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2008年11月13日|決算特別委員会 総括質疑 大野征次

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1 「京都府行政に係る基本的な計画の実施状況報告書」
  について
2 知事の権力の大きさについて
3 その他

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山口委員長
 次に、大野副委員長に発言を許可いたします。大野副委員長。


大野副委員長
 民主党議員団の大野征次でございます。田中委員に引き続きまして質問に入ります前に、一言申し上げたいと存じます。
 国の補助金をめぐる不適正経理について、また、中丹広域振興局を初めとして全庁に及ぶ裏金問題につきましては、書面審査において、各委員からの真剣かつ賢明な質疑がなされてまいりました。ただいまもその審議をされていたところでございますが、我が会派といたしましては、今回の問題に対しまして、まことに痛恨のきわみこの上もございません。一日も早く真相を解明されまして府民に開示されますとともに、信頼回復に向けまして、知事を先頭に職員一同のお取り組みを強く求めるものであります。
 私たち会派も一層精進いたしまして、府民の暮らしと幸せを守り、さらなる京都府の発展を願い、頑張る決意を申し上げ、質問に入ります。時間がございませんので一括で行いたいと存じます。
 初めに、平成20年9月「京都府行政に係る基本的な計画の実施状況報告書」からお伺いいたします。
 新京都府総合計画は、忘れかけていた人の「心」の大切さを見詰め直し、新しい豊かな関係を築くため170の指標を設け、平成13年1月の策定から、はや8カ年がたとうといたしております。知事は、これらの計画の実現を着実なものにするために、中期ビジョン、「人・間(にんげん)中心」の京都づくり5つのビジョンを、内外の情勢の変化を見据えて平成17年に取りまとめられ、実施を図ってこられました。その取り組みのもとで、新京都府総合計画の平均達成状況は、平成19年度末の速報値として85%であり、年度目標を超えるといたしております。これは、知事を先頭に職員の並々ならぬ努力・知恵・汗の結集であり、総力を合わせた結果と評価をいたしております。
 そこで、お伺いいたします。
 知事は、これまでの成果と課題について、どのようにお思いなのか、お聞かせください。
 また、計画書はともすれば、言葉の羅列でわかりにくい、いや、言葉遊びともとれるものが多くありますが、知事はこの計画の実施に当たって、一つの例といたしまして、例年年頭のあいさつで、決意として具体的な1カ年の取り組みを語ってこられました。そのことが府民や職員にどこまで具体化させることができるかが大切であると思いますが、実施に当たっての取り組みについて、どうだったのかお聞かせください。
 また、報告書の中身を細かく見ていきますと、着手だけで、何点かが進んでいない事柄がありますが、その原因や課題がどこにあるのかを明らかにして、残る2カ年にどのように取り組まれるお考えなのか、お聞かせください。
 次に、知事の権力の大きさにかかわる問題についてお伺いいたします。
 「ビジョンが全く感じられない」「機能を果たしていない」、平成20年8月26日からの新聞発表から始まり、品位にもとる表現で、「教育委員会のメンバーが、過度の競争が生まれるという理由で、発表しない」、9月7日。「各市町村教委の結果の公表・非公表を、重要な要素として予算査定をさせてもらう」、同じく、「猛反発しているのは教育委員会の事務局長。全部教員の代弁者なんですよ。そんなやつらに、公表、非公表の権限を渡していいのか」、9月10日。「府が取り組んでいくやり方に全く沿ってくださらないのなら、公金を預かる者として難しいものがある」、予算の配分で格差づけすることを示唆、9月19日。御承知のとおりでありますが、時間の都合で4点に絞っての大阪府知事の教育関係に対する発言であります。
 大阪府での全国学力テストをめぐっての問題でありますが、この間を見てみますと、教育委員については、それぞれの議会において承認された方々であること、市町村において、課題を抱えながらも子どもたちのために懸命に取り組んでこられております。それに、過激な発言と強権的な手法、おどしともとれる「予算の配分で格差をつける」と予算権を盾に圧力をかけようとしている手法は、いかがなものかと思いました。経過の中で、市町村教委を推挙してきた議会からも声が上がらない。どうしたことか、そのことに危惧を覚えるものであります。
 このおどしともとれる強権的な手法、権力の大きさに対して、知事に従い学力テストを開示する市町村が続出いたしました。開示されたことについて、教育評論家・尾木直樹法政大教授は、京都新聞で「予算をちらつかせた強権的な教育への政治介入で、完全なルール違反だ。物議を醸す発言でテレビ視聴者の心をつかみ、進めていく劇場型の政治手法は危険。市町村を競わせるのがねらいと思うが、各学校でテスト対策の学習が横行するだけで、学力向上にはつながらない。新たな差別と偏見を生むだけだ。競争原理を持ち込むのは知事の自己体験に基づくものと思うが、もう少し視野を広げるべきだ」と語られております。まさに、そのとおりだと思います。
 そこで、お伺いいたします。
 山田知事は、10月17日の定例記者会見にて、「全国学力テスト成績公開前向き」とも受け取れる発言をされておりますが、その真意について、まさか大阪的ではないと思いますが、お聞かせください。
 また、今回の大阪における問題について、批判ではなく、地方分権、地方主権、地方政府を目指しておられます山田知事のお考えをお聞かせください。
 続きまして、私はある論文に出会いました。それは、京都大学大学院教授・佐伯啓思氏の論文、「新自由主義の考え方には『社会』の存在が欠けています」と題してのものであります。「社会」とは、そこで人々が交わり、生活を行い、一定の価値観を涵養する場所であり、さまざまな活動の土台を与えるものである。一人の人間が一人前の経済人になるには、それなりの教育、文化、マスメディアや情報なども含めて、家族、組織、そして医療や福祉などによる「支え」が必要なのである。「社会」はそれを提供する。「社会」は、競争による落伍者を「救済」する場ではなく、人々の健全な競争を「支える」ものなのである。「市場経済」は、このような確固とした「社会」に支えられていなければならない。ところが、過度の市場競争は、本来は「社会」の安定性を構成しているはずの組織や地域を破壊し、さらには、福祉や医療、教育、生活の基本である食糧や資源エネルギーにまで市場競争の原理を持ち込み、それらを混乱に陥れる。こうして、過剰な市場競争は「社会」を破壊しかねない。そして、その結果として、逆に市場経済そのものが極めて不安定化するわけである、という論文の一説であります。
 前後がわからないので理解しがたいかもしれませんが、昨年12月、私は代表質問で市場原理主義について述べましたが、心配しておりますことは、大阪府知事は、地方分権の推進を声高に標榜されながら、一方で強権的な過激な発言は、まさに市場原理主義に基づく競争原理主義そのものを導入されようとしていると思えてなりません。
 今回の開示は、大げさに申しますと、市町村間に「いい地域」「だめな地域」といった風評が生じるとともに、地域間格差が生じ、社会の破壊につながりかねないと思いますが、山田知事のお考えをお聞かせください。
 私は、思い過ごしかもしれませんが、教育現場、医療現場、福祉現場に市場原理主義に基づく競争原理主義が持ち込まれると、大変なことになると考えるものであります。よろしくお願いいたします。


山口委員長
 山田知事。


山田知事
 大野副委員長の御質問にお答えいたします。
 冒頭いただきました御指摘につきましては、本当に重大に受けとめまして、再発防止、そして信頼回復のために全力を挙げてまいりたいと考えております。
 まず、府政推進のこれまでの成果と課題についてでありますが、副委員長御指摘のとおり、「新府総」の進捗状況に関しましては、全体的に見てここまでおおむね順調に進んできておりまして、「中期ビジョン」に関しましても、策定3年目ですべての施策や取り組みに着手し、5つの分野とも7割前後が推進中であり、私は全体としては何とかうまくいっているなあという感じを持っております。
 しかしながら、もともと新府総のように10年間という長期に及ぶ計画では、目標の立て方が平板になりやすいこともありますし、この大きな社会変動の時代にあって、府政運営の指針となる総合的な計画としての役割をこれからも確実に果たしていけるかどうか、これはなかなか難しい問題があるのではないかなというふうに感じております。こうした問題点を補うためにも、副委員長御指摘のとおり、計画につきまして、府民・職員と共有化しながら具体化していくプラン(Plan)・ドゥー(Do)・チェック(Check)・アクション(Action)というPDCAサイクルをつくっていくことが、私は何よりも重要ではないかなというふうに思っております。
 このため、幅広い分野にわたっている新府総の後半の重点目標として中期ビジョンを策定して、施策の具体化と重点化を図りますとともに、社会環境の変化の中で施策推進上の課題が生じている問題につきましては、積極的に議会の御意見を伺い、府民協働により進めていくため、アクションプランを作成し検討することとしたところであります。
 その上で、まず、私みずから毎年年頭あいさつで、その年の取り組みに対する目標や決意を、職員の皆様にできる限りわかりやすく説明させていただきますとともに、年度当初に各部局に運営の目標を作成していただきまして、具体的な数値目標を設定することにしております。今年度は、756の運営目標の約7割に、ですから500を超える数値目標を設定いたしまして、それを中間段階と年度末に達成状況を公表するなど、情報開示と職員への浸透に努めているところであります。
 なお、副委員長御指摘のとおり、中期ビジョンにおきましても、平成19年度末時点でまだ着手段階のものがございますけれども、この中には、関係機関との調整を要する、京都府だけではできないとか、主体は他の機関であるというようなものも含まれておりまして、相手方の事情もあり一概に京都府だけで強引に進めていくことはできないという観点の中で、少しおくれているものがございます。こうしたものにつきましては、引き続き協議を行いつつ、残りの2年間で着実に推進をしてまいりたいと考えております。
 次に、知事の権力、全国学力テスト成績の公開問題についてでありますが、これは私の考え方を申さなければなりませんけれども、学力向上など学校教育に対して一番関心を持っているのは、私は、やはり子どもの保護者ではないかなというふうに思います。まさに、自分の子どもに対して一番責任を持っているのは保護者であると思っておりまして、これからの学校教育は、より学校と保護者が情報を共有して教育の充実に努めていくことが必要であるというふうに思っております。
 こうした観点から申しますと、学力テストの情報が市町村や学校だけのものになってはいけないというふうに思っております。ただ、この場合、単純に公開するか否かが大事なのではなくて、何よりも大切なことは、学力テストの結果を子どもたちの教育や学力向上にどのように役立てるかということでありまして、そのためには、単に平均正答率を出すというのではなくて、学力テストの結果を十分に分析し、学力を伸ばし、学びの場をどう整えるかといった対策を含めて保護者と情報をきちっと共有していくということが、私は一番重要なのではないかなということを、実は申し上げてきたところであります。
 そして、その任に当たるのは、やはり学校の現場や市町村の教育委員会であり、これを広域的立場から支援することが府教育委員会の基本的な役割でありまして、そうした立場から、京都府としても、子どもたちの学力向上とたくましい成長につながるように積極的に支援をすることが、地方分権、地方自治という観点から私は望ましいというふうに考えているところであります。
 次に、市場原理主義による風評、地域間格差についてでありますけれども、地方自治の原点というのは、私は、この間の地方分権の一番少し問題だなというのは、団体自治の強化に問題点が偏ってしまっている。それが逆に、例えば国と都道府県とか、都道府県と市町村の権限争いのように受けとめられている点があるというふうに思っております。私は、やはり地方自治の原点は住民自治であり、その中で住民自治で選ばれた者がその責任を自分の責任としてしっかり果たしていくことが大切であるというふうに考えておりますが、住民の皆さんが情報を知らないといったことがありますと、これは住民自治にとって一番大きな問題になるというふうに思っておりまして、いつも自戒しなければならないというふうに思っております。
 そして、そうした住民自治の原点に立って、情報を管理する者は、副委員長御指摘のとおり、地域への偏見や誤解など、さまざまな問題が生じないように十分懸念をしてその任に当たるべきでありまして、私は、そういう中で信念を持って対処していくべき問題ではないかなというふうに考えております。


山口委員長
 大野副委員長。


大野副委員長
 ありがとうございます。知事のお心をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。
 特に、新京都府総合計画では、人と人、人と地域がしっかりと支え合い、「心」の大切さを基本とされておりますけれども、今日の社会は、あらゆる部門におきまして格差が大きくなってきております。また、あらゆる部門、あらゆるところにおいて、市場原理主義に基づく競争原理主義が激しさを増し、「人間関係」が築けなくなってきているとも思われます。知事が申されております「人・間(にんげん)中心」の京都づくりは、まさに私たちに求められる重要な課題であり基本であると思います。一層のお取り組みを願いたいと存ずるわけでございます。
 そして、今申されましたおくれている関係の問題につきましては、関係機関との調整をしっかりと汗を流していただいて、一日も早く遂行できますように強く求めたいと存じます。
 また、教育問題におきましては、児童生徒一人一人の学力や学習状況を把握・分析して、学力改善方策を打ち出すことと感じました。まさにそのとおりであり、児童が発達段階において、何を、どこでつまづき、落ちこぼされてきたかを的確に学校や教師が認識し、理解した上で家庭に開示をし、ともに児童生徒の学力の保障につなげていかなければならないと私は考えております。このことを強く求めるものであります。
 子どもは京都府の将来を担う大切な宝であります。教育は、児童生徒が将来にわたってたくましく生き抜く上でのセーフティネットの役割を担っていると考えるものであります。やたら経済の市場原理主義を教育に適用することこそ大変危険であり、教育の破壊につながると考えます。強く知事並びに教育委員会に要望をいたしておきます。
 加えて、去る7日、厚生労働省の発表によりますと、就業形態についての実態調査では、労働者に占める非正規社員の割合は37.8%となり、2003年の調査から3.2%上昇したといたしております。今日、アメリカのサブプライムローン問題に端を発し金融危機が進む中で、不況が一段と深刻化してまいりました。田中委員が提案をいたしましたように、大変な状況になりつつあるということを認識しながら、ぜひとも不況克服、雇用の安定・確保に向けて施策の構築を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。