく全国指折りの積極的な予算になっていると考えております。
問題は、その中において、先ほど述べてきた温かな地域社会や、文化や環境という京都の力をどう織り込んでいくかということでございます。雇用・経済や生活の面において冷え込んでいる状況に対し、回復に導く政策を優先しつつ、将来を見据えて京都を温めていかなければならないということで、今回、「京都温め予算」と位置づけ、京都の強みを生かした「10の京都政策」や、6つの「絆」政策など、「雇用・経済」「生活」「未来」のそれぞれの分野について、こうした観点を織り込んで、今回、予算を提出させていただいたところであります。
まだまだ、未来の部分、特に文化の部分はこれから本格化するところもありますので、しっかりと将来にわたって芽出しをしていかなければならないという思いで組んだ部分もありますけれども、今後、厳しい財政状況のもと、府民サービスを守るために、持続可能な財政運営の実現に向けた新しい経営改革プラン等に基づき、常に府民目線、府民本位で施策の見直しを行っていく必要がありますけれども、京都を温めていきたいという思いを御理解いただきたいというふうに思っております。
次に、今後の行財政運営についての考え方等についてでありますけれども、これまで財政健全化指針や経営改革プランによりまして、大変厳しい行財政環境の中で府民サービスの維持・向上を目指してまいりました。しかしながら、今後も少子・高齢化時代を反映した社会保障関係経費や公債費、退職手当などの増加は避けられず、加えて世界的な金融危機による経済情勢の影響は、京都府財政についても大変厳しいものになるというふうに考えております。
このような状況の中で、持続可能な行財政基盤のもとに「安心・安全、希望の京都」づくりを進めるためには、新しい行政経営改革プランを策定し、限られた人材や資金、京都府の財産を最大限に生かすことによって、府民の皆様の満足を最大にする、より多くの府民の皆様が将来にわたって幸福を実感できる府政を推進できるか、ここが一番基本ではないかなというふうに思っております。とりわけ、議員御指摘のとおり、府民サービスを担い府政を支えますのは「人」であります。ことしも2万6,000人の削減を交付税で義務づけられている厳しい状況の中で、同じようなサービス効果を上げるには、やはり職員の強化・育成と、その力を引き出す組織づくりが不可欠であると私も考えます。
具体的には、人材強化・育成のために、府立大学に「京都政策研究センター」を設置いたしまして政策能力の向上を図ってまいりますし、行政自身が非常に難しく高度化しておりますから、専門職も養成をいたしまして、総合的に府政を運営する人との複線管理をしていくような人事管理によりまして、職員の強みを伸ばしていく施策も進めていきたいというふうに思っております。
そして、これまで徹底した定数削減に努めてまいりましたけれども、今の状況というのは不況な状況でございますから、非常に優秀な職員を確保できますし、雇用対策という面もあります。また、ことしも予算におきまして手当等の削減を行いまして、給与ですと3%にまで相当するような人件費の削減も行っておりますので、こうした財源を積極的に活用し、いわばワークシェアという形で、ことしは優秀な人材を確保してまいりたいと考えております。これまで抑制してきました新規採用枠につきましても、大幅に拡大をしてまいりたいと思っておりますし、30代40代を中心に、民間企業等での職務経験を有する専門性を備えた即戦力となる社会人を、年度途中でも採用していきたいと思っております。また、職員の時間外勤務手当を縮減して生み出した財源で臨時職員の採用を考えるなど、府庁力をしっかりと強化していきたい、そういう年にしていきたいと思っております。
次に、府民に対するメッセージでありますけれども、私はかねてから、すべての府民の皆様があすに希望の持てる京都をつくるためには、忘れかけていた人の心の大切さをもう一度見直し、人と人とがしっかりと「絆」で結ばれた地域社会をつくっていきたいということを申し上げてまいりました。そのために、中期ビジョンや経営改革プランでも、さらに、とりわけ2期目の選挙のときの公約におきましても「みんなでつくる希望の京都」と題しまして、そして副題にも「私の府民の皆様への"約束"そして"協働のお願い"」、みんなで一緒に支えて取り組まなければ京都をよくできないではないかというメッセージを込めさせていただいたところであります。
アクションプランも安心・安全の見守り隊も地域力再生も、府民の皆様とともに一緒になって京都府づくりを進めていきたいというメッセージであります。今回の公募型の公共事業も、非常事態とも言える厳しい雇用・経済情勢の中で府民生活も冷え込んでいる中、すべての人が地域を愛して、地域のためにどんどん提案をしていただきたい。その中で、これからの京都をよくしていこう、そういうメッセージを込めさせていただいたものでありますけれども、現地・現場で府民目線に立った、府民の皆様との協働により、京都の未来をこれからも進めていきたいと思います。オバマさんのメッセージにも「ウイー(We)」という言葉を必ず使われました。やはり「我々」という言葉に、これからの京都府政を進める上でも一番大きな意味があるのではないかなというふうに私は感じております。
次に、雇用対策についてでありますけれども、京都府の12月の有効求人倍率は0.77倍と、全国は上回りますけれども、これはかなり低い水準まで落ち込んでまいりました。3月末までに約2,000人の非正規労働者の雇いどめが見込まれるなど、府内の雇用情勢は急速に悪化しつつあります。働く人3人に1人が今、非正規雇用という現実がございます。こうした中で、キャリアが蓄積されない、ものづくりの力が低下している、こうした課題が生じておりますし、それが景気変動に伴い、こうした方々の雇用が非常に不安定な立場に置かれているという事態を大変憂慮しております。これは、働く人にとって大きな問題であると同時に、長い目で見れば企業にとっても大きな損失であり、日本にとっても大きな損失であると考えます。
こうした思いは根本的には多くの京都の企業が共有をしていただいているところでありまして、京都府におきましては、昨年末、全国に先駆けて、京都市、京都労働局を初め、労働者団体、経済団体などオール京都で「緊急経済・雇用対策特別会議」を開催いたしまして、「府内企業が経営の安定を図りつつ社会的責任を認識し、働く場の維持・確保に全力を挙げる」ことを共同宣言いたしたところであります。
京都府といたしましても、昨年末から、京都ジョブパークの緊急相談窓口での早期再就職支援、府営住宅への入居受け入れ、府の臨時職員への直接雇用、そして、誘致企業や派遣元・派遣先事業主に対しての雇用の維持・確保の要請を行ってまいりました。国に対しましても、派遣制度の見直しを強く要望しているところであります。しかし、事態は急速に進展しており、こうした企業の思いを超えて状況が悪化していくことも考慮に入れるべきであると考えます。
平成21年度当初予算には、このため、「京都を支える5万人雇用・ひとづくり事業」を盛り込んだところでありますけれども、その中でも、将来を見据え、短期の臨時雇用よりも長期の常用雇用を目指した「人づくり」に重点を置きまして、福祉人材の確保や、ジョブパークによる就業支援の拡充などを積極的に展開してまいりたいと考えております。
特に職業訓練につきましては、御指摘のとおり再就職につなげる有効な手段でありまして、高等技術専門校におきまして、平成21年度は、人材が不足しているシステムエンジニアや福祉人材の養成などの職業訓練を新たに実施いたしますし、技能訓練とあわせて、キャリア教育としての職業観、コミュニケーション能力などの養成コースを充実するなど、訓練内容を大幅に拡充してまいりたいと思っております。さらに、平成21年度より専門校を再編する条例もお願いをしているところでありますけれども、ジョブパークと専門校が一体となって離職者の就業支援の取り組みを推進し、今後とも、オール京都で雇用機会の創出に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、修学を援助する取り組みについてでありますけれども、子どもたちが経済的状況によって修学をあきらめるような事態にできる限り陥らないようセーフティネットを構築することが必要であります。このため、従来から、府立高校の授業料免除や、私学への授業料減免補助、さらには修学資金の貸与など、全国でもトップクラスの支援を実施しているところでありますけれども、最近の雇用・経済の状況を踏まえまして、リストラ等により厳しい状況にある家庭への支援の拡充を図るため、今議会に3点にわたり予算をお願いしているところであります。
一点目は、公立・私立を問わず、授業料を納付したものの、保護者の皆様がリストラ等により家計が急変してしまい高校への修学が難しくなった場合に、生徒の修学を支援するため臨時・緊急の支援金を給付しようとするものであります。二つ目には、高校への通学費補助につきまして、従来の補助に加えまして新たに、経済的に厳しい環境にあります家庭に対する支援を拡充しようとするものであります。三つ目は、若い子育て世代を支援するため、私立学校授業料減免補助の対象につきまして、従来は小学校・中学校・高校でありましたけれども、新たに幼稚園への制度も創設しようとするものであります。
雇用の不安が拡大する中で、今後とも、教育関係者の皆様と十分に連携を図りながら、京都の次の世代を担う子どもたちが安心して修学でき、未来を切り開いていけるよう、精いっぱい努力してまいりたいと考えております。
農業問題でありますが、自給率の向上は本当に大きな課題でありますけれども、京都はどちらかというと急峻な中山間地帯を抱えた消費県でありますし、また、宇治茶や京野菜は京都の戦略的な産品でありますけれども、カロリーベースでは余り貢献ができない、反映されにくいという状況があります。それだけに、もちろん自給率にも配慮すべきでありますけれども、京都の場合は、できる限り安心で良質な農産物を安定的に府民に供給できる、そして府民の食生活を守っていく、そこに重点を置いていきたいなというふうに考えております。
これまでから、環境に配慮した特別栽培米や、「京都こだわり農法」による京野菜の生産振興を通じまして消費者の皆様の信頼を高めますとともに、直売所の開設支援、地元農産物の学校給食での利用促進、京野菜コーナーを設置する「ほんまもん京野菜取扱店」の認定など、地産地消の取り組みを進めてまいりました。今後も、こうした取り組みを通じまして、府内産農産物の生産、利用を一層進めていきたいと思っております。
市民農園についてでありますけれども、府内でも都市住民のニーズが大変高い上、耕作放棄地の活用や都市農業の振興、市民参加による農地保全などにもつながりますので、積極的に私どもも支援してまいりまして、現在52カ所で開設をされております。さらに、市民の皆様からは、この取り組みを一歩進めるために農家から本物の野菜づくりを教わりたいという声も増加しておりますので、「農家が教える体験農園」という新しいスタイルの市民農園をアクションプランに位置づけまして、農業改良普及センターが開設を希望する農業者を対象にいたしまして、運営方法等に関する研修会の開催や作付計画などについて支援をしているところでありまして、今後、都市を中心に、こうした体験農園の整備について、御指摘の点も踏まえて進めてまいりたいと考えております。
京都府農政のあり方についてでありますけれども、農業は食料生産だけではなく、自然環境の保全など公益的な役割も大変大きいものがございます。このため、私どもは、農家の方々が安心して働ける環境づくりを目指しまして、市場競争力のある農産物の生産振興を通じて農家所得の確保や担い手の育成、そしてこれを支える農村地域の整備・充実という観点から、丹後コシヒカリやブランド力の高い京野菜などの生産振興を進めますとともに、農地等の基盤整備はもとより生活環境の整備も進めてまいりました。おかげで丹後コシヒカリは、西日本では唯一2年連続の「特A」を獲得するに至っているところであります。
引き続き、こうした考え方のもと、新たに意欲ある農業者が商工業者と連携した農業ビジネスの取り組みを支援していきますとともに、今年度予算では特に、最近は「限界集落」という嫌な言葉がございますけれども、やはり農村というのは命をはぐくむ里である、この里を我々みんなで守っていくのだという観点から、豊かな地域づくりを支援する総合的な施策を「命の里」事業として展開していきたいということで予算をお願いしているところでありまして、これからも生産振興と農村地域の活性化を基本に京都府農政を進めてまいりたいと考えております。
次に、循環型社会の形成についてでありますが、京都府のごみ排出量につきましては、平成18年度で約109万トン、この10年間で6.7%減少しております。1日1人当たりの排出量は1,129グラムですから大体全国と同水準でありますけれども、自治会等による古紙やアルミ缶の集団回収は、22の市町で2,580団体が取り組んでいただいております。年間の回収量は全体で5万トン。集団回収以外のものも含めましたリサイクル量の合計は12万トン、リサイクル率は10.7%になっております。
市町村によるごみの減量、3Rの取り組みにつきましては、全市町村において計画を策定いたして推進しておりまして、職人さんから家具やおもちゃ、衣服などの修理再生方法を学びます「もったいない塾」とか、資源ごみを使ったガラス工房、廃食用油を回収いたしましてバイオディーゼルの燃料として再資源化する、マイバッグキャンペーン、ごみ減量推進協力店の認定など、それぞれ大変創意工夫をして取り組んでいただいているところであります。
環境家計簿の取り組みにつきましては、今年度中に8,000世帯以上で実施という目標を掲げまして取り組みを推進してまいりました。とりわけ夏休みは大きなチャンスだというふうに思っておりまして、「夏休み省エネチャレンジ事業」を推進してまいりまして、昨年度に比べて約70%の増となります約7,500世帯に参加をいただいているところであります。
〔副議長退席、議長着席〕
議員御指摘のように、環境家計簿につきましても、府職員も率先垂範して取り組んでまいりたいと思っておりますし、議会にもぜひとも御協力をお願いしたいというふうに思っております。
「KYOTO地球環境の殿堂(仮称)」につきましては、今年、京都議定書発効5周年になりますけれども、また次の枠組みを決めるCOP15の開催される重要な年でもあります。人類史上に残る環境システム・京都議定書の意義を忘れず、未来を見据えて京都からこの京都議定書の意義をさらに発信していきたい、京都を訪れる人にも、京都議定書としてのぜひともこれを見ていただきたい、そういう思いで今回、世界で環境に著しい貢献をした方々の功績を顕彰いたしまして、あわせて、京都を訪れます各国首脳の環境に対するメッセージを展示する「環境の殿堂」を設立しまして、京都から世界に向けて発信をしていきたいというふうに考えているところであります。
今後、環境省等国の御支援もいただきながら、京都市、京都商工会議所、国立京都国際会館等の関係機関による推進委員会を設置いたしまして、選考基準や整備計画など具体的な検討を進めるため、今議会に所要の予算をお願いしておりますので、どうかよろしく御審議のほどお願い申し上げたいと思っております。
