議長(家元丈夫君)
次に、中小路健吾君に発言を許します。
中小路健吾君。
〔中小路健吾君登壇〕(拍手)
中小路健吾君
民主党議員団の中小路健吾でございます。私は会派を代表して、さきに通告しております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問をいたします。
最初に、現在まさに議論が行われております地方分権改革に関しまして数点お伺いいたします。
地方分権改革をめぐっては、これまでから知事もさまざまな場面やチャンネルを通じて発言をされております。ぜひとも積極的な御答弁をよろしくお願い申し上げます。
先般、政府の地方分権改革推進委員会の第1次勧告が提出されました。この中では、団体自治の拡充と住民自治の実質的な確立による「地方政府」の実現を理念とし、「身近な行政はより身近な地方自治体が担う」という、いわゆる「補完性・近接性の原理」に立った上で、幼保一元化や教育、医療、生活保護などの「くらしづくり分野」、都市計画や農地などの土地利用、道路や河川の管理といった「まちづくり分野」において、国から地方への権限移譲に関しての勧告がなされています。また、市町村への具体的な事務権限の移譲や補助対象財産の処分の弾力化など、基礎自治体への権限移譲に関しても提案がなされています。
〔議長退席、副議長着席〕
私自身は、今回の勧告について、昨年11月に発表された「中間的な取りまとめ」でなされている問題提起に対する回答としては、いささかトーンダウンした感が否めないと思っています。とりわけ、いわゆる「上書き権」を含む条例制定権の拡大など法制面での見直しについては、期待をしていた分、今回の勧告で具体的に踏み込まれていない点は残念な気がいたします。
もちろん、今回の勧告は、来年度中の立法作業を目指した、まさに文字どおり「第1次」の勧告であるわけで、今後、国の出先機関の見直しや税財政構造の再構築など、より難しい課題に踏み込みつつ、さらなる分権の進展とその実効性の担保を期待するところではありますが、政府の地方分権改革推進本部が6月20日に決定した「改革推進要綱」を見ている限り、心もとないと言わざるを得ません。
そこで、まず、この第1次勧告における「分権」の内容に関して、知事の率直な評価、御所見をお伺いいたします。
さて、今回の勧告に関して、都道府県という観点からすると、国からの権限移譲を受ける立場でもあり、同時に、基礎自治体である市町村に対して権限を移譲する立場でもあります。今回の勧告では、基礎自治体への権限移譲については、64の法律、359の事務権限を都道府県から市町村へ移譲するよう勧告しています。
そこで、次に、本府における市町村への権限移譲に対する考え方についてお聞きします。
本府においては、昨年10月に「京都府分権型行政推進本部」が設置されました。この中では、諸課題ごとに行政経営品質や人材育成交流など特命担当チームによって検討がなされており、市町村への権限移譲についても権限移譲・事業共同化チームにおいて議論されてきたとお聞きしております。
そこで、まず、市町村への権限移譲など、現在の検討状況、検討結果はどうなっているのでしょうか。とりわけ、条例による事務処理特例制度を活用した京都府独自の権限移譲のあり方について知事の御所見をお伺いします。
次に、こうした市町村への権限移譲を図るに際して、今回の勧告では、基礎自治体の中でも、市と町村を明確に区分しています。本府においても、市町村合併が進むなど状況は変化しつつありますが、実際に権限移譲を図っていく上では、市と町村を一律に進めていくことが難しい側面もあろうかと存じますが、知事の御所見をお伺いします。
さらに、こうした「京都府分権型行政推進本部」の今後のあり方について、政府の地方分権改革推進委員会での議論が第2次、第3次勧告と続いていく中で、本府における分権議論の進め方についてはどのようにお考えでしょうか。特に、市町村との連携をさらに進めていく必要があろうかと存じますが、いかがでしょうか。御答弁をよろしくお願いします。
さて、こうした第2次分権改革の議論と並行して進められているのが道州制などに代表される広域行政のあり方をめぐる議論です。
そこで、今後の広域行政のあり方、とりわけ、現在本府においても議論が進められつつある「関西広域連合」のあり方について、知事の御所見をお伺いしたいと存じます。
まず、道州制についてであります。
国においては、道州制に関して、政府の道州制ビジョン懇談会の中間報告が提出されました。また、経団連も「道州制の導入に向けた第2次提言?中間とりまとめ?」を発表するなど、提言が相次いでいます。
私は、こうした国での道州制の議論に関して、若干の懸念と疑問を持っています。例えば、道州制ビジョン懇談会の中間報告では、問題意識や理念についてはうなずける部分もありますが、実際に道州が果たすべき役割になると、「広域の公共事業」や「科学技術・学術文化の振興、対外文化交流、高等教育」など、「なぜ広域的な道州でなければいけないのか」「現行の都道府県制度をベースとした広域連携ではなぜいけないのか」など道州制導入に向けた積極的な理由が不明確なもの、「市町村間の財政格差の調整」など道州制のように広域化をすれば、むしろ問題が悪化することも想定されるようなものなどが含まれた内容となっています。
経団連の中間とりまとめにしても、道州制の導入によって「子育て支援、人材育成策が充実する」とか、「地域医療・介護の体制充実が図られる」とされているのは、極めて楽観的な議論ですし、いささか論理的に飛躍しているようにも感じます。
また、これまでから知事が批判されているように、区割り論や組織・制度論などが先行している感も否めませんし、「道州がどんな行政分野を担うのか」という議論はあるものの、道州制の導入によって「国と地方の財政制度はどうなるのか」「そのことによって税の使われ方はどのように変化するのか」「受益と負担との関係はどうなるのか」といった議論については、ほとんど踏み込まれていません。
そこで、まず、こうした国での道州制の議論について、知事の御所見をお伺いいたします。
ところで、現在、関西においては、2府7県4政令市と7経済団体等をメンバーとした、関西広域機構が昨年7月に設立をされ、「関西広域連合(仮称)」の実現に向けて議論が進められています。
私は、ここでの議論は国レベルで行われている道州制の議論とは一定の距離を置いた上で進められていると考えていますし、知事がこれまでから主張されてきたように、区割りや組織といった「かたち」中心の議論ではなく、住民ニーズを出発点とした行政のあり方を実現していくためのアプローチであると考えています。
そこで、知事は、関西広域連合を通じて、どのような課題を克服し、何を実現しようとされているのでしょうか、御所見をお伺いします。
先般3月に示された「第1次骨格案」においては、広域連合は、広域連合で処理することにより1)行政効果の向上が期待できる事務、2)業務の効率的な執行が期待できる事務、3)国からの権限移譲を受けて実施する事務について、広域計画の策定と連絡調整及び直接実施する事務を行うとされており、設立当初の第1フェーズでは、現行制度の範囲内で実施可能な事務または制度改正に長期間を要しない事務として「広域防災」「広域観光・文化振興」「広域産業・科学技術振興」及び「資格試験・免許等」の事務を行うと例示されています。そこで、もう少し具体的な内容として、関西広域連合が設立されれば、何が、どのように変わるのかをお示しいただきたいと存じます。
また、「広域連合議会」や参加自治体の長で構成する「広域連合委員会」など組織のあり方、財源については参加する自治体ごとの分賦金を充てることなども示されています。
こうした骨格案に基づいて、7月に開催を予定されています第3回分権改革推進本部において基本合意をしようとされているとお聞きしていますが、現状、こうした骨格案の検討状況はどのようになっているのか、お聞かせください。
副議長(北岡千はる君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
知事(山田啓二君)
中小路議員の御質問にお答えいたします。
地方分権改革についてでありますが、今回の第1次勧告は、これまで手がつけられてこなかった道路や河川などの国の基幹施設に関する権限移譲を盛り込むなど、一定のメニューを示したことは、私は大きな前進ではないかなというふうに受けとめております。しかし、権限移譲には財源と人とが伴わなければ、これは単なる地方への負担転嫁に終わる可能性もありますだけに、私は、そうしたものの移譲が不可欠であり、本格的な「分権」についての具体的な協議はこれから始まる、スタートラインに立ったと考えるべきではないかなというふうに思っております。
今後の抜本的な国の出先機関の廃止・縮小や税財源移譲という、2次、3次勧告に向けての、いわば第一段階に入ったということでありまして、その段階で余り評価をしてということよりも、こうしたものを的確に進めていくことが必要ではないかなというふうに思っております。
また、今回の勧告では、主として市に対してではありますけれども、都道府県から市町村への権限移譲については、大きな部分を割いております。まさに都道府県に対しましても分権の推進を求めているわけでありまして、この勧告を進めていくためにも、京都府としましても、市町村に対して積極的な権限移譲を考えていくことが必要であります。
もともと、身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体で行うというのが地方分権の理念でありますので、京都府は、第1次分権改革でも279項目の権限を市町村に移譲してまいりました。ただ、その一方で、福祉・介護などの市町村事務が大幅にふえる中で、各市町村からは、これ以上の権限移譲はなかなかもう難しいという声も出てきたのは事実であります。こうした意見を踏まえて、府といたしましては、市町村による自主的な合併の取り組みを支援いたしますとともに、情報システムの共同開発や税業務の共同化、相楽東部3町村の広域業務連携の支援などを通じて、小規模な市町村でも住民ニーズに対応した行政サービスが行える条件の整備に努力をしてきたところであります。
また、府の地方機関の再編にあわせて、府民により身近な広域振興局に1,300近い権限を委譲し、そうした中で市町村との協力を深めてまいりました。
今回、第2期地方分権改革を推進するために、私どもは昨年10月に「京都府分権型行政推進本部」を設置しまして、その中に「権限移譲・事業共同化チーム」を設けましたのも、まさにそうした考えからであります。
今後、第1次勧告を踏まえ、さらに市町村に対する権限移譲を進めるためには、こうしたこの間の経緯を踏まえ、勧告のように市に対する一律・画一的な権限移譲にとどまらず、基礎的自治体である市町村を支える府として、市町村の自主的なまちづくりを進める観点から、各市町村の立場に応じた進め方をしていきたいというふうに考えておりまして、そのために、6月19日に、私と市長会会長、町村会長とで協議を行い、「第1次勧告に関する京都府・市町村権限移譲推進会議」を設置いたしました。
これからは、テーマ別の作業部会を設けまして、勧告に盛り込まれた権限が市町村で効果的に発揮できるように、国の法整備を待たずに、可能なものから段階的に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
今後、分権論議は国の出先機関の廃止・縮小や税財源の移譲へと関心が移っていくことになるというふうに思いますけれども、これは同時に、道州制議論など都道府県のあり方についても見通しながら議論を進めていくことが求められているというふうに思います。しかし、いずれの場合におきましても、住民に最も近い市町村の行財政能力の強化は、その前提となるものでありますので、住民自治の力を強化する地域力の再生とあわせ、府民の視点に立った地方分権改革を目指してまいりたいと考えております。
次に、今後の広域行政のあり方についてでありますが、市町村合併の進展に伴いまして、京都府におきましても、44あった市町村が26市町村に再編されるなど市町村の広域化が進む一方、例えば、救急医療において府県をまたがってたらい回しが起きたり、産業廃棄物の都道府県をまたぐ処理が問題になったり、さらには防災・交通など、都道府県域を越えた広域的な対応が求められる課題がふえてきております。
関西では、このほか、琵琶湖淀川水系の管理の問題、3空港の統合運用などの問題も生じておりまして、こうした課題に対して、現在の都道府県で効果的な対応がなかなか難しいという面が、正直出てきているのも事実であります。
地方分権の観点からは、私は、これから国に対してもしっかりとその存在を主張できる、よりパワフルな広域団体というものについて活発な議論がなされるべきであるという立場から道州制の議論についても臨んでいきたいというふうに考えておりますが、今の国の議論は、国全体を大きく地方分権型に変えるというよりは、都道府県をひっつけてどうするというような区割り論とか組織論が先行している点には、私は少々疑問を感じる場合があるというのは御指摘のとおりであります。
特にこの間、国が財政問題に絞って地方対策を講じてきておりますので、そういった背景を考えますと、やはりそれよりも、道州制によって地域住民にどのようなメリット・デメリットがあるのかをしっかりと示しながら議論を進めていくことが必要ではないかなというふうに考えております。
このため、関西では府県域を越える広域行政に対する具体的なニーズを踏まえながら住民視点に立って、実際のメリット・デメリットを勘案しながら対応していく、そういう考えで「関西広域連合」の設置について今検討を進めているところであります。
私は、広域連合で、当初処理する事務としては、広域救急医療のためのドクターヘリの共同管理・運航や、各府県で別々に行っている資格試験や免許事務の共同化など、住民の安心・安全の観点から効果性の高い事務や、共同化により効率化が図られる事務を中心に据え、同時に、将来国からの権限移譲についても関西が一体となって積極的に提案できるような、そういう組織構成が望ましいのではないかなというふうに考えております。
現在、こうした視点から、去る3月27日の関西広域機構の地方分権改革推進本部会議において提示された「第1次骨格案」をベースに、住民の皆様にとってのメリットある事務や、私は組織体制はできるだけ簡素であるべきだというふうに思っているんですけれども、そうした検討を進めておりまして、今議会において、その状況もお示しさせていただきたいと考えておりまして、今後とも、議会に十分に御報告・御相談をしながら取り組みを進めてまいりたいと考えております。
副議長(北岡千はる君)
中小路健吾さん。
〔中小路健吾君登壇〕
中小路健吾君
御答弁ありがとうございました。関西広域連合につきましては、今、すごいスピードで議論は進んでいるんだというふうに思っています。その上で、一つ懸念するとすれば、今のいろんな自治体、都道府県、市町村がある中で、やっぱり屋上屋になってはいかんような気がしています。そのためには、やはり前提として、一つは国からの権限移譲がどれだけ進むのかということと、もう一つは、具体的にその組織が何に対して取り組みをしていくのかということが、やっぱり具体的に見えてこないといけないのかなというふうに思っています。その意味では、今、知事から御答弁をいただきました資格試験ですとか、あるいは河川の問題、それからドクターヘリ、こういうものが、もう少し、それぞれどういう費用負担でどういうふうに進んでいくのかというのが見えてくれば、やはりこうした関西広域連合というものの意味合いというのがもっと明確になってくるのではないかなというふうに思いますので、このあたりにつきましては、これからまた委員会等でも会派としてしっかりと議論をしてまいりたいなというふうに思います。
それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。
次に、ドメスティック・バイオレンス対策についてお伺いいたします。
本府におけるDV対策については、平成13年の「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」、いわゆるDV防止法の施行以来、配偶者暴力相談支援センターの設置や男女共同参画センター、警察を中心に関係機関が連携する中で、普及・啓発、そして各種施策の推進に努めてきていただきました。
また、平成18年3月には、DV防止法及び京都府男女共同参画推進条例に基づく「配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護・自立支援に関する計画」が策定をされました。この計画においては、相談しやすい体制づくりや早期発見への環境整備、緊急保護の充実や同伴児童等への支援策など、相談・保護体制の総合化、自立のための継続的な支援や関係諸機関の連携、民間支援団体との連携など、さまざまな取り組みが示されており、平成18年度、19年度、本年度の3カ年計画で施策が展開されています。
そこで、計画の最終年度となる現在、総括の意味も込めて計画の進捗状況、評価、現状有する課題など、本府ではどのように認識をされているのか、御所見をお伺いしたく存じます。
あわせて、見直しに際してのスケジュールや進め方についてもお伺いいたします。
DV防止法の施行によるアナウンスメント効果もあり、本府においても、全国的な傾向と同様、平成13年度以降、配偶者暴力相談支援センターや男女共同参画センターに対する相談件数は急激にふえましたが、平成16年度、17年度あたりを境に、一定、相談件数の伸びも落ちついてきていると言えます。その意味で、DVに対する社会的認知も、いまだ不十分ではあるものの、徐々に浸透しつつあるのではないでしょうか。
しかし一方で、デートDVと呼ばれるように、従来の婚姻関係にあるものや、それに近い男女関係間でのDVにとどまらず、中学生や高校生、大学生などを含む若い男女間での恋愛関係の中で起こる暴力や人権侵害など、対応すべき新たな課題も指摘されつつあります。こうした状況もかんがみたとき、新たなDV対策の計画策定に当たり、より幅広い実態調査が必要ではないかと思います。
とりわけ、本府における地理的な特性を考慮しても、京都市内部や南部と北部では、被害の実態にもかなりの差があるように思われます。現在、市町村では、京都市や綾部市において、こうした調査が行われているとお聞きしています。そこで、こうした市町村と連携しつつ、まずは対応すべき課題の実態を本府としてしっかり把握するための調査が必要であろうかと存じますが、いかがでしょうか。
また、今回の計画改定に当たっては、より計画の実効性を高めるために、しっかりと数値目標や取り組む施策の具体化を示していくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いします。
次に、障害者雇用についてお伺いいたします。
障害者雇用の促進に関しては、昨年12月に「京都府障害者就労支援プラン」が策定されました。また、本年度当初予算においても、府民生活を守る4つの緊急対策の一つとして取り組むなど、本府においても重要施策として積極的に取り組んでいただいているところです。
しかしながら、平成19年6月1日現在、本府における障害者雇用率は1.71%であり、前年比プラス0.07ポイント上昇、全国平均の1.55%は上回っているものの、残念ながら、法定雇用率1.8%は達成できていません。また、常用雇用56人以上の雇用率対象民間企業数1,397社中、法定雇用率を達成できている企業は全体の45.7%、639社であり、半分を割り込んでいます。さらには、京都労働局のデータによると、現在、府内で雇用されている障害者数が雇用率の対象ではない56名未満の企業も含めると、およそ6,700名であるのに対し、府内のハローワークでは、およそ6,000名の方が就労を希望されているという状況にもあります。
こうした現状をかんがみますと、障害者の自立ということがうたわれている一方で、障害者の雇用に関しては、いまだ厳しい状況であり、障害者の雇用の受け皿をさらに拡大すること、とりわけ民間企業での一般就労先を創出することが大変大きな課題となります。
私は以前、平成16年2月定例会の一般質問で、こうした民間での就労先確保のため「特例子会社制度」の積極的な活用を提案いたしました。
特例子会社制度は、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たし、ハローワークの認定を受けた場合には、その子会社で雇用されている障害者を親会社に雇用されているとみなされる制度であり、事業者にとっては、「障害者を受け入れるための設備投資を重点的にできる」「親会社と異なる勤務条件の設定など弾力的な運用が可能になる」などのメリットがあります。
最近では、全国的にもこうした「特例子会社制度」の活用が進んでおり、平成20年3月末現在で、233社が設立されているとのことです。また、特例子会社が扱う事業領域も、これまで清掃や印刷が中心であったのが、飲食業や農業といった領域にまで広がり、多様化しつつあります。
そこで、まず、本府における特例子会社制度の現在の活用状況はどのようになっているでしょうか。
さて、こうした民間企業での障害者雇用率を企業別で見てみますと、平成19年6月1日付の数字で、従業員56人から99人で1.84%、100人から299人で1.57%、300人から499人で1.72%、500人から999人で1.56%、1,000人以上で1.81%となっており、中規模企業での雇用率が低い状況にあります。
その要因は、障害者を雇用するということに対する情報不足や理解不足、障害者雇用納付金制度の適用が常用労働者301人以上となっている点など、さまざまあろうかとは存じますが、中小企業単独では障害者が就労できる環境を整備するための投資負担が大きいこと、大企業ほど業務分野が広くなく障害者を受け入れることが可能な業務が限られていること、就労後のフォロー体制などに対する負担感が大きいことなどが考えられます。その結果、社会的な障害者雇用の必要性は理解しながらも、なかなか具体的な雇用にまで進まない企業もあるのではないでしょうか。
そこで、こうした中小企業の負担感を分散させる意味で、企業等が共同出資で特例子会社を設立できるよう、国に対して働きかけてはどうかと提案をしてきたところですが、その後の動きはどうなっているでしょうか。御所見をお伺いいたします。
最後に、本府の外郭団体でもある「社団法人京都府森と緑の公社」についてお伺いします。
京都府森と緑の公社は、昭和42年、京都府、府内市町村、京都府森林組合連合会の出資によって分収林特別措置法に基づく分収造林事業や森林の経営・施業の受託に関する事業などを行うことを目的として設立されました。
こうした分収造林事業を行う公社は、高度経済成長に伴う木材需要の急激な増加に対応するため、国が主導する中で全国各地に設立され、植栽が進めてこられましたが、現在、その多くの公社が経営に行き詰まっています。
行き詰まりの背景には、分収造林事業そのものが、土地所有者と公社が契約を結び、公社が木を育て、伐採時に収益を分け合うというものであり、事業スタート時から実際に収益を上げるまで50年から80年と非常に長期にわたる上、その間の費用を借り入れで賄うという事業構造上の問題や、外国産材の輸入自由化に伴う木材価格の下落、労務費の高騰や高い維持管理コストなど事業見通しと運営そのものの甘さなどがあります。
森林整備法人全国協議会の調べによりますと、2006年度現在で、全国の37都府県が出資する林業公社40社の累積債務は約1兆2,659億円にも上るとのことです。
また、岩手県や大分県では、公社を解散し、県が債務と事業を引き受けたり、岡山県では無利子貸し付けによって債務を繰り上げ償還させるなど、累積債務の解消に向けた動きも出てきておりますし、滋賀県では、県造林公社とびわ湖造林公社の2公社が、合わせておよそ1,000億円の債務に対して、農林漁業金融公庫や関連自治体に債権放棄するよう特定調停の申し立てを行っていましたが、去る6月23日に、両公社、県、公庫の間で、元金444億円と利息235億円、遅延損害金11億円など、合わせて約690億円を42年の長期分割返済するという合意がなされたとの新聞報道があったところです。
こうした状況の中、本府の森と緑の公社においても、その将来的な見通しは楽観できるものではありません。
平成19年度現在、契約済みの造林面積は4,715ヘクタールとなっており、平成16年度以降、新規契約は中止されてはいます。しかし、既に借入残高は農林漁業金融公庫、その他金融機関、京都府、合わせておよそ211億円に上り、実際の造林事業自体に係るコスト以上に利子負担が経営を圧迫し、今後、政府系金融機関の状況や市場における長期金利の動向など、さらなる懸念材料も有しています。
v また、06年度決算では、バランスシート上、正味財産は1,300万円程度の黒字とはなっているものの、資産として計上されている植林の価値は取得時のものであり、現在の市場価値に置きかえた場合、債務超過に陥っている可能性も十分に考えられます。
「平成21年度政府予算に関する提案・要望」の中においては、公社の今後について、毎年度の金利負担・維持管理費にかかる5から10億円の費用をすべて借り入れによって対応した場合、借入残高は、平成76年には636億円まで増加する一方、木材の販売から得られる収入見込みは約132億円であり、およそ504億円の債務だけが残るという見通しも出されておりますが、これも、今後の金利動向や木材の価格動向次第では、甘い見通しになることも懸念されます。
そこで、まず、こうした公社の経営状況について、再度、御認識をお聞きすると同時に、公社の経営改善に向けた取り組み状況はどのようになっているのかをお伺いいたします。
さて、こうした森と緑の公社のような造林公社が行う分収造林事業について、戦後の森林・林業政策の中では、森林整備の推進と森林資源の活用、さらには地域における産業振興・雇用創出など一定の役割を果たしてきたという評価がある一方、地域での林業経営における公社への依存体質を生み出し、自助努力・経営努力を阻害してきたのではないかという指摘もあります。
そこで、公社がこれまで果たしてきた役割について、プラス・マイナス両面にわたり、どのように総括をされるのか、知事の御所見をお伺いします。
最後に、公社のあり方についてお伺いします。
今後の分収造林事業のあり方については、既存の契約について、生育状況や林道との位置関係など施業環境を考慮した上で収益が見込まれる「経済林」については、契約方法等の変更も念頭に木材生産の場として残していく一方で、収益が見込まれない「環境林」のうち、里山に近い「環境林」については、より幅広い府民参画によって森林保全を図っていこうとする考え方があります。
こうした考え方は、これまでから知事も積極的に進めてこられました、モデルフォレスト運動とのかかわりを抜きにしては考えられないのではないでしょうか。
本府においては、こうしたモデルフォレスト運動の推進母体として、社団法人京都モデルフォレスト協会が平成18年11月、森林から恵みを受けるすべての府民の参画と協働により、府民共有の財産である森林を守り、育てるための取り組みを行うことを目的として設立されました。
そこで、今後のあり方も含めて、森と緑の公社とモデルフォレスト協会、それぞれの役割、機能分担等その関係についてはどのようにお考えでしょうか、知事の御所見をお伺いします。
時間がなくなりました。以上で私の質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。
(拍手)
副議長(北岡千はる君)
山田知事。
〔知事山田啓二君登壇〕
知事(山田啓二君)
ドメスティック・バイオレンス対策についてでありますけれども、DVは家庭内の問題という範囲を超えて、もう犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害でありまして、DVを防止し、暴力を許さない社会の実現を目指すことは、安心・安全の京都府づくりの上におきましても大変重要な課題として、平成18年3月、「配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護・自立支援に関する計画」を策定いたしました。この計画に基づき、啓発、相談、支援という観点から対策を進め、DVをなくすための機関を設け、府内各地域における「DVを考えるつどい」の開催や、啓発カードのスーパー、病院などへの設置、被害者へのきめ細かな相談と緊急一時保護の実施、自立のための府営住宅への優先入居や就業支援の実施などに取り組んでまいりました。
DV相談は、ここ二、三年は横ばい傾向にあり、南部を中心とした民間支援団体の活動が非常に活発でありますし、また一時保護を経て生活の場を設定する被害者も4割に達するなど、一定の成果を上げてきたと思います。
今後、北部地域における相談支援体制の確立や、さらには被害者の長期的な自立支援など、まだ残された課題につきまして積極的に取り組みますとともに、最近、テレビドラマでも話題になっておりましたけれども、デートDVなど新たな課題についても対処していく必要があると考えておりますが、何よりもDVの背景には、男女の置かれてきた社会的・構造的な問題も絡み合っているというふうに思っておりますので、今回の計画改定に当たりましては、より総合的な体制整備というものが必要ではないかなというふうに考えております。
このため、被害当事者や支援団体等から生の意見をお伺いし、府民に対してアンケート調査を実施いたしますとともに、こうした調査結果なども踏まえまして、家庭支援総合センターの整備など、DVなど家庭にかかわる事案のワンストップ体制の強化、市町村等相談体制の強化やシェルター機能の地域的拡充、被害者同士によるグループワークなどの心理的ケアを含めた長期的な自立支援の拡充、大学等と連携した若年層への教育・啓発などの施策とともに、被害者によります自立のための自助グループ設置などにつきまして、具体的な数値目標を盛り込んだ計画を今年度内に策定するため、学識経験者や支援団体、行政機関等から成ります検討委員会を立ち上げていきたいというふうに考えております。
次に、障害者雇用についてでありますけれども、ノーマライゼーションの理念のもと、障害のある人、一人一人が自分の希望に応じた就労の場を選択できる社会づくりは、私は大きな目標であるというふうに考えております。
京都府内の民間企業の障害者雇用率は、平成19年6月1日現在で1.71%でありまして、全国平均は大きく上回り、過去最高水準とはなっておりますものの、まだ法定雇用率には達しておりませんし、雇用率達成企業の割合も半分以下にとどまっております。
このうち、御指摘のように大企業の雇用率は1.81%でありますけれども、特に100人から300人規模の中小企業が、低いのが現実であります。加えて、これからの景気の先行き不透明感が増す中、社会的に弱い立場にある人々に対するしわ寄せが来ることも予想されまして、障害のある方の雇用環境は、私は、より懸念をしなければいけないのではないかなというふうに考えております。
こうした中、「特例子会社制度」は、議員御指摘のとおり効果的な雇用を進める上で有効な手段でありますので、これまでから関係機関とも連携し、制度の周知に努めてまいりました。
昭和61年度以降、1社しかなかったんですけれども、昨年度相次いで2社が設立されたのを見まして、ようやく3社体制になったところであります。今後とも、府内の有力企業に対して、特例子会社制度の導入を初め、障害者雇用の取り組みを積極的に進めていただくよう働きかけてまいりたいというふうに思っております。
また、中小企業におきましても、複数の事業主の企業グループや同業種の中小事業主が活用できる新しい特例子会社制度の導入に向けて、これまでから国に対して要望してまいりました。現在、国におきましては、要望の趣旨が盛り込まれました障害者雇用促進法の改正法案が継続審議中になっているところでありまして、今後とも、制度導入に向けて、引き続き国に強力に働きかけてまいりたいと考えております。
また、新制度の活用に当たりましては、中小企業団体中央会等とも一層連携を図り、中小企業においても障害者の雇用が進むよう取り組んでまいりたいと思っております。
こうした取り組みと、今年度から府庁にまで広げてまいりました知的障害者の雇用の場を創出する「ゆめこうば事業」や、京都ジョブパークに設置いたしました「はあとふるジョブカフェ」によるきめ細かな就労支援など、一人一人に適した的確な支援を行いますとともに、京都労働局や京都市を初めとする関係機関とも十分連携を図り、障害のある方の就労支援に向けた取り組みを一層推進してまいりたいと考えております。
次に、社団法人京都府森と緑の公社についてでありますが、公社はこれまで、国の通達に基づき、造林が困難な山間奥地を中心に土地所有者にかわって造林を行う分収造林事業を展開してまいりました。公社はこうした事業によりまして、水資源の確保や土砂流出防止などの森林の公益的機能を育成し、環境保全に大きな力を発揮いたしますとともに、毎年、事業を安定的に実施することにより、雇用の確保や地域林業の担い手の育成などにも貢献してまいりました。その反面、非常に量も多かったものでありますので、御指摘のように地域に公的な造林事業に依存しがちな状況を生じさせてきたのも事実ではないかなというふうに私は思っております。
こうして、府内の森林整備の中心的役割を担ってまいりました公社事業でありますが、木材価格の大幅な下落、伐採収入が得られるまで自主財源がない中で借入金により事業を実施せざるを得ないという構造的な問題を有しておりまして、全国の公社共通の問題になっておりますけれども、多額の累積債務を抱え、将来の見通しが立たない極めて深刻な状況にあります。これは、損失補償を行っている府の財政に対しましても、私は大きな影響を与えるというふうに考えております。
これまで公社では、新植の停止、職員の削減と育林費用の縮減、高利資金の繰り上げ償還や低利資金への借りかえなど、できる限りの経営改善に向けて取り組みを進めてまいりました。しかしながら、現在、木材価格の低下の中で、コストを勘案しない、コストを算定しない分収契約というのは、私は余りにも無理があるというふうに考えております。私は、ですから収益を前提とした契約から、環境保全を目的とした公的事業へシフトするなど、今や公社のあり方を根本的に見直すべき時期に来ているというふうに考えておりまして、現在その対策について、分収契約や保育のあり方などの検討を進めております。
しかし、今、日本で最も厳しいと言われております滋賀県の公社債務に係る特定調停は、私どもは大変注目をして見守ってまいりましたけれども、先日の新聞報道を見ますと、滋賀県や県公社だけが債務の責任を負う形になっておりまして、農林漁業金融公庫の社会的使命とか、この事業を積極的に進めてきた国、こうしたものに対する対応としては、もう一度私どもからは問い直さなければいけないのではないかなというふうに考えております。
公社と京都モデルフォレスト協会とのかかわりにつきましては、里山など府民とかかわりの深い森林におきましてはモデルフォレスト運動というのは大変有効に機能するというふうに考えておりますが、防災や環境保全など、森林の持つ公益的機能をさらに有効に機能させるためには、不便な場所の森林や水源森林などについて、積極的に公的な整備を進めていくことも重要でありますので、そうした役割を意識しながら公社のあり方を検討していきたいというふうに考えております。
